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文化祭がひと通り終わり、片付けも終え、時計が3時半過ぎを指した頃。陽桜は職場であるカフェで青い顔をしていた。


「お願いできない?」

🦂「えーっと……まじすか?」

「まじまじ、大マジ」

🦂「だって後夜祭って、俺ら関係ないやつじゃないですか」

「そうなんだけどねぇ」


店長が言うには、家庭科部のファッションショーに出る予定だったモデルの子が熱中症で倒れてしまい、ちょうどいいモデルを探しているとの事。そこで、高校に関係があり、元々モデルの予定だった子と背格好が似ていて、さらにイケメン!と陽桜が選ばれたらしい。


🦂「だってリハとか全くやってないですよ」

「今行けばまだ間に合うわ、あなたなら大丈夫!」

🦂「マジかよ……」


結局家でも職場でも文化祭でも苦労人ポジションなのに変わりがない陽桜は、まぁ嫌なお願いでもないし、とモデルになることを承諾する他なかった。


同時刻、高校の家庭科室では雅が珍しく頭を抱えていた。

後夜祭で家庭科部のファッションショーをやる、そのモデルとして来て欲しい。

そうクラスメイトに言われて後夜祭前準備で家庭科部部室、つまり家庭科室に来た雅。家庭科部のファッションショーについては元々案内を貰っていたので知っている。1年vs2年vs3年で対決するらしく、各学年から2人モデルを任命し、そのモデルにショーに出てもらい、得票数で決めるというもの。

雅は誰よりも顔がいい自信があるし、実際顔がいい。まぁモデルに選ばれるのも不思議な話ではない、が。


🍬「落ち着いてみた方がいいと思うんだよね」

「学年でいちばん可愛い子を指名した方がいいでしょ?」

🍬「んぁ〜、確かに僕は可愛い!とっても可愛い!いちばん!でもあの、え?ガッツリドレスやん???」

「1年のテーマは仮面舞踏会なの。だからドレスじゃないと、ね?」


という具合に、なんと雅が着る衣装が完全にドレスだったのである。

テーマが仮面舞踏会ということもあり、まぁ確かに片方がドレスになるのはうなずける。


🍬「なるほど〜じゃあ仕方ないか〜……ってなるかぁ!正気ですか?!」

「大真面目です!」

🍬「マジかよぉ……」


ほらほら、そろそろ移動しよ!と控え室の方に向かおうとした時、家庭科室の扉が開いた。

そこには見覚えのある人物、陽桜が立っていた。


「うっそ、代理の人って陽桜さんなの……?!」

🍬「は?!」

🦂「え?」

「えっえっ、許可降りたの?」

「先輩からも先生からも許可は降りました!✌️」

🍬「うそでしょ……?」

🦂「え、えぬくんモデルなの?」

🍬「いや、うん。そうなんだけど……え、代理?」

🦂「なんか熱中症で倒れたらしいよ」

🍬「あっそーですかなるほど」


きゃっきゃっと戯れる家庭科部員に衣装と控え室を教えてもらい、二人で控え室に向かい、トップバッターの家庭科部が呼ばれるのを待ちながら着替えを済ませる。


🦂「え、ドレスなの?w」

🍬「僕もびっくり。仮面舞踏会だって、テーマ」

🦂「なーるほどね、仮面舞踏会か……え、えぬくんはリハやったよね?」

🍬「うん。歩いてって、1番センターで二人でお辞儀。」

🦂「普通に、なわけないな」

「陽桜さんはこんな感じで軽く会釈してもらえれば大丈夫です!あと、せっかく兄弟だし手でも繋ぎながら歩いてくれたらとっても映えると思うんだけど……」

🦂「手繋ぐって、」

🍬「こーじゃない?」


陽桜の手の上に雅が軽く手をのせる。ぐっ!と指を立てる家庭科部員に雅は口を尖らせて抗議を挟んだ。


🍬「てか、言ってくれればよかったのに。お辞儀の仕方もドレスなら変わるでしょ」

「だって、言ったら辞退されそうだったし」

🍬「するわけないでしょこんなおもろそうなの!」

「あっ、乗り気なんだ……」

🍬「びっくりはしたけどね。ま、僕可愛いし!着替えよーっと!」


1人で着られないドレスを陽桜に手伝ってもらいつつ、2人はタキシードとドレスに着替えた。

まぁ二人とも似合っていて、そこだけ世界観が違うように見えた。


「くぅ……陽桜さん眩しい……」

🍬「僕わい」

「まぁ雅も可愛いけどね、ちょっと今は陽桜さんが……」

🦂「ありがとね。てか俺気づいちゃったんだけどさ、これなめこくんたち見てるね?」

🍬「そだよ」

🦂「えぐ……」

🍬「まぁどちらにせよファッションショー中の写真は僕ら貰うし、どうせ見せることにはなったと思うよ。動画も。」

「そうですね!」

🦂「なるほどね……」


思った以上に衣装の着付けに時間がかかっていたのか、もう開会式が終わっていた。


「それじゃあ、1年がトップバッターだから、頑張ってください!」

🍬「いくよさそりくーん」

🦂「ん、落ち着いてくださいねお嬢様?」

🍬「あいっ」


ステージに上がり、スポットライトを浴びながら陽桜と雅が歩く。そんな姿を菜瑚芽と瑠羽斗は観客席から見ていた。

席は学年で別れているだけで、特にどこに誰が座るとかは決まっていない。学年の違う雅とは近くに座れないけど、菜瑚芽と瑠羽斗は学年が同じなので一緒に座っていた。


🍄「え?w」

⚔️「見間違いかぁ」

🍄「いやちゃうやろw」

⚔️「いや、ぬこちゃんはわかるよ、まだね?さそりくんに関してはなんで?」

🍄「でもこれ仮面ついてるからみんな気づいてへんねんな」

⚔️「あ、そういう事か。さそりくんいたら騒ぎになりそうって思ったけど」

🍄「てかぬこちゃんドレス似合うなぁw」

⚔️「しれっとドレス。違和感仕事してくれ」

🍄「さぼりやw」


舞台袖へ帰っていく2人をみて、瑠羽斗と菜瑚芽は改めて顔を見合せた。そして1回くすりと笑うと、また舞台の方に目を戻していった。


その後は特になんの事件もなく、軽音部のステージ、有志によるダンスステージ、そして最後に先生たちのサプライズステージがあり、そのまま幕を閉じた。


🍄「あれ、さそりは?」

🍬「騒ぎになるといけないし仕事残ってるから帰るわ〜って帰った」

🍄「まじか」

⚔️「写真とかないん」

🍬「動画と写真持ってるよ。後で見よw」

⚔️「写真もおもろいけどなによりドレス着てるぬこちゃんがおもろいて」

🍬「可愛かった?」

🍄「違和感が仕事サボってた」


日の落ちかけた薄暗い道を3人で並んで歩いて帰る。家に帰ったら泰の作った美味しいご飯が待っているんだろう。


――


🍬「ただいまぁ〜!!」

🐸「元気ねあんた」

🦔「手洗いうがいしといで〜、ごはん食べるよー」

🍄⚔️「「はぁい」」

🍬「ねぇ見せたいのあるから待っててね」

🐸「見せたいの?」

🍬「そ!」


食卓についていただきます、の前に。雅はスマホを開くとさっきの後夜祭の動画をみんなに見せた。


🍬「みて、ファッションショー」

🦂「あっ」

🍄「なんでさそり出たんこれ」

🦂「熱中症の子の代理よ、代理。」

🧸「あ、ほんまやこれさそりくんか!」

🦂「こっちのドレスえぬくんね」

🏋️「似合いすぎでしょ」

❄️「可愛い〜w」

🍬「でっしょ!軽音部のも凄かったんだよ!」

🦔「楽しかった?後夜祭も」

🍬「楽しかった!!!」

🐸「語ってからご飯にする?」

🍬「いや、まずご飯!」

🍄「さすがやなw」


いただきます!

手を合わせて元気に声をあげたあと、いつものようにみんなでワイワイとご飯を食べる。

今日は高校の文化祭。いつもとは違う1日だったけど、1日の終わりはいつもと一緒。


🍬「今日のMVPは?」

⚔️「ぬこちゃんでしょ、どう考えても」

🍬「やた!!ごちそうさまでした!」

⚔️「はっやw」

🦔「ぬこちゃん走らない!」

🍬「はいっ!」

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