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「いい加減にしろよ…? このまま、あんたを刺すことだって、できるんだぜ……」
「……刺したかったら、刺せばいい。……それで自分がどうなるのか、わかってるならね……」
じっと目を離さずに、低く言い含めるように口にすると、
「クソッ…!」と、憎々しげに毒づいた後で、「だったら……」と、ふと何かを思いついたように言葉を切ったシュウが、
「だったら……あんたの一番守りたいあいつを、ここへ呼び出してやる……」
ニヤリと唇の片端を吊り上げ、そう言い放った。
「やめて……! もう、カイを傷つけたりするようなことは……!」
声を上げる私を、「うるせぇ!」と遮って、「…ちょっと来いよ! ヒロ…」と、シュウが呼びつけると、見張りでもしていたのか、暗がりからドラムのヒロが現れた。
「ヒロ…そいつの携帯から、カイに連絡をしろ…」
シュウに言われるままに、既に盗られていた私の携帯をヒロがいじる。
「悪いね…僕も、カイがいなくなると、ちょっと困るからさ…。……あっ、あった、カイの連絡先……」
画面に目を凝らしたヒロが、
「どうしようか…なんてメッセージを送ろうか…あいつに」
シュウをチラリと横目にうかがった。
「俺にいちいち聞かずに、そこにいるジンと一緒にでも、考えろよ」
シュウが暗闇をあごでしゃくってそう言うと、ベースのジンまでもが、のろのろとした足取りでこの場に姿を見せた……。