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???「やっと衣替えだね〜」???「もう夏ですからね」
???「アタシは寒がりだから夏は丁度いいわね」
???「紅緒は夏好き?」
???「えぇ!好きですよ!」
もう季節は夏。「雨花」、「橙」、「桃時」、「紅緒」、「海音」は空き教室で、ちょっとしたお茶会を開いていた。
紅緒「今うちの店で夏限定のかき氷を販売してるんです!雨花さんたちなら低価格で対応しますよ!」
雨花「マジで?!やったぁ!絶対行く〜」
橙「私も行きたいです!」
桃時「かき氷は頭にキーンとくるのが良いのよねぇ〜」
海音「私も好き」
紅緒「夏は良いですよね〜」
雨花たちは夏に浸っている。
雨花「あ、そういえば夏で想い出したんだけど、夏に小春くんのクラスに転校生が来るんだって。先生に書類渡す時に先生たちが話してた」
橙「どんな方なんでしょう?」
桃時「こんなに変人人外だらけの学校に誰が転校してくるのよ?」
雨花「確か妖怪だったはず……」
紅緒「妖怪ですか……」
海音「どういう妖怪なんだろう?」
転校生の話はそれでひとまず終わり、雨花たちはお茶会を楽しんだ。
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雨花「あっおは!兎白くん」
翌日。雨花は先生に補習で行ったプリントを提出しに行った帰りだった。そこで会ったのが「兎白」。
兎白「お前が一年生のフロアにいるのは珍しいな」
雨花「プリントを先生に渡しに行くとこ。兎白くんはどうしてここにいるの?」
兎白「部活の後輩の竹刀が壊れたから俺のを貸してたんだ。今はそれを返却されたところだ」
雨花「そうなんだ!じゃあ今は三年生のところに帰r((((紅緒「ふざけるな!!!!」
雨花「ん?」
兎白「な、何だ?今の怒号は……?」
雨花「こっちからだね」
「うるせぇな!まだそんなこと気にしてんのかよ!!」
紅緒「私はお前が私のゲームのデータを全部消したことは絶対忘れない!!!!大体何でお前がこんなところに……!」
紅緒と揉めているのは、ヤモリのような体で、下が蛇のように伸びていた妖怪だった。
「雫さんに言われて来たんだよ!俺が進んでいくと思うか?当然のように来させられんだよ!」
海音「行くか行かないかは選べたんじゃ?」
???「なぁお前ら。おれのクラスの真ん前で喧嘩するのやめてくれよ」
「小春」が途中で入ってきた。
紅緒「こいつは私が徹夜してようやく進めたゲームのデータを消した!!ふざけるなよ……」
「そんな大昔の話今更ほじくり返すなよ!」
雨花「どうしたの?紅緒ちゃんたち」
兎白「すごい大きな声がしたが……」
雨花たちも話の輪に入る。
海音「それが……」
紅緒「こいつは「妖魔」。昔、私の家の近くに住んでいたんです。人を寄せつけない奴で、いつも独りで寂しそうだったから一緒に遊んでたら!私のゲームデータ全削除したんです!!そして謝りもしないんですよ?!」
雨花「謝りたくないの?」
「けっ!どうして俺が謝らないといけねぇんだ!俺は別に独りで寂しそうになんてしてねぇし、勝手にこいつがくっ付いてきて迷惑してたんだよ!」
小春「でも、せっかく一緒に遊ぼうとしてくれたのに、突き放すようなことはしない方が……」
「俺は一回も「一緒に遊んでくれ」なんて言ったことねぇからな!!勝手に勘違いしただけだろ!!俺は不愉快だ!!もうクラスに戻る!!」
妖魔は、クラスに戻って行った。
紅緒「あのクソ野郎……いつか絶対殴り飛ばしてやる!!」
雨花「………」
兎白「雨花?」
海音「紅緒。私たちもクラスに戻ろう」
小春「おれも戻るよ。じゃあまたな」
紅緒、海音、小春も各々クラスに戻って行った。
兎白「どうしたんだ?」
雨花「ん?妖魔は、妖怪らしいなって想って」
兎白「確かお前は人間らしさと妖怪らしさは似てると前に瑠璃人たちの前で言ってなかったか?」
雨花「うん。妖怪は本能で生きてるから人間よりも人間らしいかもしれないね。そこが妖怪らしさなんだろうなって。妖魔は絶対面白い子だよ」
雨花はニヤッと笑う。その目にはイタズラ心のようなものが鈍く光っていた。
兎白「そうか。お前が面白いと想ったならきっと面白いんだろうな」
雨花「多分ね?あはっ!」
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雨花「橙ちゃん!やほ!」
???「雨花さん。こんにちは」
雨花は生徒会室に行く途中で「橙」に会った。
橙「今日は小春さんのクラスに転校生がいらしたとか。私もお話してみたいです」
雨花「そうだねぇ〜かなり面白い子だよ〜」
橙「もう話されたんですか?」
雨花「まぁ少しね」
「「きゃあああああああ・うわぁぁぁぁぁぁ」」
橙「!、何事です?!」
雨花「この悲鳴は……命に関わるようなものじゃないと想うけど……」
悲鳴は生徒会室の中から聴こえた。声を聴いてみるに、「桃時」、「瑠璃人」だった。
橙「どうしたんですか?!?!」
雨花「何かあったの?」
雨花、橙が入ると、しゃがみこんでいる桃時とうなだれている瑠璃人がいた。
桃時「あ、アタシの……ミルキーが……」
橙「み、ミルキー?」
瑠璃人「お、オレの……録画したアニメが……」
橙「録画したアニメ?」
「「全部消えてるのよ・んだよ!!!!」」
橙「心配した私が馬鹿でした。心臓に負担をかけた罪として高級みかん奢ってください」
桃時「そんなこと言ってる場合じゃないのよ!!」
瑠璃人「そうだぜ!!」
橙「はぁ……」
「まずね」
桃時・瑠璃人「あれはねアタシがわざわざ一泊二日かけて他県まで言って手に入れた幻のぬいぐるみなのよ!!!!そんな簡単に無くして良いものじゃないの!!!!・あれはな俺が原作が登場した時から読んでた作品で原作準拠でアニメが制作されることが決まって絶対一気に観たかったから貯めるに貯めておいてとうとう来週最終回だって時に今までの録画分全部無くしちまったんだよ!!!!(ノンブレス)」
橙「二人共同時に話さないで下さい!!」
雨花「無くす……か。」
桃時「せっかく授業中に使い魔と話してるごっこしようと想ってたのに……」
瑠璃人「せっかくイッキ観しようと想ってたのに……」
雨花「ねぇ二人共おかしくない?」
橙「そうですね。お二人共すごくくだらないことで悲鳴を出して、本当におかしな人たちです」
雨花「まぁそれもそうかもしれないんだけど、そういうことじゃなくて……」
桃時「何がよ」
雨花「こんな二人同時に自分たちの大切なものが無くなるなんて絶対おかしいと想うんだけど?」
橙「言われてみれば確かに……」
桃時「じゃあ誰かが何かしたってこと?」
瑠璃人「誰がそんなことすんだよ。オレたちはは恨まれるようなこと……あっいくつかしてる可能性あるかも」
桃時「残念だけど、アタシもある」
橙「あなたたちは何をしてるんです……」
雨花「あっ来る」
橙・桃時・瑠璃人「え?」
『えぇもしもし』
橙「な、何ですか?これ」
桃時「校内放送ね」
瑠璃人「何だ何だ」
雨花「………」
突如、校内放送で何やら雨花には聴き覚えのある声が聴こえた。
『あぁ、こういう時何言えば良いか分からないから、簡単に言いまーす。俺はこの学校を乗っ取ります』
桃時「あぁまたこういう奴か」
橙「飽きないですね」
瑠璃人「ホントだよな」
三人は署名活動をしてた頃を想い出す。三人はしみじみとあの時の妖怪を想い出すのであった。
『おい聞こえてるからな!!橙、桃時、瑠璃人!!!!』
瑠璃人「いや何で聞こえるんだよ。ていう会話するなら校内放送をジャックするんじゃなくて、携帯をジャックしろよ」
橙「それか私たちの知り合いを脅して携帯番号を教えて貰って通話するとか」
桃時「あとはアタシたちが授業受けてる間に他の妖怪に頼んでトランシーバーを用意するとか」
橙「いくらでもやりようはあったと想いますけど」
この三人、犯人に悪知恵を教えている。
何と言うことだ……
雨花「作者が呆れてどうする……ねぇ、妖魔さん。どうして学校を乗っ取りたいの?」
『その方が良いんだ!俺は無理やりここにぶち込まれたんだ。その仕返しをしてやるのさ!』
雨花「良いんじゃない?やれば」
『え?』
桃時「あとは雨花任せたわよ」
橙「私たちは仕事していましょう」
瑠璃人「そうだな」
『何でだよ。止めねぇのかよ」
雨花「あなたがそうしたいなら止めないよ?でも、あなたはそれだと今度こそ独りになるけど」
『俺は独りが好きなんだよ!別に独りで構わないんだ!」
雨花「じゃあどうして独りが好きなの?」
『独りの方が楽だからだ』
雨花「でも、独りになるなら別にこの学校を乗っ取らなくても良いよね?逆に乗っ取ったりしたらもっと野次馬が集まると想うけど」
『気に入らねぇやつは全員ぶっ潰す。その上で俺は独りになるんだ』
雨花「それは「独り」とは言えないよ」
『あぁ?』
雨花は、スピーカーに向かってはっきり言う。
雨花「あなたは沢山の人と戦ってその上で独りになることが「独り」かのように話してるけど、それはただの「孤高」だよ。沢山の人の上に成り立つ「孤高」は沢山の人と関わらないとなれない。「孤高」は「孤独」ではなれないんだよ。あなたは「孤独」になりたいんじゃなくて「孤高」になりたいんでしょ?」
『違う!!違う!!』
雨花「あなたは自分の想いを……気持ちを……」
「「ぶつけずにはいられないんでしょう?」」
『…………』
しばらく沈黙が続く。
『俺は……どうすれば良い……』
雨花は少し間を空けると、話し出した。
雨花「人を傷つけることで気づけるものがあると、傷つけないと分かることができないことがあると、ちゃんと知ろうとすること……だね。そうすれば、傷つけた想い出を罪悪感が感じるにしろ感じないにしろ、受け入れていくことができると想うから」
「…………」
ブチッ
雨花「あはっ!断たれちゃった」
橙「話終わりましたね?」
桃時「早くあんたも仕事しなさい」
瑠璃人「橙〜オレもうここまでやったんだぜ!」
雨花は生徒会の仕事を戻ったのだった。
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小春「ん?お前妖魔か?」
「クソッまだ生徒残ってのかよ」
小春「まぁもう帰るところなんだけどな」
小春は帰り支度をしていた。
小春「さっきの校内放送聴いたよ。と言っても雨花さんが何を言ったかは聴こえなかったんだが……」
「……そうかよ」
小春「じゃあな」
「待て」
妖魔は、小春の腕を掴む。
「お前は取り返しがつかないくらい人を傷つけたことあるか?」
小春「あるよ」
「その時どうした?」
小春「雨花さんがな。おれの人生は間違いだけじゃないって言ってくれたんだ。おれずっと自分のした事は許されないって想ってた。でも、雨花さんが許すとか許さないとかにこだわってたら自分がもったいない。許諾にこだわることなく、おれだけの人生を歩んで欲しい。おれの幸せを望んで欲しいし、望んで良いと想うって言ってくれた。だから、おれは人を傷つけたことを無駄にしないように、今度こそ自分にとって肥やしになるものをみつけるって決めたんだ。」
「…………俺は」
小春「?」
「俺はそんな風には考えられないけど、応援はしてやるよ。傷つけ屋の生きたがりの応援」
小春「……ははっ!ありがとう。じゃあな!妖魔!」
小春は帰っていった。
妖魔は、窓の外をみる。窓には穏やかな夕空が広がり、ころっとした雲が陳列されるように並んでいた。その様は妖魔の心を導くように淡く注がれた。