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episode.Ⅲ 演技



「演劇部の公演?」

「はい!」


ーリビングで、数日前に買った菓子パンを頬張っていると、天羽ちゃんが声をかけてくれた。 数日後に、演劇部の公演があるとのことだった。

演劇部は、るあるあと天羽ちゃんが所属しており、時折大きなホールで公演をしたり、学園内での講堂で公演をしたりしている。

今回は、少し離れたところにあるホールで行うらしい。公演内容は、赤ずきん。割と定番だけれど、今回は宣伝の意もあるから、どんな人でも見やすいものにしてる…とのこと。

天羽ちゃんは、主役の赤ずきん…月彩は、赤ずきんを助ける猟師の役らしい。


「えー!すっご!?もちろん行くっしょ!!」

「何時からなん?俺らも行ってええ?」

「差し入れとか持って行っていいのかな…」


だんだんと声を聞いてメンバーが集まり、そのまま夕飯にすることにした。


るぅあとさらが作ってくれた餃子とシュウマイを食べながら、ダイニングルームは演劇部の話で持ち切り。楽しそうに話す天羽ちゃんとるあるあを見て、なんだかこちらまで嬉しい気持ちになった。




そうして数日後。ついに、本番だ。




ーすぅ、はぁ……と、深く深呼吸。

私、天羽は…舞台裏で少し…いや、大分緊張していた。

前まで、主役級は上級生の方がやっていたから、初めて任された大役。

大丈夫、赤ずきんは比較的色んな方が知ってくれている作品だから…つまんな、となる人は少ないだろう…。

ううん…今回の不安はそこではない。今日は、夜月さんやるぅあさん…美夏さんに、希咲羅さん、と。ホプエンの皆さんが、見に来てくれているのだ…!!!

講堂で公演発表をした際、部活前に少しだけるぅあさんが見に来てくれたことはあったけれど、その時は端の方の役だった。それに、最初の方を少しだけ…だったのだ。

それが今回は何度も言うが、主役…それに大きいホール…!色々な人が見に来てくれている。

そう、家の演劇部は割と有名で…。TikTokやInstagramでも度々話題になっているので、ファンの方がいる人もいる…。

…ふぅ、まだ始まるまで時間あるから、自販機で飲み物買ってこよう…。

長いスカートを引きながら、髪が崩れないように赤いずきんを付けたまま広間の方へと向かう。

すると、急に声をかけられた。


「おねぇちゃん、あかずきんちゃん?」

「へっ?」


背後に立っていたのは、とってもかわいい、赤いスカートを身にまとった…5歳ぐらいの女の子。

髪型は、赤ずきんちゃんと同じおさげにしていて、手には絵本。

きっとこの子は、赤ずきんが好きなんだ。


「すごぉい…!!ほんものの、赤ずきんちゃんみたい…!」


目をキラキラと輝かせる女の子に、少しなんだか擽ったい気持ちになる。ここまで純粋で、綺麗なキラキラは、久しぶりに見た気がする。


「…あ、あなたも可愛い…よ

それに、髪…お揃いだね」


できるだけ、赤ずきんちゃんみたいに。

可愛く、お淑やかに…喋りやすく


「えへへ!おかーさんがね、 やってくれたの」

はにかんだ顔になった女の子は、やっぱり、とっても可愛い。


「私も、おねぇちゃんみたいになれるかなぁ…」

「…うん、きっとなれるよ」

「ほんとう?ほんとうに!?」

「もちろん!」



「さいきんはね、たくさんれんしゅうしてるの! 」

「そうなの?…すごいね、」

「しょうらい、おおきくなったら…

じょゆうさんに、なりたいから!」






この子に、幸福がありますように。

どうか、この子が、演技を嫌いになりませんように。


ただ、少しだけ喋っただけの女の子に、ここまで感化されるとは思わなかった。


ありがとう。

頑張るよ、私も




〈ノベル版〉ホプエンさんのシェアハウス

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コメント

3

ユーザー

天羽さん頑張れー!! やっぱ月の作品も好きだわ神ってて内容が天才すぎる

ユーザー

眠過ぎて中身がすかすかになってしまった…ごめんなさい…!!

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