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「 あーー、終わった、お疲れ様です若井さん 」
「 疲れましたね、山咲さんもお疲れ様です 」
「 ご飯つくる気力もなくなっちゃいました 」
「 ははは、僕はコンビニ飯にします 」
「 いいですね、私もそうします 」
そんな会話をしてたら、エレベーターも降りて
あっという間に会社の前。
「 じゃ、また明日 」
「 はい、お疲れ様でした 」
はあ、
なんか胸がドキドキしてた。
風に靡く長い黒髪が綺麗だった。
香水の匂いが微かにした。
声が心地よかった。
恋愛経験の少ない僕は
女性と話そうと思えばどうしても素っ気なくなったりしてしまう。
今日もだった。
女友達にはよく怒られる。
女心読めなさすぎ、とかなんだか。
そんなキレなくてもいいだろ、と毎回思う。
大学生の頃、
彼女ができた。
大学で同じ学部の大森元貴ってやつと藤澤涼架。
大森元貴の友達の女の子と4人でバンドをした。
最初は共通の友達ということで
ただバンドだけの仲だった。
でも、一緒に過ごすうちに
俺の方が彼女を好きになった。
俺は必死にアプローチして、
バンドでの活動以外の時間も会った。
俺は彼女に告白した。
結果は「 もちろん、よろしくお願いします 」と言われた。
幸せだった。世界一幸せな男だった。
でも、俺は彼女を幸せにすることはできずに
終わりは始まっていった。
些細なすれ違いのはずだった。
自分が悪いのだ。
でも、今でも彼女を思い出すと涙を零しそうになる。
そして、山咲さんを彼女と重ねてしまう自分が憎い。