「あと、正直、俺は翔太に好きになってもらえる理由がわからないんだけど…教えてくれる?」
「……ちょっと恥ずかしいんだけど、それは」
「無理にとは言わないけど」
「………最初のきっかけは……たぶん…3人が入って来て……それ自体は俺も嬉しかったんだけど………末っ子だったあべちゃんがお兄ちゃんしてるのを見て……なんか、ちょっと……寂しいなとか思って………」
「…………そのあとはもうなんか気づいたら目で追ってて………なんども……そんなはずないって………でも無理で」
話し出したら止まらなくなったのか、翔太の口からどんどん言葉が出てくる
「あべちゃん優しいから……一緒にいると落ち着くし………なんでも知ってて頭いいし………あざといなっていうのも多いけど…でも…ふいにかっこいい顔したりするから……それにはちょっとドキッとするし………なにかあってもいつも落ち着いてるのもすごいし……」
「てか……俺はもう……なんか…めっちゃ好きで…もうどこが好きとか、よくわかんないくらいで……」
そこまで言うと、顔を上げてじっと目を見てくる
「あべちゃん、好き……めちゃくちゃ好き……大好きなの………………全然…あきらめられない…ほんとに好き……大好き」
そこまで一気に言うと、大きなため息をついた
「……………………はぁ〜、なんか……スッキリした……」
言葉通り、少し吹っ切れたような顔をしている
「あべちゃん、ごめん。あきらめるからって言ったけどやっぱり無理みたいだ。だから、あべちゃんは何もしなくてもいいから、自然に落ち着くまで、まだ好きでいてもいい?」
さめざめと泣いていた時とは別人のようだ
おそらく誰にも言えずに数年間も溜め込んだ気持ちを口に出したことで、気持ちが前に向いたんだろう
その様子になんだか少し寂しさを感じて、気づけば、意味のわからないことを口走った
「そのことなんだけどさ、翔太、俺と付き合ってみない?」
「………………………は?」
「正直、今は翔太のことが恋愛的に好きだとは言えない」
「でも今日、俺は、翔太のことを可愛いと思ったし、もっと知りたいって思った、それは紛れもない事実で」
「好きになるかは分からない、無責任だと思う。おかしなこと言ってるってわかってる。でも、それでもよければ、俺と付き合ってみない?」
「……………ほんとに言ってるの?」
「うん、ほんと。今日で翔太を見る目が変わったのは確かだし」
「……おれは、あべちゃんが、おれのことを、好きになってくれるように、頑張ってもいいの…?」
「うん、俺のこと惚れさせてみせてよ」
「……上から目線、ムカつく」
口を尖らせながらも、頬には少し赤みが刺して、纒う空気の温度が少し上がる
コメント
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上手ねぇ、ほんとに😮💨