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◻︎旦那とは。
「一度でいいから抱いてくださいって、いくら好きでも言えないよね?」
秘密基地で、礼子に愛菜のことを話した。
礼子はパソコンに向かって仕事の続きをしながら、私の話を聞いている。
「まぁね。それは私たちの年代は、シングルマザーは大変だって思うからかも。でも、美和子の旦那さんの浮気じゃなくてよかったね」
「それはないと思ってるんだよね。遊ぶのは勝手だけど、めんどくさい事はごめんしてって言ってあるし」
「自分もしてるし?」
「まぁそれもあるよ。それに、もしも私がいい女だったらよかったかもしれないけど、実際、こんなモンだし。結婚したからって残りの人生に女が私だけっていうのも、夫が可哀想でしょ?」
礼子は顧客ファイルを閉じて、私の前に座った。
「それって、すごい自信だよね?旦那さんが浮気したとしても、家庭を壊すことは絶対ないって信じてるんでしょ?」
「信じてるっていうのもあるけど、もしも家庭を捨ててでも一緒になりたいって人が現れたら、その時は別れるかな?でもそうならないように努力はするよ」
「努力?女磨きとか?」
「あはは!それは磨いたら光る原石が言うセリフ。もうね、私くらいになるとメッキして誤魔化すしかないよ。そうじゃなくて、長年夫婦してきたからできる事よ」
「え?それは何?」
「居心地よく家庭を維持する事。それはお互いだけどね」
「それで家庭を守れる?」
「だってさ、浮気にしてもそうだけど、そもそも恋愛って、ハラハラドキドキがたまらないんでしょ?浮気なんて非日常を楽しみたいところがあるからハマるんだと思うよ」
「そうだね、平凡でも安心して帰る家があるから楽しめるってこともあるね」
ぴこん🎶
スマホに、雪平さんからのメッセージが届いた。
「お?噂をすれば彼ですか?」
「うん、そうみたい」
『そろそろ美和子さんと楽しい時間を過ごしたい、と思っていますが、美和子さんはどうですか?』
「なんだって?雪平さん」
「ん?ふふ、デートのお誘い」
「いいなぁ、雪平さんのことを話す美和子ってキラキラしてるよ」
「え?そぉ?」
「美和子の賞味期限は、まだまだ切れないね」
賞味期限か。
「ね、礼子。人としての賞味期限ってさ、自分が自分の人生を楽しく味わっている間は、切れないんじゃないかな?」
「ほぉ!」
「なぁんてね、ちょっと今そう思ったから。さて、返事しなくちゃ」
前回、食事をしてから2ヶ月が過ぎていた。
その間、ポツポツとLINEでやり取りするくらい。
それも、熱烈な愛のやり取りなんてない。
綺麗な景色の写真や、美味しいランチの情報を送り合うくらいで。
_____雪平さんとは、これくらいの繋がりで長く続くといいな
「美和子は、雪平さんとたくさん楽しめるね!なんてったって、妊娠というリスクはないんだから」
「あは、まぁね」
次はどこに行こうか?なんて考えながら、返信した。