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「あ……っ!」


炊飯器に米をセットして炊けるまで。

そんなわずかな時間すら持て余し、二人はベッドに入った。

食欲より性欲の方が勝ってるのかと思うと、ひどく醜い生き物に感じる。人間は知能が高いくせに、時として猫より虫より単純な生き物になる。

欲望に満ちていた。それをコントロールできなくなったとき、自己満足の闇に堕ちる。


「匡、家にいる時はずっとひとりでシてるの?」

「ん、……はい」


服を脱ぎ捨て、生まれたままの姿で抱き合う。

生き物なら普通のことなのに羞恥心に苛まれる。人がみんな裸で過ごすなら、こんなことで悩まされたりしないのに。そんな馬鹿なことを考えた。

「何を想像しながらシてる? エロ本とか、動画とか?」

小さな胸の実を噛むと匡はびくんと揺れた。

紅潮した頬を手で隠し、もう片手で脚の間を隠す。すでに硬く反り返った、男であることの証。

無理やり手を掴んで引き剥がすと、そこにしゃぶりついてやった。

「うあっ、あぁっ!」

静かな彼の泣き叫ぶ声が好きだ。

自分の腕の中で赤ん坊のように泣かせたい。めいっぱい愛して、溶かしてやりたい。

白露と彼と、どっちが大切なのか?

清心は優先順位をつけられなかった。その対象が目の前にいれば、持ってるもの全てをそそいで愛する。このローテーションで自分は成り立っている。

愛を平等に与えている。

そして、与えられている。

「俺、清心さんのこと想いながらシてました」

「ははっ、ほんと?」

「本当です。すいません……でも、誰にも言わないでください」

顔をそむける匡の唇を、清心は強引にかすめ取った。

「言わないよ。ごめん、もう少しだけ……俺の傍にいて。お前の力になるって誓うから」

普段の生活はもちろん、体調のことも。相談相手として、いつでも傍にいる。

彼が自分ひとりでやっていけるまで、支えてやりたい。就職までできたら、もう言うことない。

今は身体の関係も求めてしまってるけど、本当は心のもっと深い部分で繋がりたかった。

「俺、貴方と会えて良かった」

事後、夕食も終えて二人同じベッドに入る。

匡は目を伏せると、彼はそう呟いて眠りに落ちた。


「……俺もだよ」


ひとりじゃない。現実世界でそう思えたのは、彼がいたから。


この出会いをなかったことにしたくない。

彼の幸せだけを願って、強く手を繋いだ。




十時十分、十字路で

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