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皆さんこんにちは!こうちゃです。
長い間更新が止まってしまい大変申し訳ございません…!気分で投稿しているためこういうことがザラにあります。暖かい目で見守って頂けますと幸いです!
さて、今回は中世ドーヴァーです。初めての風邪をテーマに作成しました。体調不良になるのは安定で🇬🇧ですが、看病側の🇫🇷も幼く余裕のなさが目立つようにしました。口喧嘩の内容もいつもより子供っぽいかなと思います。また、今回初の嘔吐描写にも挑戦してみました。難しかった…!拙い文章ですが楽しんで貰えたら嬉しいです。
以下↓⚠️注意⚠️
※🇬🇧の体調不良描写があります。 (嘔吐描写を含みます)
※史実とは一切関係ございません。
※なんでも許せる方のみ進んでください。
「うぅ〜…さむっ…」
ローブを着てきて正解だったな、と思いながら大きなバスケットを持ち直す。白い息を吐き出したのもそのままに、痩せた土地を踏みしめた。
「イングランド〜?」
いつもならここら辺で妖精とかいう友達と遊んでるはずなのに、姿が見当たらなかった。不思議に思っていつもより奥の方へと歩みを進める。
「わ…ここら辺雪降ったんだ…」
薄らではあるが、雪が積もってるのが見えて通りで寒いわけだと納得する。本格的な冬になったらこっちにも来づらくなっちゃうな、と思いながら歩いていると、あの特徴的なボサボサが目に入った。
「イングランド!来てやったぞ!」
イングランドは肩をビクリと震わせたあと、恐る恐る振り返った。そのしおらしい様子に違和感を覚えつつバスケットを広げる。
「今日はね、3種類も持ってきて…って、お前ローブは!?」
この寒いのにボロい服1枚とか信じられなくて目を見張る。
「な…なくした…」
「なくしたって…これから冬本番なのにどうすんのよ…」
「…おれは…寒さに強いから大丈夫なんだよ!」
何が大丈夫かはよく分からないが、このまま問い詰めても、喧嘩に発展するだけだろう。気を取り直してバスケットに手を伸ばす。
「これがパンペルデュで、こっちがエショデ。で、これがパンデビス。どう?お前なんかじゃお目にかかれない美しいお菓子でしょ?」
実は今日のパンデビスはシナモンをたっぷりと入れて作った自信作だ。きっとこのちんちくりんも目を輝かせてるに違いない。そう思ってイングランドを見やると、なぜかお菓子を見つめて固まっていた。
「……イングランド…?食べないの?」
いつもなら既に手が伸びているはずなのにおかしい。そう思って声をかけると、イングランドはハッとして、たべる…と呟いた。1番小さいエショデを手に取ったあと、先端をほんの少しだけかじった。
「……美味しい…?」
「……ん…」
いつもならまあまあだなとかいう可愛くない反応が帰ってくるはずなのに、素直に頷かれると逆に不安になる。そんなやばい味がしたかなと思いつつ俺も1つ口に放り込む。うん、いつも通り美味しい。それなのになぜイングランドはいつものようにかぶりつかないのだろう?単純にお腹が空いてないのだろうか。
「……んくっ…は…ぅ…」
1口1口がとても小さく、おまけに飲み込むのもすごく遅い。なんというか、無理やり口に入れて飲み込んでいるみたいだった。しばらく眺めていたものの段々それが痛々しく見えてきて、思わずイングランドの手からエショデを奪い取る。
「……ぁ…え…?」
「別にお腹すいてないなら無理して食べなくていーよ」
そう言って食べかけのエショデを口に入れると、イングランドはあからさまにホッとしたように頷いた。こんなに大人しいイングランドなんて初めてで、少しやりにくい。
「よし、じゃあ運動でもしたらちょっとはお腹空くんじゃない?」
残りを全てバスケットに詰めて立ち上がる。イングランドもこくりと頷いて、地面に手をついて立ち上がった。ゆっくりと歩き始めたのでその後ろに着いていく。
「…きのう、雪がふったんだ」
「そうみたいね。お前ん家って本当に雨とか雪ばっかでジメジメしてる」
「…し、しかたないだろ!ばかぁ!」
「ばかって言う方がばかなんだよ!ばーか!」
さっきよりかは少し元気になったイングランドを見てホッと息をつく。そのまま軽口を叩きながらちんちくりんの後をついて行くと、やがて少し開けたところに出た。
「わぁ…!」
ここは雪が多く降ったのか辺り1面真っ白で、そこに隠れるようにして美しいスノードロップが咲き誇っていた。
「すご…めっちゃ綺麗じゃん」
素直にそう感想を零すと、イングランドは誇らしそうに頬を緩めた。イングランドは態度がわかりにくいぶん、表情によく出る。
「ま、俺ん家の景色が1番だけどね!」
そうドヤ顔で言ってイングランドの反応を待つ。どうせいつものばかぁ!が飛んでくるだろうなと待ち構えてみるが、中々声が聞こえてこなかった。不思議に思って下を見ると、ボサボサの頭がゆらゆらと揺れている。
「…イングランド…?」
雪に濡れるのも気にせずに隣にしゃがむと、イングランドは虚ろな目でへなへなとしゃがみ込んだ。
「…ちょっ…どうしたの…!?」
あたふたと慌てながら顔を覗き込むと、イングランドは白い頬を真っ赤に染めて荒い息を吐いていた。国民から聞いたことがある。確か体が熱くて上手く動かせなくなる…そう、風邪。
「イングランド!イングランドってば!」
閉じられたその緑をこじ開けようと必死に体を揺すると、ようやくうっすらとペリドットが見えた。
「……ひっ…ぅ…?」
イングランドは怖がるように顔を歪めたあと、こてん、と首を傾げる。そして不思議そうにぺたぺたと自身の頬を触っていた。
「ね、どこか痛い…?」
腕の中のボサボサにそう声をかけると、またもや不思議そうにふるふると首を振った。それにほっとしつつ抱え込むようにだっこしようとすると、びゃっと逃げ出してしまう。
「子どもあつかいすんなよ!ばかあっ!」
そう叫んで一人で歩いていってしまうちんちくりんを慌てて追いかける。
「ね、ねぇ、ほんとに大丈夫なの?」
ふらふらと右に行ったり左に行ったりするボサボサの頭にそう声をかけると、うるさいと返されてしまった。
「はぁ!?うるさいってなによ!俺はお前を心配してっ…」
思わずカッとなって大声で言い返すと、さっきと同じようにまたへなへなとしゃがみこんでしまった。慌ててかけよると地面に両手をついて何かを耐えるようにギュッと目をつぶる。
「イングランド…?どこか痛いの?」
「…ぅ…っ……」
「ね、どうしたの?イングランド…!?」
声を発せないくらいに辛くて苦しいのだろうか、先程からその小さな口からはうめき声しか聞こえてこない。それに驚いて隣にしゃがんで肩を揺すると、嫌がるように体をよじった。
「ねぇっ…大丈夫なの…?」
反応のないイングランドにどんどん不安になってきて心臓がバクバクと音を立てる。こんなことならみんなに風邪について聞いておけばよかったと今更後悔が止まらない。
「……ぇ…ぅぐっ…」
あたふたと慌てていると突然イングランドがぎゅうっと自分の口を押さえる。小さな背中がびくびくと波打ち、震えた。
「……ぇっ…ひ、ぅ……」
何かを我慢するような、必死に耐えるようにギュッと目をつぶるイングランドにもしやこれは、と嫌な予感が頭をよぎる。
「…吐きそう?」
恐る恐るそう聞くと分からないというようにほんの少しだけ金髪が揺れた。その衝撃だけでもきついのか、再度口を強く押さえようとした手をそっと引き剥がす。
「気持ち悪い時は、吐いちゃった方がいいんだって」
自分の頭の中にある知識を探りながら背中を撫でてやると、びくりと身体が震えているのがわかった。
「……やっ…だ…こわ、いっ…」
ついにその大きな瞳からボロボロと大粒の涙が溢れる。そしてまた口をぎゅうっと両手で押さえ込んでしまった。
「でもずっと、苦しいままだよ」
右手で背中を撫でながら左手で小さな両手を口から遠ざける。
「……ぁっ…ぅ、やだ、それやだぁっ…」
背中を大きく一定のリズムでさすってやるとイングランドの背中がびくびくと脈打つ。せり上がってくる気持ち悪さにあえぎながら尚も我慢しようとするイングランドの背中を、トントンと軽く叩いてやる。
「ほら、出しちゃいな」
「……うっ…ぇ゛、やぁっ…あ、…」
「もうっ…いいから」
中々吐こうとしないイングランドに痺れを切らして、口に指を突っ込んでこじ開ける。驚いてそのグリーンが見開かれるのと同時にごぽりと嫌な音がした。
「…げっ…う゛ぇえ゛えっ…っ…」
「はぁっ…」
背中をさすりながら詰めていた息をそっと吐き出す。イングランドは辛そうに何度か吐いたあと、ぐったりと寄りかかってきた。
「落ち着いた?」
「……うっ…ひぐっ……うあぁ〜〜!」
初めてのことにキャパオーバーだったんだろう。しゃくりあげながら大粒の涙をこぼして、こちらに両手を広げてきた。
「よしよし、頑張ったね」
そのままギュッと抱きしめてあげると更に大声で泣き出すイングランドに苦笑しつつ頭を撫でてあげる。トントンとあやすように背中を叩いてあげると段々と泣き声のボリュームが小さくなってきた。
「眠いの?」
こっくりこっくりと揺れ動く頭に体力の限界が近いことに気づく。自身のローブの中にちんちくりんを引き入れてぽんぽんと頭を撫でてやると、次第に小さな寝息が聞こえてきた。
「まったくもう…」
これでは帰れないではないかと思いつつ、こいつがこんな風に甘えてくれるのなんて初めてで、なんだか背中がむずむずする。起こさないようそっと額に触れると通常よりずっと高い体温に、びっくりして手を離す。
「あっつ…!どう、すれば…」
熱ければ冷やすべき、なのだろうか。試しにイングランドの額にそこら辺にあった雪を丸めてちょん、と乗せてみる。
「……ふぇっ…くしゅ…」
小さくくしゃみをした後にふるふると震えながら俺にすり寄ってくる。ってことは、これは多分正解じゃないんだろう。
「寒いの…?」
腕の中のこいつはガクガクと震えながら、しかしその瞳を固く閉じている。こんなに身体は熱いのに、寒いなんておかしい。もしかしたら本当にまずい状況なのかもしれない、と考えてゾッと悪寒が走る。
「ああっ…もう!」
再度ローブの中にイングランドを包み込んだ後、不安をかき消すように走り出した。