「《エンプレスディスコ》。」
「がぁぁぁぁぁ!!!!」
ロカ先生の能力《エンプレスディスコ》で心をへし折られボロボロの黒小場じゃんねは
ロカ先生に軽く掴んで投げられ地面に這いつくばった。
「……いい加減負けを認めなさいじゃんね君。何度繰り返しても同じことよ。」
そう言いながらロカ先生はヒールで
黒小場じゃんねの頭を踏みにじった。
「ま•だ•ま•だぁぁ……!!!!!」
黒小場じゃんねは歯を食いしばりながら
立ち上がった。
じゃんねを突き動かすものは友情でも努力でもなかった。
じゃんねを突き動かすものはカスみたいな 復讐心であった。
自分の能力《くろおばあないと》を、玩具を、夢を壊したロカ先生に対するカスみたいな復讐心。
その復讐心がじゃんねの折れた心を無理矢理奮い立たせていた。
「……本当に理解に苦しむわ、じゃんね君。何故 あなたはその心の強さを、行動力を、こんなくだらないことにしか使えないのかしら?」
ロカ先生は本気でこの男に呆れていた。
「僕はまだ負けてないじゃんねぇぇぇ!!!!!
悔しかったら《エンプレスディスコ》でも何でも使ってみるじゃんねぇぇぇ!!!!!」
ロカ先生はじゃんねの肩に手を添え
《エンプレスディスコ》を発動した。
「ぐぅぅぅぅぅ!!!!!!!」
正直、もう見れたものではなかった。
何故黒小場じゃんねはここまで醜くあがけるのか。
何故すでに心が折れているのに、もう勝てないと分かっている相手に何度も立ち向かえるのだろうか?
何の血筋も悲しい過去もないただの雑草のようなじゃんねがどうしてこれほどまでに強い心を持っているのか我々には皆目検討がつかない。
人の心というものは実に難解である。
「《エンプレスディスコ》。」
「ぐっ……!!!!」
ロカ先生は再びじゃんねの心をへし折り
じゃんねを掴んで軽く投げた。
じゃんねは不様に転げ回った。
「いい加減負けを認めなさい。何度やっても
同じ、あなたに勝ち目はないわよ。」
ロカ先生は冷ややかに言った。
じゃんねは何も言わなかった。
ただ立ち上がりじっとロカ先生を睨み付けた。
もう叫ぶ体力も気力も残っていなかった。
ふら…..ふら…..とじゃんねはロカ先生に近づいた。
もはやじゃんねはまっすぐ歩くことすらままならないほど衰弱しておりロカ先生 はじゃんねを避ける気にすらならなかった。
「ぼくはま…..だ ……..。」
じゃんねはロカ先生の足首を掴んで倒れた。
ロカ先生は溜め息を吐いた。
じゃんねは左手の拳をグッと握り心の中で
こう唱えた。
(くるみ☆ぽんちお….!!!)
すると、じゃんねの身体が光り大爆発を起こした。
じゃんねはずっとブラフを貼っていた。
ポップコーン爆弾《くるみ☆ぽんちお》の
起爆条件は叫ぶことではなかった。
《くるみ☆ぽんちお》の起爆条件は左手の拳をグッと握ることだった。
彼は《くるみ☆ぽんちお》の条件を誤認させるためにわざとらしく大声で《くるみ☆ぽんちお》と叫び誤認を誘ったのだ。
そしてそんなカスみたいな小細工、百戦錬磨のロカ先生はとっくに気付いていた。
そしてロカ先生はじゃんねの自爆特攻など
いくらでも避けることができた。
だがロカ先生は避けなかった。
ロカ先生はこの馬鹿の意志を曲げることは
出来ないと悟ったのだ。
この言ってもまるで聞かない馬鹿に無理矢理参ったと言わせるために洗脳が出来る能力者を二人も用意したがその二人は《クローバー同盟》の仲間達にやられてしまった。
ロカ先生はじゃんねの、《クローバー同盟》の執念を わずかに測り違えたのだ。
故にロカ先生は負けを認めた。
ロカ先生の目的はじゃんねに勝つことではなく、生徒達を守ることなのだから。
じゃんねの腹の中の爆弾は ド派手に爆発した。
ロカ先生の衣服とハチマキは弾け飛び、
ロカ先生の傷だらけの身体が、豊満な身体が、露となった。
ロカ先生は気を失った黒小場じゃんねにビンタして言った。
「いった!!??なにするじゃんね体罰じゃんねぇぇ…..!!」
「勘違いしないで頂戴、私はあの日あなたの能力を壊したことを微塵も後悔してないしあなたのことを認めたわけではないわ。」
「でも、あなたの諦めの悪さだけは認めてあげる。やるじゃない、じゃんね君。」
そう言ってロカ先生はクールに 去っていった。
決着である。
この勝負、黒小場じゃんね率いる
《クローバー同盟》の勝利である。
「勝っ….た…….?勝ったじゃんね!!!勝った!!!!! 勝ったじゃんねぇぇぇぇ!!!!!!!」
そう言ってじゃんねは泣きながら大笑いした。彼の復讐はこれにて完了である。
《クローバー同盟》の仲間達が一斉にじゃんねの元に集まった。
「じゃんね勝ったアル!!!!勝ったアルよね私たち!!?やったー!!やったアルーー!!!!」
転々ちゃんはそうやってぴょんぴょん飛びはねた。悪鬼退治勝利の快挙は彼女の数々の作戦と頑張りがなければ決してありえなかっただろう。
「お前すっげぇなぁじゃんねぇ!!マジでロカ先生に勝つとは思わなかったぜぇ!!!俺はまだまだだ…..もっと強くなんねぇとな。」
口裏痛見はそう言ってじゃんねの肩を抱いた。
「やったでござるな!!!やったでござるなぁ!!!」
川中島練度は感極まっておいおいと泣いていた。
「マジで楽しかったわ、ありがとな。」
「転々ちゃんも無事で良かったー。」
「俺多分今日のこと一生忘れないと思うわ。」
《クローバー同盟》の仲間達はそう言って口々に笑いあった。
「ロカ先生、すいません。私が不甲斐ないばかりに…..!!!」
秘密裏警羅はそう言って泣きながらロカ先生に謝った。
「あなたは良く頑張ったわよ、警羅さん。
それに敗北は終わりではないわ。一緒にがんばりましょう。」
そう言ってロカ先生は警羅に優しく微笑みかけた。
「はい…….はい…..!!!!」
警羅は次々と溢れる涙をぬぐいながら
そう返事をした。
半田緋色は影の中で夢を見ていた。パンダは夢の中で塩で弱体化しぐずぐず泣くしか出来なくなった悪夢ちゃんを優しく抱きしめていた。
米津高校の生徒達は《クローバー同盟》の
歴史的快挙に沸きに沸いた。
彼らのどんちゃん騒ぎは夜まで続き
黒小場じゃんねのカスみたいな復讐心から
始まったこの大騒動は後に『CROW OVER NIGHT (大喜びの夜)』と呼ばれ米津高校で語り継がれることとなった。
(最後まで読んでくださりありがとうございました。これにてCROW OVER NIGHT 編は
終了です。次回からは能力者達の緩い日常に
戻ります。)
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