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ピアーニャ達は可能な限り実物を見せてもらいながら、レジスタンスが所持している、もしくは所持している可能性があるアーマメントを紹介してもらう事になった。


「基本は誰でも入手可能な『エーテルガン』。扱いも簡単で、殺傷力は低いですね」

「うむ、それはキノウおしえてもらったな。ナットクのてがるさだ」


コロニーの外にはそれなりに危険な生物もいるので、最低限の自衛能力は必要なのだ。義務ではないが、獣を怯ませて逃げる程度の装備であれば、誰でも入手可能なのである。


「これは『バリア』です。こうやって起動すると、対エーテル用の盾になります」

「ふむふむ」

「そして『バーニア』。ボディパーツに付けると、飛行する事が出来ます。この3つが、一般人でも持つ事が出来る標準装備ですね」

「なるほどなー」


妙に優しい目でピアーニャを見て、優しく丁寧に教えてくれる管理人。ちょっと警戒しながら、ピアーニャは相槌を打っている。


「なんかすっごく目が優しくない?」

「うん。子供2人いるらしいし」

「そこウルサイ!」


ピアーニャの見た目が、2児の父の保護欲を掻き立てまくっていた。絶対に敵対しないと断言出来る程の優しさを、全身から溢れさせている。


「はっはっは。いやぁ、お恥ずかしい」


とても幸せそうである。

納得いかないピアーニャは、笑顔を引きつらせながら大人しくしている。実際はピアーニャの方が年上なのだが、ここで証明して気分を害し、アーマメントの解説を中断されでもしたら困るのだ。


「これがエーテルを動力として、エーテル以外の弾丸を発射する『マテリアキャノン』ですよ。なんと物をビューンって飛ばせるんです。すごいでしょう~」


だんだんと擬音まで使い、幼児にも分かりやすい説明になっていく。それでいて、目上の者に話すような丁寧さも忘れていない。


「エーテルいがいもとばせるんだな」(なんかすっごいキヅカイをかんじる……)

「うんうん、賢いですねぇ」

「おいこら」


徐々に親心が強くなっていく危険性を感じたピアーニャ。話題をクォンに振る事にした。


「く、クォン。ここにならんでるアーマメントで、つかいかたをしってるのは?」

「いくつかありますよ。流石に知らない物も多いけど」


クォンもピアーニャの気持ちを察して、素直に解説側に回ろうとした。しかし、それを阻止しようとする者もいる。


「でも、管理人さんの方が詳しいし、教えてもらった方がよくないですかー?」

(コイツっ!)


ニヤニヤ顔のミューゼである。話を聞くだけだと退屈になるので、ちょっと遊びたいようだ。

管理人もそれに乗じて、嬉しそうに解説を続ける。


「では総長さん。次はこちらですよー。『アタッチチャージャー』です。これはね、一緒に持っておくと便利で、エーテルを使っちゃったアーマメントに、エーテルをギュイーンと入れる事が出来ちゃうんですよ」

「お、おう……」


あまりにも父性を刺激されてしまったのか、解説もピアーニャの見た目に合わせてレベルを下げてしまっている。本人はとても楽しそうだ。


「ふーん、魔力を予備に持っておけるって事か。便利そうだなぁ」


アタッチチャージャーの機能には、ミューゼが反応した。魔力を使えば当然疲れるので、予備魔力には心惹かれるようだ。

そんな事より助けてくれと、管理人に異常なまでの優しい笑顔を向けられている総長が必死に目で訴えかけているが、ミューゼはしれっとスルーした。


「でも、これがあれば、アーマメントも半永久的に使えるのかな?」

「前もってエーテルを入れておけばね。このポーチサイズなら、1日の飛行分は入るぞ」

「それって凄いの?」

「んー、このエーテルガン500発分くらいかな」

「あ、結構撃てるね。そうなると、エーテル切れで攻撃が止む事は期待しない方がいいか」

「それもそうだね」


その有用性について、3人で語り合う。

なんと言っても相手は両方とも長く続いている組織である。財源とアーマメントはしっかり整っていると考え、解説されたアーマメントは沢山所持していると想定しておかなければいけない。

事実、襲われた時は全員が戦闘用のアーマメントを持っていたのだ。気楽に揶揄ってはいるが、危険な相手である事には変わりない。


「これはテリア様でも苦戦するかな? 魔力が無尽蔵なのと同じだし」

「ふーむ?」


これまで教えてもらったアーマメントで何が出来るか考えて、その対策も練っていく。その過程で、もし1人で対抗するなら、どう動くべきかも考えていく。

延々と続くエーテルガンの攻撃に、魔法でどう対抗するか考えると、自然とネフテリアを心配する声が上がった。


「やっぱり面白い物沢山あるねぇ。ほらピアーニャちゃん、次教えてもらいましょうか」

「あとでおぼえてろよ……」


この後も、保護欲を暴走させた管理人とピアーニャの戦いおねだりは続く……。




「【魔渦風マギツイスター】!」

『ほぎゃああああああ!?』


魔力の流れが竜巻となって、レジスタンス達を吹き飛ばす。

その原因であるネフテリアが、ちょっとスッキリした顔で、一息ついていた。

その魔法を見て、パフィに拘束だっこされているアリエッタや、周囲の人々のテンションは爆上がりである。


「ふぅ。アーマメントにもエーテル量があるって聞いたのに、絶え間なく撃ってきてくれちゃって。防御だって魔法だから疲れるんだからね?」


魔法は体内魔力を消費する。その事前知識をノベルから得ていたサイロバクラム人は、魔力切れを狙ってアタッチチャージャーを使用しながらひたすらエーテルガンを乱射していた。

しかし、飽きてしまったネフテリアによって、エーテルガンの攻撃ごと吹き飛ばされたのだった。

魔法に対する知識源に疑問を持ったパフィが、前線にいたせいで巻き込まれて吹き飛んで来たハーガリアンに聞いてみた。


「ファナリア人の魔法は魔力を使うって、そのノベル作った人はどうやって知ったのよ?」

「……そ、それは創作なので、知っていたわけではないのでは」

「じゃあたまたま、魔法は魔力エーテルを使うっていう条件が一致したのよ?」

「はい、そうですね……」


ボロボロのハーガリアンが身を起こしながら、本物の魔法使いを知らない作者の想像で作られた本を資料にする危険性に気付いて、冷や汗をかいていた。

今回は偶然一致したが、そもそも他のリージョンの力について何も知らないので、魔法とエーテルの関係に根拠が無かったのだ。

その話をたまたま聞いていたレジスタンスが、血相を変えてレジスタンス達のリーダーの方へと飛んでいった。

しかしその動きを大人しく見ている程、ネフテリアは甘くない。


「ん-、もういいかな。ここに合わせる意味も無くなったし」


その言葉の意味を理解したのは、ムームーとパフィのみ。


「驚け! 泣き叫べ! 【衝風破乱ブラストショット】!」


なんとなく悪役に徹してみたいネフテリアは、悪いセリフを言いながら、魔法を放つ。

レジスタンス達がいる空中に、爆風がいくつも巻き起こった。

この魔法は、広範囲に複数の爆音と爆風を起こすもので、見た目の派手さは無いが、牽制や脅しに向いている。

まともに受けたレジスタンス達は、数カ所に起こった爆風に巻き込まれ、あらぬ方向へと飛ばされ、目を回す。上下の感覚もかき回され、なんとか体勢を立て直そうとして地面や建物にめり込む者もいたりする。


「風の魔法だと? あんなもん、バリアじゃ防げないだろ……」


バリアが対応できるのは、エーテルそのもの。物理現象を巻き起こす魔法などには、全く意味が無い。

元々ネフテリアは、サイロバクラム風の衣装を着ているのと、現地のアーマメントに習い余計なトラブルを起こさないようにと、魔属性の魔法のみで動こうとしていた。

しかし、もう魔法使いである事が周知され、レジスタンスというトラブルと対峙してしまったからには、そんな気遣いは必要無い。手加減して何かを失敗する方が問題である。


「なんか可哀想……」

「だってあんなに【魔連弾ラピッドショット】みたいな攻撃をず~~~っとされてたんだし、仕返ししてもいいでしょ」

「それはそうなんですけどね」


ムームーがレジスタンスに同情した。そもそもファナリアでも上位の魔法使いであるネフテリアに真っ向勝負をするのは、ベテランシーカーでも躊躇うのだ。

一応手伝いでネフテリアの後ろにいるが、未だに出番が無い。下手に前に出ると、先程のハーガリアンのように、魔法に巻き込まれてしまう。


「でも、そろそろ相手の戦力を確認した方がよくないですか? 捕まえる人数も多い方がいいと思いますし」

「それもそうねぇ……」


2人は逃げる数名と、停止しているソルジャーギア隊員を見て、頷き合った。


「それじゃ、真面目に狩りますか」

「獲物扱い!?」

「ここからは、逃げられないよ?」


ニヤリと笑うネフテリア。悪役らしさを強調したのか、右手には赤黒い炎、左手には青白い炎を灯らせていた。意味の無い見た目だけの演出である。

それを見て、レジスタンス達のリーダーが頑張って声を張り上げた。


「お前らっ、アレは魔王だ! 絶対に逃げられない! やるしかねぇぞ!」

「くそおおお!!」

「タダでやられてたまるかよっ」


元々レジスタンスは、信用できない異世界にあらゆる手段を用いて抵抗する武装集団である。敵に脅された程度で屈する者はそんなにいない。逆にやる気を漲らせ、命をかけて戦う意志を露わにした。


「……なんか酷い事を言われた気がする」

「いえ、似合ってますよ」


ネフテリアはちょっぴり傷ついていた。

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