さっくんsideです!!!
夕陽が沈む校舎で、僕はひとり、生徒会室の机に残った書類をまとめていた。
窓の外には、部活を終えた生徒たちの笑い声。
でも、この時間が好きだ。
誰もいないこの静けさの中で、彼の声を待つのが、いつの間にか日課になっていた。
風紀委員長、阿部亮平。
真面目で、几帳面で、いつだって正しいことを言う。
最初は、そんな彼が少し苦手だった。
堅すぎるし、冗談も通じないし、何を考えてるのか分からない。
でも、何度も会議で話すうちに、
彼の静かな瞳の奥にある“やさしさ”に気づいてしまった。
それ以来、彼の目が僕を見るたび、胸の奥がくすぐったくなる。
🩷「……また風紀からの報告書、増えてるじゃん。あの阿部くん、ほんと真面目すぎるんだから。」
そう呟いた瞬間、
まるで呼び寄せたみたいに、ドアをノックする音がした。
💚「失礼します。生徒会への提出物をお持ちしました。」
その声。
少し低くて、真っすぐで、なのにどこか優しい。
振り向くと、彼が立っていた。
制服の袖をきちんと折り、姿勢を崩さないその姿。
完璧すぎて、手を伸ばしたくなる。
🩷「……阿部くん、また残ってたの?もうこんな時間だよ?」
💚「あなたも、ですよ。生徒会長。」
軽く笑って返されて、心臓が一瞬止まった気がした。
校内では“生徒会長と風紀委員”でいなきゃいけない。
それなのに、彼が少し笑うだけで、心が全部ほどけていく。
🩷「……今日、会えるの?」
勇気を出して、小さな声で尋ねる。
彼は一瞬黙って、目を細めた。
その仕草だけで、答えがわかる。
💚「場所は、いつもの資料室で。」
その一言に、胸の奥が熱くなった。
“いつもの”なんて言葉ができたのが、嬉しくて、少し怖い。
夜の資料室。
冷たい空気の中、先に着いた僕は机に腰をかけ、窓の外を見ていた。
蛍光灯の明かりが少し点滅して、静けさを余計に際立たせる。
やがて、ドアが静かに開く音。
振り向くと、阿部くんがそこにいた。
🩷「お疲れさま。今日も厳しかったね、風紀委員長さん。」
いつもと変わらない笑顔を作る。
けれど、本当は彼を見るだけで胸が苦しくなる。
💚「仕事ですから。」
そう言いながらも、彼の声が少しだけ柔らかい。
その変化が、僕にだけ見えるのが嬉しかった。
🩷「学校じゃ冷たいのにさ、俺の前だとすぐ崩れるんだもん。」
思わず、意地悪を言う。
本当は、“そうしてくれるのが嬉しい”って言いたいのに。
彼の指が、僕の髪をそっと撫でた。
その優しさに、目を閉じる。
💚「あなたが油断させるんです。」
その声が好きだ。
その指先の温度も、その真面目な顔も。
全部、僕だけが知っていればいい。
💚「……こんなこと、バレたら終わりですよ。生徒会長と風紀委員なんて。」
🩷「わかってる。でも、止められないんだよ。」
嘘じゃない。
毎朝、目が合うたびに抑えられなくなる気持ち。
それを隠して笑ってる自分が、どんどん苦しくなる。
だからせめて、この時間だけは、
本当の“佐久間大介”でいさせてほしい。
🩷「……あべちゃん。」
その名前を呼ぶと、彼が目を見開いて、そして少し照れたように笑う。
その笑顔が見たくて、僕はこの秘密を守り続けているのかもしれない。
「本当は、堂々と隣にいたいです。」
彼の言葉に、胸がぎゅっと締めつけられた。
🩷「俺も。……いつか卒業したら、隠さなくてもいいよね?」
そう言いながら、笑顔を作る。
でもその裏で、少し涙が滲んでいた。
彼の肩に顔を埋めて、誰にも見せない涙を、そっと飲み込む。
💚「その日まで、秘密を守りましょう。」
彼の声が、すぐ耳のそばで響いた。
その言葉があたたかくて、少しだけ苦しい。
――“風紀委員と生徒会長”でいる限り、恋は隠さなきゃいけない。
でも、“恋人”になれるこの時間があるなら、それでいい。
🩷「ふふっ、頼もしい彼氏さん。」
そう言って笑うと、彼も小さく笑った。
夜の資料室で、二人の影が重なる。
窓の外では風が鳴っている。
でも、僕の世界は今、静かに彼の呼吸で満たされていた。
この秘密が続く限り、僕は強くなれる。
彼の隣で、何度でも恋をしてしまうから。
長くなってしまってすみません💦
あべさくのもどかしい恋を書きたかったんです…笑
お互い好きだけど、堂々と付き合えない…みたいな感じです。
コメント
2件
切なくもありながらほんわかしてる. あべさく尊い💚💖