夢が両親にあったと聞いた時、悪魔ながら冷や汗が出た。夢が両親の愛を欲しっていることは小さい頃から知っていた。たまからこそ、もしかしたら夢はあのバレバレな嘘を見抜けず、一緒に帰ると言ってしまうのではないかと心配になった。
だから夢の部屋まで来た。リムルとの約束を破ってまで。
案の定夢は俺を見るなり、怯えているようだった。俺に叩かれた恐怖か、それとも俺が怒ったことが怖かったか、はたまたその両方か。
真っ白の顔がだんだんと青白くなっていく。さっきまで泣いていたのか目が赤く腫れていて、また目には涙が溜まっていた。
リムル「おい!ギィ!」
今はリムルの声など聞く耳を持たなかった。とにかく、夢が戻ってしまうんじゃないかと心配になった。
なんだかこのまま、どこかへ行ってしまうような気がした。だから、抱きしめた。俺から逃げないように。
夢「あ…え…?」
急に抱きしめられて驚いた。まさか抱きしめてくれるとは思わなかった。予想外のギィの行動に呆気を取られ、数分固まっていた。
そこでリムルが
リムル「はぁ…そろそろ離してやれよ…」
そう言うとギィは私を離した。
ギィ「夢、悪かったな。叩いて」
謝罪はギィからだった。私が悪いのに…ギィに謝られたのに私が謝らないのは違う気がする。そう思って、バラバラになった文をパズルの様に組み直し、言葉を舌に乗せた。
夢「ギィ…私も…ごめんなさい」
夢「我儘言って…ごめんなさい。」
ギィ「?俺はお前の我儘にはキレてねぇよ」
夢「え?」
ギィ「俺が怒ったのはお前が、自分自身を傷つけたことだ」
何故かその一文だけ強調されていた。
リムル「ングッwわっははww」
ギィ「おい、リムル何笑ってんだよ」
リムル「いや、すまん…ww」
私にも何故リムルが笑っているのか理解できなかった。同様にギィも理解できていない様で。
ギィ「で?夢、許してくれるか?」
夢「私が…私が悪かったから…」
ギィ「はぁ…俺はお前のこと許すよ。これで、元通り。な?」
夢「うん!」
リムル「ちょっと予想外だったけど解決したってことでいい?」
夢「うん」
ギィ「あぁ」
リムル「さてと、まぁまだ夢には聞かなきゃいけないことが大量にあるんだが…」
夢「うぐっ」
リムル「今日はひとまず寝るか。夢の体調も良いわけではないし。」
夢「さ、3人で…3人で寝る!」
リムル「あー…すまん!!急ぎの仕事だけこっちに持ってきて処理してもいいか?」
夢「あ、うん…ごめんね、私に付きっきりだったから…」
リムル「いやいや、お前と遊んでたのは俺だしな。すぐ終わる」
ギィ「ならさっさと着替えるか」
夢「うん!」
それでも私の家族に愛されたいという願望は消えない。
私の罪も消えない。
それでも、今はこの幸せを噛み締めていたかった。
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