北朝鮮×韓国♀のNL小説。
いよいよクライマックスです。登場国は過去最多。
20XX年、○月××日。
中国・北京にて行われる予定の、史上最大規模の世界パーティー開催が各国に通達された。
同時に、日本、台湾、モンゴル、朝鮮二国等の東アジア諸国には中国からの意味深なメールが届き、
マスコミメディアが一時大騒ぎする事態になった。
しかし東アジアは、世界は知ることになる。
──────黒幕の想いを。愛という名の真実を。
「あれぇ?イギリスじゃん!パーティーには来れたんだぁ?」
昔馴染みの甘ったるい男の声が耳に入り、
イギリスはグラス片手に深いため息をつく。
「ッはぁ”あ….こんな時でも相変わらず貴方は喧しい人ですね、フランス」
「ハハッ、これは僕流の挨拶だよ?勿論君にしかやらないケド(笑)」
いつもより無駄にキラキラしたオーラを纏う西洋のランドパワー国家……フランスは、一見すると輝かしい笑みでイギリスの隣に並んだ。
近くに寄ると、誰のものか分からない女の香水の混じり合った匂いが鼻を突く。
始まって早々だというのに一体何人ナンパしてきたんだコイツ?
「というかパーティー位来れますよ。しかもこんな大規模な催し、私の様な強国が来なければ意味も成しませんし」
「いやぁ、お前ロシアと一緒に仕事に追われてたじゃん?話聞いた時は何事かと思ったよ…
“ ナチス達との口論がヒートアップして、たまたま近くにいたロシアと一緒にそのままロケランぶっ放して道路の地面とか諸々粉砕した。”
………..って。」
仔猫ちゃんに当たったらどうするつもりだったんだよー!!と怒るフランスを横目に、イギリスは心の中でホッとしていた。
どうやら裏工作は上手くいったようだ。かなり無理くりな理由にはなったものの。
反省点としては、全責任をロシアに押し付けられなかった事くらいだ。
やれやれ、相手が日帝さんでなければ追加のお詫びを要求していた所ですよ全く。
「ま、お前とのパーティーも久々だしこれくらいはしておくか」
いつの間に取ってきたのか、赤ワインが入ったグラスを持っているフランスが少し柔らかい笑みを向けてくる。
「…………言っときますが、社交辞令ですからね」
「素直じゃない奴!」
『『” Cheers!!/Acclamations!! “』』
(乾杯!)
「…………。」
煌びやかな会場の隅っこで、一人ポツンと佇んでいる少女がいた。
「ラストチャンス、かぁ。」
誰に言うでもなく呟いてみる。
ここに来るまでは「絶対に韓国ちゃんを助ける!!」等と意気込んでいたものの、実際会場に入ってみると中国の姿も見えないので、段々意気消沈してきてしまった。
因みに兄であり、化身の本体である日本は仕事の延長で少し遅れるそうだ。
その為か、最初は日本の所在を聞いてきた国々も今は散らばって居なくなってしまった。
アメリカの姿も見えないし、完全に構ってくれる人がいない。
まぁその方が都合良くはあるのだが……
「にゃぽん」
不意に背後から話し掛けられる。振り返って見てみると、そこにいたのは…
「…………台湾」
「こんな隅っこに居たんだね。姿が見えなかったから探したよ」
これ飲み物、とイチゴのスムージーを差し出してくれた。
…あんな兄を持っておきながら、どうして台湾はこんなに紳士なのだろうか。
「……ありがと」
「ん」
二人の間に、暫く沈黙が続く。
喧騒に溢れた会場内で、その一角だけが妙な静けさを保ったまま時が過ぎていく。
「……ねぇ、台湾。あのね──────」
にゃぽんが言いかけたその時、突然会場内の照明が落とされた。
ざわめく国々達は、唯一スポットライトが当てられている壇上に視線を集中させる。
壇上に、誰かが近付いていく。
「………………始まったか」
「そうみたいだね」
高らかに靴音を響かせ、偽りの光を浴びた “全ての元凶” が壇上に立つ。
にゃぽんと台湾は、険しい表情で光の先をじっと見つめる。
『あーテステス….会場の皆様、聞こえてらっしゃるでしょうカ?』
ビジネスの皮を被って、元凶がよく通る声で話し始める。
『本日はこの我、中国主催のパーティーにご出席頂き、感謝申し上げショウ。
皆さんを此処にお呼びしたのは、他でもない重大発表を世界にお届けする為でございマス。』
何も知らない国達は、ここで訝しげな顔を見合わせた。しかしイギリスやにゃぽん、台湾らは表情を崩さずに押し黙っている。
次に中国が口を開いたその時が、決戦の合図だ。
『先日より、偉大なる中華人民共和国の輪に加わった “恋人” を紹介致しましょウ。
………..ほら、出てくるアル』
もう1つ、スポットライトが当てられた。
そこに居たのは……
「っ………マジかよ、あのクソ兄貴….」
「……韓国ちゃん…」
『我が理想の圏に加わった最初の国….且つ我の恋人、韓国デス。』
『………………』
韓国の登場に、静まり返っていた会場内がこれまで以上のざわめきを見せた。
「はぁ!?韓国は北朝鮮と付き合ってたんじゃ…おいイギリス、お前知ってた!?」
「中国の恋人なんて初耳なんよ!!これはパイナップル入りのピッツァを初めて見た時並の衝撃なんね〜!!」
「…………まさか、にゃぽんちゃんが家出したのは、この件で日本と何かトラブルがあったからだったのか……?」
ざわめきの収まらない会場に中国が一瞬だけ不快そうに眉を顰め、大きな咳払いをしてその場を鎮める。
『──────ゴホン。話の続きに戻りまショウ。韓国、お前からも何かあるんだろう?』
妖しく微笑みかける中国に、韓国は無言で頷きマイクを取る。
その様子はまるで糸で操られているお人形の様に人間味が無く、表情もお面を被っているかの如く「無」の一文字であった。
にゃぽんはもう、見ているのも辛い思いだった。
『………..안녕하세요. この度中国様の恋人となりました韓国です。
今宵はこの素晴らしきパーティーにおいで下さり、誠にありがとうございます。』
にゃぽんも台湾もいよいよ目を背けた。
何故こんな所業がまかり通っている?何故あの子がこんな思いをしなければいけないんだ?
世界で一番大切な恋人と引き裂かれて、あまつさえ別の男との結婚式じみたお遊びに付き合わされて。
これではあの子があまりにも可哀想すぎる!!!
「…………たい、わん」
「………………にゃぽん……」
私達にはもう、どうする事もできない……
…………なぁんて、そんな事は無い!!!!
「……台湾。」
お互いアイコンタクトを交わすと、にゃぽんが壇上に向かって歩き出す。
急に動き出した彼女に幾つかの国達の視線が集まるが、当人は全く気にせず突き進む。
中国の刺す様な圧も、今は何も感じない。
二国の前に、日出処の猫女は凛と立つ。
「….こんにちは中国。これは素敵なパーティーだね」
『………………わざわざ礼に来てくれるなんて流石我の妹アルな。
まぁ、我がファミリーに加わる第二の国の一員としては当然の事だが』
ふざけるな誰がお前なんかの下につくかよ、という憎悪を腹の奥底に飲み込んで、にゃぽんは張り付けた笑みを何とかキープする。
…そうだ、”アイツ” が来たらこの反吐が出る様な勝ち誇った顔も一瞬で崩れ落ちるんだ。
だからそれまで──────。
「にゃぽ、」
「黙って」
韓国の声を遮り、白猫は巨悪の瞳をじっと見つめる。
そして、待ち侘びた次の瞬間。
バァン!!!!!
「…………よう。」
真っ白なタキシードに身を包み、右手には花畑の如く咲き誇っているムクゲの花束。
常に感情の籠らぬ黒い瞳には、これまで以上の炎が昂っている。
その姿を一目見た韓国は、切れ長の瞳を会場の誰よりも見開き、涙を零して名を呟いた。
「北、朝鮮….っ!!!!(涙)」
『なっ、お前…!?あそこまで痛めつけたというのに、なぜ動けるアル!!!!』
建前もかなぐり捨てて中国が絶叫するが、北朝鮮は目もくれずに彼女の瞳をまっすぐ見て声を上げた。
『来い!!韓国ーーーーーーッッッ!!!!!』
静まり返った会場に、北朝鮮の渾身の叫びが轟いた。
彼女は中国の手を振り払い、そのままステージから飛び降り───────────。
「北朝鮮っ!!」
「韓国!!」
二人もつれ合ってそのまま床に倒れる。しばしの間、抱擁を続けたがすぐに我に返って立ち上がる。
「中国。韓国は返してもらう。」
『……は、?我の、恋人に…お前みたいな、出来損ない国家が、触るなん、ッて………..?』
「コイツはお前のじゃないッ!!!!」
俺の、世界一大切な妹で家族で、そして…
『俺の “妻” なんだよ!!!!!!!』
北朝鮮の言葉に、
にゃぽんは星のように目を輝かせ。
台湾は大きく口を開け驚き。
イギリスは左手を口にかざし、皮肉った様な呆れたような笑みを口元に浮かべ。
韓国は、白い頬を赤薔薇色に染めた。
「~~~~~~~~~っっっっ北朝鮮っ!?!?//////」
「(っっあああああ悪い韓国!!!!つい勢いで言ってしまった!!!!やばい大丈夫かこれ!?引かれてないよな!?!?!?)」
っしゃ尊み来ましたわぁああああああっっと昇天しそうになったにゃぽんは台湾が何とか宥める。
他の国はほぼ置いてかれ状態である。
「ほら、今の内だ北朝鮮!!韓国連れて逃げろ!後は僕とにゃぽんでどうにかしてやる、だから!!!!」
“何があっても、幸せになれよな!!!!”
台湾の願いに、北朝鮮は涙腺が緩む思いで韓国を姫抱きする。
「えっちょ…!?///北、何して……!?!?」
「恩に着る台湾、にゃぽん。後は任せたぞ」
新郎新婦はだっと会場を駆け抜け、扉は閉じられた。
「中国、もう終わりだよ。」
二国が去った後の気まずい会場内で、復活したにゃぽんは冷めた様な視線を中国に送った。
台湾もそんな彼女をフォローするかの如く、厳しい目を向けて口を開く。
「全部お見通しなんだよ。お前が韓国を無理矢理攫って監禁していたことも、
ロシアやキューバに頼んで裏工作してたことも、この事件にアメリカを近付けさせない様に悪巧みして、沢山罪を重ねた事も全部、全部。」
主権国家にあるまじき所業だよ、と冷たく言い放つ。しかし中国は肩をわなわなと震わせて黙ったままだ。
重い空気の中、意を決してドイツが三国の隣に寄ってきた。
「あー…中国、俺はお前の事情をよくは知らないが台湾の言ったことは真実なのか?
全て、教えて貰おうか。」
にゃぽんが一時家出をしたという情報は、EU諸国の根回しで裏で世界中に広まっている。
更に東アジア諸国に宛てた中国の意味深なメッセージの内容も、政府の発表によりつい最近まで新聞の一面を飾っていた。
そして決定打となった「韓国化身の失踪」。
会場内にロシアやキューバ…そしてアメリカの姿は見えないが、ここまで辻褄が合っている今では国達も信じざるを得なかった。
徐々に、徐々に、中国への疑念が強まってゆく。
「…………まぁここまで証拠が揃ってるんだ。少なくとも僕は、台湾とにゃぽんを信じるよ」
ノルウェーがはっきりと意見を口にすると、スウェーデンやデンマーク、アイスランドとバルト三国は無言で頷いた。
フランスやスペインも問答無用で彼らを信じるらしい。
シリア等の、普段は親露派の国々も中国の肩を持とうとはしない。
東南アジア諸国やオセアニア組も、にゃぽんと台湾に対して信頼の視線を送っている。
しかし….
「………..るな」
『巫山戯るなぁあああああ”あ”あ”ぁ”ぁ”アアア!!!!!!!!”!”』
絶叫と共に、中国は軽い身のこなしでステージから飛び降りてにゃぽんに詰め寄ろうとする。
不意をつかれたにゃぽんは怯んでその場から動けない。
「っおい!!仔猫ちゃんに何してんだ辞めろ中国!!!」
「にゃぽんに触るなぁっ!!
パラオ、タイ!!!」
フランスの声に、台湾が彼女の前に立ちはだかる。
少し足止めされた所で、パラオとタイが素早く中国の腕を掴む。
「私の友達に触らないで頂戴、中国!!!」
「絶対離すもんか!!パラオつおいもん!!!」
しかし二国だけの力では流石に抑えきれず、簡単に吹っ飛ばされてしまう。
ドイツやイギリスが守ろうと動くが間に合わない。
中国の手刀が2人に向けて振り下ろされる寸前──────。
タァンッ──────────!!!!
「ッ、ぐぁあ”ぁっ………..っっっ!?!?」
中国がお腹を押えながらゆっくりと膝をつく。
何事かと各国が周囲を見渡すと、スウェーデンがハッとした様な顔をバルコニーに向けた。
「ッ、!?そんな所で何してんだよ….ッ!?」
“フィンランド!?!?”
「流石スー。この短時間でよく見つけたな」
ライフルを構えたフィンランドは、視線だけ寄越して再び照準を中国に向けて定める。
アメリカを除いて世界トップクラスのスナイパー。彼の狙撃からは何びとたりとも逃れられない───。
「今すぐにゃぽんから離れろ。次はヘッショかクリティカルだ。」
「親日を、舐めてもらっちゃ…困るのよ……!」
「みんな、日本とにゃぽんの味方なんだよ…。
二人に手を出したら許さない!!」
キッと中国を睨む親日国達。
自分がどれだけ彼らに大事に思われているのかを痛感したにゃぽんは、なんとも感慨深い思いで強敵を見据える。
「いい加減にして、中国。
これだけ沢山の国を巻き込んで、韓国ちゃんや北朝鮮を傷つけて……
もうこれ以上罪を重ねるのは辞めようよっ!!」
「黙れ….!お前みたいな小娘に、一体我の何が分かるアル!!!!」
「アンタみたいなクズの気持ちなんか分かってたまるか!!
アンタはただ、自分の身勝手な理想の為だけに韓国ちゃんや私を貶めて利用しようとしただけでしょ!?
何が理想郷だ!!何が大東亜共栄圏だ!!!!そんなもの全部クソ喰らえだよ!!!!!!」
もうあんたは、と目に涙を溜めてにゃぽんが呟く。台湾が何かを察した様に彼女にストップをかけようとしたが遅かった。
「もう、あんたは……ッ私達が大好きだった中国さんじゃない!!!!!!」
「──────!!」
中国の動きがピタッと止まった。
その直後、にゃぽんに向けて手を伸ばし、躊躇うかのように少し引っ込める。
降ろした右手は、微かに震えていた。
「……………………なん、で…………。」
東亜の大国は、ゆっくりと膝をついて一筋の涙を流す。
この事件、最も残酷なのは世界か。中国か。
ただ無常に、時は解決の瞬間へと流れていく。
To be continued…
コメント
4件
とうとうクライマックス!にゃぽんちゃんが涙ながら中国に訴えかけるところが涙腺崩壊もんだわ
ありがとうございます、、、! もう心臓ドックンドックンですよ!(?)
あああああああああああああああ!!!!!!!ハートフルな🇰🇵🇰🇷が見れて嬉しすぎる…🤦🏻♀️❤️🔥 いつも神作ありがとうございます…