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#魔道具職人
こはる
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〜依頼〜
第40話
あれから、ライナーさんとローベルトさんとラルフさんと別れて、サントラップに帰った。
あの後は誰も来なかったみたい。それから、ご飯を食べて、死んだように崩れ落ちてベッドにダイブした。とっても疲れた。
便利だけどね。ま、そりゃ便利岳だったら、ダメ人間になっちゃうし……でも、この疲労感はヤバイ。あの人、ただ者じゃ……いや、これ、気力か?
あんなに、魔力を継続的に見て、ギリギリの模擬戦で……疲れる要素しかないわ。
ふふっ。バケモノか……他のバケモノを楽しみにしてよっかな? ライナーさん以上いるのかは微妙なラインだけど、それと同等はいるだろう。
負けたい。その後は、生きていたい。負けの後の時間を過ごしたい。
私は、ベッドの上で例の紙を出した。
『守るべき人リスト』
何となく目を通すと、二人増えていた。
さっきの、ライナーさんと、グレーテさん。ハッキリと刻まれてる。間違いは無いだろう。
あんなに強い人って……守らないと……いや、心が思ったより柔らかい。
やっぱり私があいつの尻拭いをしないと……あれ? 面倒では無い。
……守りたいんだね。私は、皆を守って、どうせ二十五年も生きられないんだから、守って死にたいかな。ダサい死に方じゃなくて、ちゃんと……有意義な死でありたい。
次の週末の朝。
ローベルトさんから色々と聞いた。
今回は、街を歩くローベルトさんの妹――グレーテさんの護衛。尾行型じゃなくて、一緒に歩くみたい。
グレーテさんには、あのライナーさんと私の戦いは知られているみたい。
あの感じだから、負け知らずなのだ……いや、言ってたな。
ま、ノアと私とグレーテさんで歩くって事と……
直感が、殺しにくるやつが現れると、騒いでいる。
私の胸騒ぎが当たりそうで嫌だな……
「お初お目にかかります。ケスラー家、長女。グレーテ、グレーテ・ケスラーです。二人の事は兄上からよく聞いていますよ。よろしくお願いします」
そう言いながらグレーテさんが、ワンピースを持って頭を下げた。
彼女は、私と同じような黒い髪に黒い瞳に白い肌。だけど、グレーテさんも私とまた別だったみたい。
……こんなに、期待しちゃってたかな……? でも、仲間が欲しい。
「はい。俺は、サントラップ従業員、ノアです。よろしくお願いします」
「同じく、セリーナです。よろしくお願いします」
あれから、雑貨屋を回ったり、服をみたり、試着したり、出店の美味しそうな物を見つけては食べたり。
何気ない会話を交わして、何気ない風景について話して、何気ない物を食べて……普通だった。とーっても楽しい。女の子同士でタメ口で話すのめっちゃ久しぶり。前は、前世かな?
グレーテさんも、魔力が嬉しそうに踊ってる。最初の、固まって強張っていたのは覚えていないように。
その日の昼過ぎ。カフェでゆっくりしていると妙な影が見えた。
……何?
ノアも同じなのか、分からない。
『護衛している、という雰囲気をゼロにしてくれないか? 万が一のその時だけにしてほしい』
と、ローベルトさんから頼まれている。
「あ、ハンカチ忘れちゃった……」
私は、ノアに目配せしながらオロオロとした。
「あら……そんな日もあるわよ。大丈夫」
良かった。バレてないみたい。
「取ってこようか? この距離なら、直ぐにもどってこれそうだし」
「えぇ。お願い。水色のハンカチよ」
「分かった」
今のは、直ぐそこにマークする人がいて、水色――分からない程いるという事。
グレーテさんにはバレてないみたい。
ノア。お願いだから、無事で帰ってきて。
私たちがゆっくりカフェで、待っていると、ノアが水色のハンカチを持ってきた。私の教えた血を流す技も覚えたみたい。
でも、靴にまだ残ってるのが見えた。グレーテさんは気付いていないみたいだけど、私はこっそり汚れを落とした。
それに、お腹の打撲と、腕の切傷の応急処置が甘い。途中で、傷口が開いてしまってもおかしくないけれど、治す事はできない。よくよく話を聞いてみると、グレーテさんも、治癒魔法が得意なのだという。
「ありがとう。そっちはどうだった?」
「あぁ。多すぎて大変そうだった」
やっぱり隠れてたか。
「そっか。手伝えたらよかったんだけどね。ごめん」
私は、軽く頭を下げてから話を戻した。
それから外に出ると、案の定沢山いた。大通りを歩くのはリスクがある。
「ちょっとこっちに行こ」って言ってみたり「あ、そっちより、あっちの方が良いんじゃない?」と言ってみたりして、上手く避けたつもりだけど、最終的には、囲まれた。
わぁ……こりゃ、大変……
グレーテさんも、震えている。
私は、剣を取り出してから「大丈夫。目を瞑ってて。絶対に守り切るからさ」とウィンクをした。
彼女は、ガクガクと震えながら首を縦にふった。
「あぁ。俺も、昔よりちゃんと守れるようになったから……心配無用だ」
ノアがそう言いながら、私たちは、周りを囲んだやつらに向かって突っ込んだ。
コメント
1件
第41話、読み終えました! グレーテさんとの穏やかな日常のひとときがすごく温かくて、久しぶりに女の子同士でタメ口で話すセリーナの嬉しそうな様子に、こっちまでほっこりしました。でもそこに忍び寄る影…ノアが一人で片付けてきたのに、傷口の手当てが甘いのをセリーナが見逃さないところが、さすがだなと。最後の「絶対に守り切るから」のウィンク、かっこよすぎます。守るために生きる、その覚悟がひしひしと伝わってくる回でした。続きが気になります!