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学園のテラスで、私はいつものようにゼノ君に鏡を構えてもらって「お茶会生配信」をしていました。

すると、そこへ難しい顔をした王太子殿下が、一人で歩み寄ってきたのです。

「……リリアーナ。少し、いいか」

殿下の視線は、私の顔ではなく、ゼノ君が持っている鏡に釘付けでした。

鏡の画面には、視聴者様から贈られた【バラの花束】や【キラキラのエフェクト】が次々と流れています。

「殿下、ご機嫌麗しゅう。シャーリーさんはご一緒ではないのですか?」

「……彼女は体調を崩している。それより、リリアーナ。その鏡……。あれは、どこで手に入れた? 空から降る金貨は、本物なのか?」

殿下がそう言うと、タイミングよく空からチャリン、チャリンと数枚の金貨が殿下の足元に落ちました。

「なっ……!? 本当に、何もない空間から金が……!」

殿下は驚愕し、思わず金貨を拾い上げました。その瞳に、どす黒い欲が宿るのを、ゼノ君は見逃しません。

殿下は私に一歩近づき、無理に作ったような笑顔を浮かべました。

「リリアーナ。やはり、君こそが王妃にふさわしい。その鏡の力を我が国のために使えば、経済は潤うだろう。……どうだ、婚約破棄の話は、一度白紙に戻さないか?」

まあ。殿下ったら、なんてお忙しいご提案。

私は鏡の中のコメント欄を見つめました。『殿下、金目当てかよw』『最低だな』。

「殿下、ありがとうございます。でも、鏡さんが『今の言葉、全部アーカイブしたよw』って言っていますわ。それに……」

そこへ、青い顔をしたシャーリーさんが駆け寄ってきました。

「で、殿下! 何を仰っているのですか!? リリアーナ様の鏡は呪いの道具だと、あんなに……!」

「シャーリー! いや、これはだな……国の未来を考えて……」

殿下はシャーリーさんの潤んだ瞳を見ると、すぐにオドオドし始めました。彼女が「私よりも、お金が大切なのですか……?」と袖を引くと、殿下はあっさりと陥落します。

「い、いや、そんなはずはない! やはりリリアーナ、お前の鏡は怪しい! 魔法で私を惑わそうとしたな!」

「あら。殿下、お忙しそうですわね。シャーリーさんと仲良く、その……『手のひら返し』の練習でもなさっているのかしら?」

「ぐっ……! リリアーナ、お前……!」

殿下は顔を真っ赤にして去っていきました。ゼノ君は、去りゆく殿下の背中を「情けない男の背中」としてバッチリ撮影しています。

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