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#高校生
第33話 「戻ってきた春」
2021年 一月。
センバツ選考会。
柳城高校 野球部。
部室には、異様な緊張感が漂っていた。
テレビ。
スマホ。
新聞記者。
全員が、その瞬間を待っている。
去年。
消えた甲子園。
あの夏、福岡優勝しても立てなかった舞台。
今年は違う。
センバツが、戻ってくる。
そして柳城高校は、九州地区代表として有力視されていた。
舞は、祈るように手を握っていた。
福間監督は腕を組んだまま動かない。
主将・柴田も、落ち着かない様子だった。
そして――
「続いて、九州地区代表校です」
部室が静まり返る。
「福岡県・柳城高校」
一瞬、誰も動かなかった。
次の瞬間。
「うおおおおお!!!」
歓声が爆発する。
椅子が倒れる。
抱き合う部員たち。
舞も涙を流していた。
甲子園。
ついに。
柳城高校が、甲子園へ戻る。
福間監督は静かに帽子を取った。
その目だけが、少し赤かった。
翌日。
学校には横断幕が掲げられる。
『祝 第93回センバツ高校野球大会 出場』
生徒たちも騒いでいた。
「柳城が甲子園!?」
「マジですげぇ……」
町も変わっていた。
おっちゃんの店には新聞が並ぶ。
おばちゃんが嬉しそうに言う。
「やっと戻ってきたねぇ」
おっちゃんも静かに頷く。
「長かったたい」
その夜。
福間監督は一人、グラウンドへ出る。
静かな夜。
バックネット裏から球場を見る。
柳城高校。
かつて甲子園へ行っていた古豪。
だが長く遠ざかっていた。
そこへ戻る。
福間監督は、小さく呟く。
「ここからやぞ」
甲子園出場はゴールじゃない。
柳城を、本当に強い学校へ変える。
その戦いが始まる。
そして春。
甲子園の土を踏むため、柳城高校は兵庫へ向かう。
第33話 終
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