甲斐田side
「みんなはすごいな」って最近すごく思うようになった。
弦月は何人ものお偉いさんや神様と難しいことを話したり、たくさんのことをテキパキできる。
長尾は大きい魔もちょちょいと倒しちゃうし、いろんな人に慕われている。
それに比べて僕は、、、。
いつもいつも研究所にこもってただただ研究を淡々としているだけ。
「そんな」自分がつくづく嫌いになる。
gntk 「 晴くーん、出るよー。 」
kid「 あ、うん、今行く~ 」
今日は長尾の長期任務が明けたお祝いのプレゼントを二人で買いに行く日。
タタン、タタン、、、と軽快なリズムを刻む電車に体を揺られながら目的地であるデパートへ向かう。
少しするとデパートに到着した。
デパートに入ると楽しそうなBGMが聞こえてきて不思議なことに自分のテンションも少しあがった。
そこからはあっという間だった。
二人でご飯を食べて、二人で遊んで、二人でなににしようか悩んで、、、
気付けば時針は何回も進んでいて、空も夕焼け色に輝いていた。
gntk 「 そろそろ帰ろっか 」
kid 「 そーだね 」
そう時の流れを噛みしめながら弦月と別れて帰路に就く。
プレゼントを期待と一緒に手に握りながら家のドアを開けて、
kid 「 ただいま 」
誰もいない無人の部屋に言った。
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3日後、プレゼントを渡す日が来た。
僕は紫色に装飾されたプレゼントを薄茶色の紙袋にそ一、と入れて家を出た。
駅の近くでタクシーを捕まえて、長尾の家まで乗せてもらった。
長尾の家に着くまで何回も思った。
『渡したとき、長尾は喜んでくれるかな』って。
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kid「おじゃましまーす」
ngo 「あー!! はるぅ~!!」
長尾の家に着いて、インターホンを押して、ドアを開けると長尾が出迎えてくれた。
kid 「長尾、、それ大丈夫なの?」
ngo 「おう!!」
長尾の体にはたくさんの包帯が巻かれていたり、絆創膏やガーゼが貼ってあった。
kid「大丈夫ならいいんだけど、、」
gntk「晴くん、こっちだよ〜」
先に来ていた弦月が長尾に『座ってなきゃダメでしょ」と一喝入れて僕を案内してくれた。
やっぱり弦月も長尾もすごい。
長期任務で疲れているはずなのに、こんなに傷を負っても笑顔で痛そうな辛そうな素振り一つしない長尾。
わざわざ集合時間よりもずっと前に来て長尾を気遣いながらお祝いの準備をしてくれている弦月。
二人は僕よりも何倍も何倍も優れていて自分とは「格が違う」んだって思った。
僕は「本当に自分がこんなに優れている二人と肩を並べていいのだろうか」と考えながら席に着いた。
そのあと、長尾をお祝いして皆で談笑しながらご飯を食べた。
そしてついに、プレゼントを渡す時が来た。
弦月が最初に長尾に渡した。
中身はケア用品や長尾が好きそうな小物など。
長尾は凄く喜んでいた。
そして僕も渡した。中身は紫と黒であしらわれたパーカー。
パーカーを着た長尾は凄く輝いていて、僕はまた「優劣感」を抱いた。
kid「いいな、、」
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そこから数時間後、僕は自宅のベッドに寝転がりながらエゴサをして暇を潰していた。
沢山の応援コメントやアンチの罵詈雑言。
アンチなどもう慣れた。
だけどやっぱり見るのが、読むのが怖いから応援コメントで心を和ませていると凄く長文の応援コメントを見つけた。
そのコメントは全てひらがなで書かれていて誤字・脱字もあったため小さい子が頑張って書いたのかな、と思い嬉しかった。
コメントを解読するように読んでいると各行の頭文字がつながっているように見えて一文字目を縦読みしてみた。
そこに書かれていたのは
か
い
だ
い
ら
な
い
の文字。
僕はその文字を見て凄くショックを受けた。
偶々なのかもしれないけど、長尾の時のこともあって僕には「ヴァルツに僕は必要ない」としか受け取れなかった。
kid「やっぱり僕は必要ないんだぁ、、」
と、僕は透明な体液を目から流しながら銀色で鋭利な刃物で胸を
ザク
と刺した。
生きる気力と血を外に流して、僕はすぅ、と瞼を落とした。
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