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管野アリオ
875
#オリジナル
重田💋(omoda)
886
「つーか嬉しいな、優來が俺に興味持ってくれて」
「……はい?」
突然の言葉に優來は思わず聞き返す。
「興味があるから俺の後をつけたり色々質問したりしてくれるんだろ?」
「いや、それは興味というか……ただ純粋に気になっただけで……」
「なぁ優來、俺と付き合わね?」
「……はぁ?」
あまりにも唐突な申し出に優來は呆気に取られた。
「俺がこんなこと言うのは相当珍しいんだぞ? 何か優來には魅力を感じるんだよな、俺」
本人はよほど良いことを言っているつもりなのか得意げな表情を浮かべているけれど、優來にはその言葉が軽薄でいい加減な男の口説き文句にしか聞こえず、
「……いや、結構です」
間髪入れずに断ると至は不満そうに眉を寄せた。
「何だよつれねぇな。それじゃあ手始めに一晩過ごそうぜ? 絶対に満足させてやるから」
「…………」
至のその発言に優來は返す言葉もなく、ただ呆れた眼差しを向けた。
一体、何が彼にそこまでの自信を持たせているのだろうか。
自分の言葉が相手にどう受け取られるのか少しも考えていないようにしか見えず、優來には至の考えがまるで理解出来ない。
「蘇枋さん、それ、本気で言ってます?」
「ん?」
予想外の問いかけだったのか至は首を傾げた。
「貴方がこれまでどんな女性と関わってきたのかは知りませんけど、そういうことを軽々しく口にするのはやめたほうがいいと思います」
優來は至の目を真っ直ぐに見つめ、きっぱりと言い切る。
「少なくとも私はそんなことを平気で言う男性を信用出来ませんし、お付き合いしたいとも思いませんから」
その言葉を最後に車内に沈黙が落ちて、先程まで得意げに話していた至も流石に返す言葉が見つからないのか何も言わなくなった。
そんな気まずい空気が流れる中、至のスマートフォンが着信を告げる。
「……っと」
至は路肩に車を停めるとスマートフォンを手に取って電話に出たので、その隙に優來はそっと助手席のドアへ手を伸ばす。
このまま至と一緒にいるのは気まずいし、少しでも早くこの場を離れたかったのだ。
けれどドアを開けようとした瞬間、至の手が伸びてきて優來の腕を掴んだ。
「待て、こんなところで一人になるな。危ねぇから」
それだけ告げると至は優來の腕を掴んだまま、再び電話の相手との会話に戻ってしまう。
「…………」
結局、降りることが出来なくなった優來は気まずさを押し殺しながら助手席に座り続けるしか無く、所在なさげに視線を彷徨わせながら至の電話が終わるのをじっと待つ。
電話越しの相手と話す至の口調は初めこそ穏やかなものだったけれど話が進むにつれて徐々に険しくなり、やがて苛立ちを隠そうともしなくなる。
「――はあ? 有り得ねぇだろ? んな甘いこと言ってんじゃねぇよ。何のために餌撒いたと思ってんだよ?」
突然、車内に響いた怒声に優來の肩がぴくりと跳ねた。
何を話しているのかまでは分からないけれど、少なくとも良い話ではないことだけは伝わってくる。
「――はぁ、もういい。話にならねぇ。今から行くからそこで待ってろ」
吐き捨てるようにそう告げた至は一方的に電話を切るとスマートフォンを置いた。
そして何事もなかったかのように優來へと視線を向ける。
「優來、悪いがちょっと行くところができたから寄り道するぞ」
「えっ? あの、それならせめて人通りのあるところで降ろしてください。そこからタクシーを呼んで帰りますから……」
これ以上至と一緒にいるのは気まずい、そう思って申し出た優來だったが至は首を横に振った。
コメント
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ああ、この回は至の軽薄さが存分に出てる回でしたね。いきなりの「付き合わね?」からの「一晩過ごそうぜ」って…彼にとっては褒め言葉のつもりなんでしょうけど、優來さんの「呆れた眼差し」がすべてを物語ってます。それでいて電話の相手には急に怒声を浴びせるところとか、いいトコなんて微塵もない。価値観の違いがはっきり出た良い対比でした。次の展開が気になりますね。