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魑魅魍魎
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魑魅魍魎
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読了しました〜!🥀 もうね、今回も甘酸っぱくて胸がぎゅってなった…!特に帰り道の抱きつきシーン、レトルトくんが勇気振り絞った感じが伝わってきて、こっちまでドキドキしちゃったよ…。キヨくんの「心臓もたねーわ」には思わずニヤけた(笑) 試合後の「レトさんに一番褒めてもらいたかった」も、拗ねてるのに可愛くてずるい…!大型犬みたいに頭擦り寄せるキヨくん、完全に恋する男子やん…。夏休み、この二人どうなっちゃうんだろう…続きが気になりすぎる!🌙
9話目もよろしくお願いします!
スタートヽ(*^ω^*)ノ
キヨ 🐈⬛
レトルト 🦀
ガッチマン 🥷
牛沢 🐮
4人の会話の時はこのアイコンを使用します。
「夏の日のMVP」
昼休みを告げるチャイムが鳴る。
いつものように屋上へ集まったTOP4は、照りつける太陽から逃げるように日陰へ座り込んでいた。
日陰にいてもジリジリと肌を焦がす様な夏の日差しが容赦なく4人に照りつけていた。
🐮「暑っ……」
牛沢がペットボトルのお茶を飲みながら呟く。
🐈⬛「なぁなぁ」
そんな中、キヨが空を見上げながら口を開いた。
🐈⬛「もうすぐ夏休みだなぁ」
青く広がる空。
白い雲。
聞こえてくる蝉の声。
夏休みはもうすぐそこまで来ていた。
一つ学年が上のガッチマンと牛沢は、受験を控えていることもあり少しピリついている。
そんな二人の様子も気にせず、キヨは勢いよく立ち上がった。
🐈⬛「なぁ!みんなでどっか行こうぜ!」
汗を拭いながらキヨは興奮気味に提案する。
しかし。
🥷「俺らそんな暇じゃないんだよ」
ガッチマンは苦笑いした。
🐮「お前らは気楽でいいよな」
牛沢も呆れたような目で二人を見る。
🦀「ガッチさんとうっしーは受験やもんな」
レトルトはニコニコしながら言う。
そして両手をひらひら振り 「頑張れー」 と応援しているフリをした。
もちろん全然心がこもっていない。
🐮「殴るぞ」
牛沢が鋭く睨み即座に返す。
🦀「怖っ」
🥷「お前らも来年そうなるんだからな」
ガッチマンが笑う。
だが、 キヨとレトルトは顔を見合わせると、
🐈⬛🦀「来年のことは来年考える!」
声を揃えて言った。
その瞬間、 牛沢とガッチマンは同時に深いため息をついた。
キヨは密かに考えていることがあった。
“レトさんと夏祭りに行くこと”
“レトさんとお泊まりすること”
それから――
“…..キスとか、できればいいなぁ”
そんなことを考えて、一人で顔が緩む。
🐮「キヨ、何気持ち悪い顔してんだよ」
牛沢の冷たい一言に、キヨは慌てて表情を戻した。
🐈⬛「してねーし!」
🥷「どーせエロいことでも考えてたんだろ」
ガッチマンに核心をつかれキヨは慌てて言い返そうとするが、 二人はすでに参考書を広げていた。
🐮「ここはこう解けばいいのかな?」
🥷「いや、その公式使うならこっちじゃね?」
受験生らしい会話が続いている。
数式だの公式だの キヨにはさっぱり分からない。
隣を見ると、レトルトも同じ顔をしていた。
目が合って、 そして二人は無言で頷く。
🐈⬛🦀 ((分からん))
🦀「大変そうやなぁ」
レトルトがぽつりと呟く。
🐈⬛「な」
キヨも頷いた。
参考書を睨む二人を見ながら、どこか憐れむような目で
🐈⬛「俺らには無理だわ」
🦀「絶対無理やな」
そして二人は顔を見合わせて笑った。
もうすぐ夏休み。
今年はいつもと違う。
だって今年は――
ずっと想い続けてきた人が隣にいるから。
キヨは青空を見上げながら思う。
🐈⬛(きっと楽しい夏になる!)
レトルトもまた、同じように空を見上げていた。
🦀(今年の夏休みは、特別な夏になりそうやな)
特別な夏の始まりに2人はわくわくと心を弾ませ笑い合った。
「では!くれぐれも怪我のないように、夏休みを楽しめよ!」
終業式を終えた教室。
教壇の前で先生がそう言った次の 瞬間、
『よっしゃーーー!!夏休みだーーー!!!』
キヨが勢いよく立ち上がった。
何かから解放されたかのような喜びように、クラス中から笑い声が上がる。
「おい、キヨ」
先生は呆れたように額を押さえた。
「お前はサッカーばっかりしてないで、ちゃんと宿題やってこいよ」
『えー』
キヨは露骨に嫌そうな顔をする。
その反応にクラスメイト達はさらに笑った。
「レトルトも笑ってないでちゃんとやるんだぞ!」
先生は今度はレトルトを指差す。
「本当、全身組が一番心配だわ」
「先生〜」
レトルトは笑いながら手を上げた。
「キヨくんと一緒にしないでくださーい」
そう言って隣のキヨを指差す。
『おい!レトさんの裏切り者!』
キヨがすぐに反応した。
「だって事実やん!俺はちゃんとやってるし!」
『俺はやる時はやる男だ!』
「去年も同じこと言ってたやん」
『今年は違う!』
「はいはい、俺は手伝わへんからな〜」
二人のやり取りに、教室中がまた笑いに包まれる。
先生は深いため息をついた。
「はいはい、静かに静かに」
ぱんぱんと手を叩く。
そして少しだけ優しい顔で教室を見渡した。
「じゃあ、また二学期にな!」
そう言って先生は教室を後にした。
ガラッ。
扉が閉まった 瞬間、
「夏休みだーーー!!!」
教室中が歓声に包まれた。
友達と遊ぶ予定を話す者。
部活の予定を確認する者。
みんな嬉しそうに席を立つ 中、 キヨはレトルトの方を振り返り、満面の笑みを浮かべた。
『レトさん!』
「ん?」
『夏休み、遊びまくるぞ!』
その顔は期待でいっぱいだった。
今年の夏は、きっと今までで一番楽しい夏になる。
そんな予感がしていた。
帰り道。
キヨとレトルトは夏休みのことについて話していた。
「キヨくん、夏休みは部活やろ?」
『うん!』
キヨは元気よく頷く。
『前半はほぼ部活。今度の大会でレギュラー入ったから頑張んなきゃ!』
嬉しそうに話すキヨを見て、レトルトも自然と笑った。
「そっか!さすがキヨくん!でも、キヨくんがサッカーしてるとこ見れへんの寂しいなぁ」
レトルトは足元に視線を落としてぽつりと呟く。
その言葉にキヨは固まった。
(は? なにこの可愛い生き物。 無理。 可愛すぎる。 あー、無理。 レトさん可愛すぎる。)
キヨはじーっとレトルトを見つめる。
「え、なに?キヨくん、こわっ」
キヨの目が突然ギラつき レトルトは少しだけ引いていた。
そんな反応を見て、キヨは慌てて顔を逸らした。
(危ねぇ、危ねぇ)
『なんでもねーよ!てか、暇なら大会見にこいよ! レトさんが応援来てくれたら、俺めっちゃ頑張れるし!』
レトルトは少し驚いた顔をしたあと、ふふっと笑った。
「じゃあ、応援行こうかな」
『マジ!?』
「うん!」
その返事だけでキヨは嬉しくなってしまう。
いつもの帰り道はあっという間だった。
気付けば、もうレトルトの家の前。
いつもなら軽く手を振って、 「また明日ね!」
そう言って別れるのだが 明日からは夏休み。
毎日当たり前のように会っていたのに、しばらく会えなくなる。
それがお互い分かっているのか、なかなか別れを切り出せずにいた。
「じゃあ……」
レトルトが口を開く。
でも、その先が続かず キヨも何か言おうとして、結局言葉が出てこなかった。
沈黙。
夏の夕方の生温い風が二人の間を通り抜ける。
そして、そろそろ本当に家に入らなきゃと思ったのかレトルトは辺りをキョロキョロと見渡した。
そして、誰もいないことを確認すると――
突然。
“ぎゅっ”
キヨに抱きついた。
『!?』
ふわっと鼻をくすぐるレトルトの汗とシャンプーの匂い。
(近い!! 近すぎる!!)
キヨの心臓は一気に跳ね上がり バクバクと煩いくらい鳴り響く。
キヨは頭が真っ白になり 抱き返そうと思ったが 身体が動かない。
そんなキヨを置いて、レトルトはゆっくり離れた。
顔は真っ赤に火照り 耳まで赤くなっていた。
「ま、毎日連絡するから!部活頑張ってね!」
慌てたようにそう言って、キヨの 返事を聞く前に、
「じゃ、じゃあね!」
と逃げるように家の中へ入っていった。
バタン。
扉が閉まり 静かになった道にキヨだけが取り残された。
『……』
数秒後。
キヨは顔を覆った。
『無理…./////心臓もたねーわ/////』
小さく呟いて 空を見上げた。
キヨは真っ赤な顔のまま、その場に立ち尽くしていた。
「キヨーー!!ナイスシュート!!」
「うわあああああ!!!」
眩しい夏の太陽が降り注ぐグラウンドに、大きな歓声が響き渡った。
試合終了のホイッスル。
キヨの蹴ったシュートが決勝点となり、チームは見事優勝を収めた。
観客席から見ていたレトルトも思わず立ち上がる。
「やったーー!!」
大きな声で喜びながら、ぴょんぴょんと飛び跳ねた。
約束通り、レトルトはキヨの試合を見に来ていた。
サッカーのルールは正直よく分からない。
オフサイドと言われてもいまいち理解できないし、フォーメーションなんてもっと分からない。
でも、 キヨが格好いいことだけは分かった。
ボールを追いかける姿も。
仲間に指示を出す姿も。
そして、ゴールを決めた瞬間の笑顔も。
全部格好よかった。
レトルトは試合中ずっと、そんなキヨに見惚れていた。
今回の試合のMVPは間違いなくキヨだった。
試合が終わると、チームメイト達が一斉にキヨの元へ駆け寄る。
「キヨ!!流石だわ!」
「やったな!!」
「お前すげぇよ!!」
あっという間に人だかりができた。
キヨを中心に輪ができ、みんなで優勝を喜び合っている。
レトルトは少し離れた場所から、その様子を眺めていた。
(本当、キヨくんすごいなぁ。)
いつもクラスではふざけてばかりいて
先生に怒られてばかりのキヨ。
でも今目の前にいるのは、誰よりも輝いて見えるサッカー部のエースだった。
「格好いいなぁ……」
思わず本音が漏れる。
もちろん、その声は歓声にかき消されて誰にも届かなかった。
試合が終わり、優勝の余韻がまだグラウンドに残っていた。
チームメイトに囲まれ、嬉しそうに笑うキヨをレトルトは少し離れた場所から見ていた。
(話しかけたいけど….邪魔しちゃ悪いかな。)
そう思いレトルトは、一人でグラウンドを後にしようと出口へと向かった。
その時だったーー。
ぐいっ。
突然腕を掴まれる。
「え?」
驚いて振り返ると、
『なんで一人で帰ろうとすんだよ!』
そこにはキヨが立っていた。
「キヨくん!?」
レトルトは目を丸くする。
さっきまでチームメイトに囲まれていたはずなのに。
「え!?なんでここにおるん?」
『なんでじゃねーよ』
キヨは呆れたように言った。
『レトさんが帰ろうとしてたから追いかけてきたんだろ!』
「でも….」
レトルトはグラウンドの方をチラッと見る。
「今から打ち上げじゃないの?」
優勝したのだ。
この後きっと盛大に祝うはずだ。
「今日の主役がいなきゃダメやん」
レトルトは困ったように笑った。
するとキヨは少しだけ視線を逸らした。
『そうだけど……』
珍しく歯切れが悪い。
「….?」
レトルトが首を傾げる。
キヨはしばらく黙り込んだ後、小さく呟いた。
『俺は……』
そしてレトルトの方を見る。
『レトさんに一番褒めてもらいたかった』
キヨは不貞腐れたように下を向く。
『せっかく優勝したのに レトさん帰ろうとするし…. まだ感想聞いてないし』
ぶつぶつと文句を言う姿は 拗ねた子供の様だった。
レトルトは思わず吹き出した。
「かっこよかった」
その言葉にキヨは顔を上げた。
「キヨくんが一番かっこよかったで」
レトルトはそう言って、キヨの頭をくしゃっと撫でた。
少し汗で湿った髪。
試合を最後まで走り切った証の様だった。
キヨはへへっと目を細める。
そして、 レトルトの手にすりすりと頭を擦り付けた。
まるで褒められた大型犬みたいに。
「……」
レトルトは思わず固まる。
(可愛すぎやろ。 何この生き物…////)
さっきまでグラウンドであんなに格好よかったキヨが 今はただただ可愛い。
“抱きしめたい”
その衝動をレトルトは必死に堪えた。
すると遠くから、
「キヨーー!!」
という声が聞こえてくる。
「打ち上げいくぞーー!」
チームメイト達が手を振っていた。
キヨはちらりとそちらを見る。
そして名残惜しそうにレトルトの手から離れた。
『レトさん….』
「ん?」
『一人で帰らせてごめんな』
キヨは少ししゅんとした顔をする。
『気を付けて帰ってな』
その表情にレトルトは思わず笑った。
「うん! ありがとう!」
するとキヨの顔がぱっと明るくなった。
『レトさん!応援来てくれてありがとな!』
今日一番嬉しそうな顔だった。
『今日の夜、電話する!』
そう言ってキヨは大きく手を振る。
レトルトも手を振り返した。
「分かった!打ち上げ楽しんできてね!」
キヨは嬉しそうに笑うと、そのままチームメイト達の元へ駆けていった。
「おせーぞ主役!」
『悪ぃ悪ぃ!』
仲間達に囲まれながら去っていく後ろ姿をレトルトは 見えなくなるまで見送った。
夏の日差しの中を走っていくキヨは、 やっぱり誰よりも眩しく見えた。
続く