テラーノベル
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瀬名 紫陽花
#創作
第2話
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2人の配信も終わり、配信後。ちょうど2人ともネットを彷徨っていた。エゴサーチをしながら、2人の口角はゆっくりと上がっていった。
「「こいつらちょっろ♡」」
だが、ある一つの投稿が目に止まった。
「透真くんと彩莉くんのカプまじで最高。絶対透真くんが攻めだし、彩莉くんは余裕あるけど受けでーーーーーーーーーーー
#透真×彩莉♡」
「「っ、はぁ!?!?」」
「ざっけんな!!俺が受けとか意味わかんねぇ!!俺は攻めだ!!てか透真とヤるとか頭おかしいだろイカれてんのか!!!」
声がかれる勢いで、彩莉は部屋の中で叫んだ。幸い、防音室だったのでギリギリセーフ。
そして、別の部屋。ゲーミングチェアに座り込んだ男は。
「…まあ俺の美しさに惚れたならしゃーないわ。カプにすんのも無理はない。だ、が、な!?」
大きく台パン。マウスが宙を舞う。
「なんでよりによってこいつとカプなんだよ!!しかもこのタグバズりすぎだろ!!!ふざけんなぁぁぁぁ!!!!!!」
二人の家に怒りの絶叫が響き渡った。
そして、数日後の朝。2人とも事務所に呼び出されていた。2人とも同じ事務所。お互いに猫を被りながら、事務所で話していた。
透真「あ!おはようございます!彩莉さんですね!」
元気に手を振ってみせた。
彩莉「ああ、そうだよ。おはよう。」
余裕を持った大人の(ふりの)口調。
透真「(はぁ…クソダル。俺より美しくもなんともねぇこいつと喋らなきゃなんねぇのかよ。)」
彩莉「(あーーーだるいだるいだるい。
昨日五万負けたんだよなパチンコ。あのクソ台が。二度とやらんわあの台。人と関わりたくもねぇわ。)」
その途端、事務所の山中というおえらいさんが顔を出した。
透真「(こいつにはいい顔しねぇとな)
おはようございます!」
ペコリと一礼。礼儀だけは一丁前だった。
彩莉「おはようございます。お元気ですか?」
こちらも華麗に礼をする。
山中【おー!!2人とも元気にしとるか!!】
茶色い肌のおえらいさん。こちらに駆け寄ってくる。アロハTシャツを着ていて、まさに陽気。
彩莉「(親戚のジジイかよ)ええ。」
透真「はい!旅行帰りですか?」
山中【ううん!これが普段着じゃ。】
「「(はぁー!?!?)」」
2人の心中の声が揃った。
透真「(おもろすぎだろ。普段着は草)そうなんですね!お似合いですよ!」
彩莉「俺もそう思います。(ダサさの極み)」
二人のにこやかな笑顔の裏にはきたねぇ爆笑が隠れている。
山中【まあまあ!今回は2人に話したいことがあってな!】
おえらいさんはニカッと笑った。
山中【最近「#透真×彩莉」のタグが流行っておるじゃろう。】
透真「はい!そうですね。(嫌な予感しかしないんだが)」
彩莉「そうですね。俺もよく見ます。(おいこいつにまで把握されてんのか)」
山中【そこでな、2人のカップルチャンネルを作ろうと思ったんだ!!】
「「(ん?????)」」
彩莉「(聞き間違い、だよな?そうだと言ってくれ頼む)えーっと、?俺と透真くんがカップル?」
透真「(カップルチャンネル??こいつとカップルとか脳が処理を拒否してるんだが)ほ、ほう…」
山中【おう!!そうだ。そうすれば2人の売り上げも伸びるぞ?】
彩莉&透真「う、売り上げ!!!」
事務所内に2人の声が響き渡った。スタッフたちが数人振り向いたが、ふたりは金に目がない。そんな事を気にしている余裕はなかった。
彩莉と透真は目を見合わせた。
彩莉「…それなら、引き受けましょう。」
目を細めてにこやかに笑った。
透真「お、俺もです!」
ぎこちなく頷いた。
山中【なら、決まりだな!!もうチャンネルも作ってるからな!今夜七時から活動開始だ!!】
彩莉「わかりました。(もう作ってんの?)」
透真「(最初から俺等に拒否権はなかったみたいだな)よろしくお願いします!」
山中【じゃよろしく!!またな!!!】
おえらいさんは妙に大きいキャリーケースを転がしながら、出口へ向かっていった。
彩莉&透真「(あいつやっぱ旅行帰りだろ…)」
2人も出口へ向かい、タクシーを呼ぼうとした。…が。すでに2人用の車が用意されてあった。
透真「(…なんか妙に準備いいな)」
彩莉「(嫌な予感しかしない)」
車からは、髪を一つにまとめた女性のスタッフが。黒のきちっとしたスーツに身を包まれている。高級なホテルのコンシェルジュのようだ。
[透真様、彩莉様ですね。この度は、お付き合いおめでとうございます。]
透真&彩莉「は、はい…」
ふたりは戸惑いながらも頷いた。
透真「(いや誰???付き合ってねえよ)」
彩莉「(誰だよ〇すぞ。情報回んの早すぎだろ)」
[山中様にご指示をいただき、お迎えに参りました。]
ぺこりと丁度90度の礼。
彩莉「ああ、ありがとうございます。(あのジジイーーーーー!!!!) 」
透真「そうなんですね…!(てかこの車何??ちっちゃ。俺の美しさに不釣り合いだろ。リム〇ンとか用意しろよ)」
彩莉と透真は苛立ちで拳を握りしめていた。
[そして、今回はお二人の同居する家にご案内いたします。]
彩莉「い、家。(ちょっと待てよ全部あのジジイか)」
透真「お、おぉー!すごいですね!(そこまでする???)」
[では、お乗りください。ご案内いたします。]
透真「お願いします!(終わったなこれ)」
彩莉「よろしくお願いします。(こいつらはバ〇か??頭の中カニ味噌で出来てんじゃねーの)」
車のエンジンがかかる。スタッフがハンドルを握り、アクセルを踏む。彩莉は後部座席に座り、虚ろな目で一点を見つめている。透真は白目を剥きかけていた。
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数十分後。
[お待たせいたしました。こちらがお二人のお家でございます。]
白く、シンプルな壁に、茶色がかった赤色の屋根。いかにも普通の一軒家だ。普通に暮らすには十分だが…
彩莉「(〇ね〇ね〇ね。なんだこの家。狭すぎるだろ。)素晴らしいお宅ですね。」
透真「わぁ、すごいです!(はぁー?俺に釣り合う家も車も用意できねぇのか。宮殿でも用意しろよ)」
[喜んでいただけて良かったです。それでは、お家の中をご案内いたします。]
彩莉&透真「はい!(微塵も喜んでねぇよ)」
[こちらがリビングルームとなっております。]
透真「うっわぁ…」
彩莉「うげ…」
透真と彩莉のツーショット写真(合成)がでかでかと額縁に入れられ、飾られている。
[どうかなさいましたか?]
スタッフの冷ややかな視線を感じ、二人は人懐っこい笑顔に顔を戻した。
透真「…すっごく綺麗です!」
彩莉「そうですね。」
2人とも頬の筋肉がこわばっていた。
[…すみません、あなたたちに少し質問があります。]
透真「? はい!なんでしょう!」
彩莉「(このガキぜってぇボロ出すなよ)」
彩莉が一瞬だけ透真を睨んだ。視線で訴えかけるが、睨んでいるのに気づかれてはいけないので、サッとスタッフに視線を戻す。
[お二人は本当にお付き合いされているのですか?]
スタッフの顔が顰められている。
透真&彩莉「(やっっべ怪しまれてる)」
彩莉「俺たちはほんとに付き合ってますよ。(ほんとにクソだるいがち〇ね)」
彩莉が透真の右手に、指を絡めた。俗に言う恋人繋ぎ。彩莉がニコッと微笑むとスタッフは丁寧に分けた前髪を崩し、鼻血を垂らしながら言った。
[んはぁぁぁありがとうございばずっ…!!!!付き合ってる証言いただきましたぁっ…!!!!!]
透真「(は????)」
彩莉「(こいつもカプ厨かよ勘弁してくれ)」
透真「あの、大丈夫ですか…?(頭大丈夫?おかしいんじゃない?)」
純粋に心配する男を演じるが、2人とも心の中では暴言祭り。
彩莉「レディー、これを。(はあきっも。カプ厨をレディー扱いとかしたくねーよ)」
彩莉がすかさずティッシュを取り出した。笑みは崩さない謎のプロ意識がここで生きている。
[ぁぁぁっ彩莉様ぁ…!!配信見てますっ!!拝んでます!!好きです!!]
スタッフは崩れ落ちながらもティッシュを受け取る。
透真「(は?俺は??てかなんだよ彩莉様って気色悪い)」
透真のこめかみに血管が浮いている。
彩莉「(おえええええええええ!!カプ厨に好かれてるとかこの世で一番嫌だ〇んじまえ)」
[透真きゅんも…純粋で好きぃ…]
スタッフは遺言のように言った。声がカスカスで倒れかけている。尊さの過剰摂取、というものか。
透真「ありがとうございます!
(は?透真きゅん?タメ口?俺様にタメ口使うとかバカか。年下だからってなめた口聞くな。〇すぞ)」
透真はそろそろブチギレそうだった。堪忍袋の緒が切れるのも時間の問題だろうか。
[あの…私倒れそうなので帰ります…尊さをどうもありがとうございましたぁ…!また来ます!!]
透真&彩莉「ありがとうございました!(二度と来んな)」
バタン、と音を立ててドアが閉まった途端。
彩莉「はぁきっしょきっしょきっしょ。」
息を吐くように暴言が流れ出る。彩莉は一人暮らしなので、暴言を余裕で発するが…今この場に透真がいるということを完全に忘れていた。まずい。あいつには猫かぶってるんだった。
彩莉「…あ。」
彩莉が焦りながらも透真を見ると。光のない目で気だるげにスマートフォンをいじっている。…あれ?あいつあんなキャラだっけ…
透真「それながちきしょい吐きそう」
透真「…あ。」
彩莉と透真は顔を見合わせる。
透真&彩莉「お前今なんて言った?」
コメント
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うわっ、この2人、顔と心の声が違いすぎて笑ったw 配信後のエゴサでカプタグにブチギレるところからもう最高だったのに、まさか事務所公認でカップルチャンネルやらされるとは…。山中さんの強引さも、スタッフのカプ厨ぶりも含めて、全部が「仕組まれてる感」満載で面白い。最後に素の口調がバレて顔を見合わせるシーン、ここからどう転ぶのか気になりすぎます!続き楽しみにしてますね!