テラーノベル
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放課後、体育着を忘れて俺は教室に戻った。今日はとことんツイいない。
算数の小テストは八点だったし、お母さんに叱られて絶対ゲームも没収される。最悪だ。
教卓の上に赤ペンが転がっているのが目にとまる。先生が使っているやつだ。ごくり、と息をのむ。
学校で噂されている、嘘つき赤ペンという不思議な怪談がある。
先生の赤ペンを使って嘘を書くと、それが本当になる。俺の点数も本当になるかもしれない。
机の中から答案用紙を取り出すと、赤ペンのキャップを開けた。
八の隣に九を追加して、九十八点にする。バツは少し歪だけど線を繋げて丸を描く。あとは答えを書き換えればいい。
完璧だ!
「あれ?」
手の中にあった赤ペンが、意思を持ったように勝手に動き始める。
「な、なんだよこれ」
『嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘』
答案用紙が真っ赤な文字でグチャグチャに塗りつぶされていった。
文字が紙の上で動いて、目の形になる。そして、ぎょろりと眼球を動かしてこちらを見た。
「ひっ!」
『嘘つき、みーつけた』
次に目を開けたときは、なぜか家にいた。
「悠斗、すごいじゃない! 九十八点だったのね」
お母さんがニコニコしながら、テストを見つめている。顔を引き攣らせながら俺は頷いた。
「次は満点をとらないとね」
「え?」
お母さんの口角が上がり、目は飛び出そうなほど大きく見開かれる。
「塾にも行きましょう。お母さんの言うとおりにできるわよね。さあ、今から勉強しなさい!」
「ち、違う」
いつものお母さんの顔じゃない。それに悪い点をとったら怒るけど、塾に行けとか言うとおりにしろとか言わない。
「オ母サンノ言ウコトガ聞ケナイノ?」
「誰だ……お前、誰なんだよ!」
「オ母サンヨ」
「っ、嘘だ!」
嘘? 自分で口にして、ハッとする。そうか。あの赤ペンで俺が嘘を書いたせいかもしれない。
「ぜ、全部嘘だから! 九十八点なんてとってない! 嘘を書いたんだ!……ごめんなさい! だから、元に戻して!」
涙目になりながら本当のことを言うと、次に瞬きをしたときには、俺は教卓の横に座り込んでいた。不思議なことに赤ペンは見当たらない。
「なんだ……夢か」
ゲームを没収されるだろうけど、いつものお母さんでいてくれるなら叱られた方がいい。
『よくできました』
声が聞こえた気がする。けれど、振り返っても誰もいなかった。
コメント
1件
うわっ、めっちゃ怖かった……!!😨💦 嘘を書いたら赤ペンが勝手に動いて『嘘つき、みーつけた』って……もうその時点で鳥肌やばい!🫣 しかも、お母さんの様子がおかしくなって「塾行きなさい!」って強迫してくるところ、ホラーとしての不気味さが最高に効いてた……! 最後は「よくできました」って声だけ残して赤ペン消えるのも、続きが気になりすぎる構成だよ✨ 日常のちょっとした悪さがとんでもないことになる系、大好きだから続き待ってます🔥