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灰色の霧が立ち込める冥府の門前。
数百の悪魔たちが列を作り、重苦しい空気が漂っている。
「ここから始まるのが、冥府仕官試験だ」
黒いローブをまとった試験管の声が、門の広場に響く。
「この試験に挑む者は、500人。合格者はわずか10人に過ぎない。覚えておけ。ここでの失敗は、その者の未来を決定する。すべての門を突破した者のみが、冥府で働く権利を得る。戦闘、知識、判断、そして覚悟。4つの試練が君たちを待つ。」
少年は羽を封印したネックレスを胸に感じながら、静かに列に並ぶ。
目の前には、あの小柄な悪魔もいた。
「あっ、お前!」
彼は少年を睨みつける。だが、その手元には微かに震えが見えた。
少年は軽く笑みを浮かべるだけで、言葉を返さない。
「まずは第一門。千年戦争の幻影の門だ。」
試験管の声とともに、巨大な石の門がゆっくり開く。
門の向こうには、古代戦争の戦場が幻影となって立ち現れる。
天界と魔界の兵士たちがぶつかり合う音、剣が交わる音、煙。すべてが生々しく再現されていた。
少年は胸の奥で鼓動を感じながら、一歩を踏み出す。
その動作は意図的に震えを抑え、覚悟を確かめるようにゆっくりと歩いた。
幻影の兵士たちが迫る。少年剣を構え、戦いを切り抜ける。
敵を倒すだけでなく、弱者を守る動きに徹するその姿は、戦場の真ん中でも冷静で揺るがない。
小柄な悪魔は、最初はぎこちなく動くが、慣れてきたのか少しずつ自分なりに間合いを詰め、攻撃を返すことができるようになる。
「やるじゃないか」
少年の言葉に、少年は顔を赤くして俯く。
「べ、別に…褒められたからって…嬉しくなんかないんだからな!」
その声の奥に、純粋な喜びと憧れがにじんでいた。
二人の連携が噛み合い、幻影の兵士を次々と押し返す。
最後の一撃、巨大な幻影兵士が二人の前に立ちはだかる。
少年は小柄な悪魔を前に押さえつつ、自ら剣を構え、正確な判断で幻影を切り裂く。
霧が晴れ、第一門。千年戦争の幻影は突破された。
門の向こうには、さらに熾烈な試練と、冥府の権力者たちが待っている。
悪魔は息を荒くしながらも、少年を見上げる。
「…くそっ、強すぎる…」
小さな声に混じる悔しさと尊敬。
少年は微かに笑い、歩き続ける。
冥府仕官試験はまだ始まったばかり。
だが、第一門を突破した二人の絆は、これからの試練に立ち向かう大きな力となるのだった。