テラーノベル
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『私の…………父と母に……間違い……ありま……せ……ん…………』
瑠衣の瞳の奥がジワジワと熱くなり、こう答えるだけで精一杯。
二人の首元にある縄で締められたような赤黒く変色した跡が生々しく残り、彼女は思わず顔を背けたが、意を決するように今一度両親の遺体と向き合った。
視界が滲んで瞳が痺れるような感覚がしてきたかと思うと、目尻から雫が頬を止めどなく伝い落ちる。
『っ……ううぅっ…………っ……うっ…………っ……ううぅぅっ……うわぁぁあぁっ……!!』
母の遺体に覆い被さるように伏せ、瑠衣は人目も憚らずに、顔をクシャクシャにさせて泣きじゃくった。
両親が亡くなってから、四十九日の納骨まで、あっという間に日々が過ぎ去っていった。
葬儀を気丈に振る舞いながらも執り行った後、瑠衣は役所や銀行などに出向き、様々な手続きを済ます。
山梨の警察署に出向き、事情聴取もした。
お墓は祖父母が眠っている九條家の墓があり、両親はそこに埋葬された。
ようやく落ち着きを取り戻し、両親の遺影を見ながら、二人の死が現実味を帯びてきた頃。
ガランとしたキッチンで昼食の準備をしている時、玄関ドアが、けたたましく叩かれる音がした。
(え…………な……何……?)
『ドンドンドンドン!!』と響き続ける方へ、おずおずと向かっていき、ドアスコープで来訪者を確認すると、その筋の人と思われる柄の悪い男二人が、怠そうに立っている。
背が高く体格のいいオールバックの黒髪男に、ひょろっとしている茶髪のツンツンしたヘアスタイルの男。
二人ともスーツは着ているが、人相はかなり悪い感じだ。
『九條さんよぉ! いるんだろ!? いい加減出てこいや!!』
ドスの効いた声に、瑠衣の背筋がゾワリと凍っていくのを感じながら、恐々とドアを開けた。
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