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どうも皆さんゆっぴーです☆
リクエストもらったので紹介します!
「雪解けの約束 ー Long ver. 」
第一話 となりの無愛想くん
高校二年の春。
クラス替えの紙を見た瞬間、私は小さく息を飲んだ。
「2年3組……」
隣の席の名前は、朝比奈 湊(あさひな みなと)。
無口で、愛想がなくて、女子からは「ちょっと怖い」と噂されている人。
実際に席についてみると、彼はもう座っていて、窓の外を見ていた。
横顔が、やけにきれいだった。
「……よろしく」
勇気を出して声をかけると、彼は一瞬だけこちらを見る。
透き通るみたいな目。
「……よろしく」
低い声。短い返事。
それだけで、また前を向いてしまった。
(あ、やっぱり怖いかも)
でもその日、授業中に消しゴムを落とした私に、彼は無言で拾ってくれた。
指先が、ほんの少し触れた。
「ありがとう」
「……別に」
そっけないのに、耳が赤い。
(あれ?)
その日から、私は気づいてしまった。
彼は無愛想なんじゃない。
不器用なだけだ。
テスト前日。
「……ここ、出る」
突然、ノートの端を指差される。
「え?」
「山田先生、去年ここ出した」
ぼそっと言う。
「教えてくれるの?」
「……お前、数学弱いだろ」
「な、なんで知ってるの!」
「いつも途中で止まってる」
見てるんだ。
私のこと。
胸の奥が、じんわり温かくなった。
放課後、雨が降った日。
傘を忘れた私に、彼は無言で自分の傘を差し出した。
「入れ」
「え、でも」
「風邪ひくだろ」
相合傘。
距離が、近い。
肩が触れそうで、触れない。
鼓動がうるさすぎて、きっと聞こえてる。
「……なんで、そんな優しいの?」
思わず聞いてしまう。
彼はしばらく黙ったあと、ぽつり。
「優しくない」
「優しいよ」
「……うるさい」
でもその声は、少しだけ笑っていた。
私はこのとき、もう好きになっていたのかもしれない。
終わり〜