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私
利私欲、強欲、傲慢、我執、独占欲、見栄っ張り、わがまま、慢心、増上慢、嫉妬、怨恨、憎悪、憤怒、恨みつらみ、復讐、報復、仕返し。
病名:狂乱の花々病 近年、ここ日本でも奇妙な病気が発見されました。発病した人間は自分の周囲で突然植物が芽を出し始めるのです。更に進行すると体の一部が変質して枯れていきます。そして最後には、全身が植物の種となり、息絶えると言われています。症状の進行を止める薬はなく、ただ死を待つのみなのです。しかし、この奇病にはひとつだけ救いがありました。それは、植物化した部分は二度と元に戻らないということ。つまり、一度植物化してしまえば、二度と同じ姿に戻ることはないということです。
昭和の頃は、こんな病気はありませんでしたね。
平成に入ってからですね、このような謎の奇病が発見されたのは。
「あぁ、お嬢さん……なんて美しいのかしら! まるで、天使みたいだわ!」
そう言って頬に手を当ててうっとりとした表情を浮かべるのは、長い黒髪の女性だった。
彼女は興奮気味に身を乗り出して、隣に座っていた少女を見つめている。
だが、見つめられた当の少女――藍色の髪を肩口まで伸ばした小柄な少女は、戸惑ったように首を傾げる。
「えっと……。ごめんなさい。よくわからないんですけど」
「あー、うん。そうだよね。俺もよくわかってないんだけどさ」
少年は苦笑して頭を掻いた。それから、もう一度言う。
「だから、俺は君のことを助けたいんだよ」
「助けてもらっていますよ?」
きょとんとする少女に、今度は困ったように眉尻を下げる。
「それはそうなんだけどね。もっとこう、ちゃんと君のために何かしたいっていうかさ」
「そう言われても……」
「う~ん。やっぱり難しいかなぁ」
「いえ。難しくはないと思います」
「へ?」
あっさりと言い切った少女に、思わず素っ頓狂な声を上げてしまう。
「難しくはない……って。どういう意味だい? だって、君は今のままじゃつらいんじゃないかい?」
「確かに、今の状況はつらかったです。ずっとこのままなのかなって思ってました」
「だったら!」
身を乗り出す少年に対して、しかし少女は静かに首を振る。
「だけど、それでいいと思ってたんですよ」
「それってつまり……現状維持のままでいいってことかい?」
「はい」
「どうして!? せっかくこうして自由に動けるようになったのに! これからやりたいこととかたくさん出てくるんじゃないのか!?」
「もちろんですよ!」
「当然だね」
「当たり前ですね」
「当然でしょ?」
「あー……えっと……」
「う~ん……そうねぇ」
「……はい」
「当然でしょう?」
「あたりまえよ」
「うん」
「はぁ……」
「ふぅ……」
「さて、では」
「じゃあいくわよぉ」
「お願いします」
「よろしくお願いします」
「わかりました」
「まかせてください」
「がんばるわ」
「はいっ! 頑張りましょう!!」
「任せておけ」
「任せなさい」
「はぃ」
「はぁい♪」
「わかった」
「はぁい」
「…………」
「…………」
「