テラーノベル
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5話目もよろしくお願いします!
更新が遅くなってしまってすみません、、、
スタートヽ(*^ω^*)ノ
次の日から、ふたりは少しずつ“プレイ”を重ねるようになった。
最初は、本当に簡単なものからだった。
「……COME(来い)」
「……HUG(抱きしめて)」
短く、静かな声。
少しぎこちなく囁く声。
その一言が落ちるたび、
レトルトの身体は素直に反応する。
足が動き、 腕が伸びる。
理由なんて考える前に体が自然とキヨの声を受け入れる。
キヨのコマンドに 胸の奥から、じわりと熱が広がって、
背中をなぞるようなゾクゾクとした痺れが走る。
――こんなの、知らなかった。
快感と同時に、
不思議な安心感が満ちてくる。
レトルトは、ほんのりと頬を染めながら、
キヨの声に身を委ねていた。
その様子を見ているだけで、
キヨの喉が、微かに鳴る。
従わせている、という感覚よりも先に――
信じてくれている、という事実が胸を打つ。
「……レトさん」
名前を呼ぶだけで、
また小さく身体が震える。
その反応が、
キヨの中に眠っていた何かを、確実に熱くさせていった。
怖くない。
苦しくもない。
ただ、
声と気持ちが繋がっている感覚。
キヨは、そっとレトルトに手を伸ばし、
確かめるように触れる。
「無理そうなら、すぐ言えよ」
その言葉に、
レトルトは少し驚いたように目を瞬かせてから、
ふにゃりと笑った。
『……キヨくん、優しすぎ』
その笑顔を見た瞬間、
キヨは思った。
――あぁ、俺は今、
ちゃんと“ドム”でいられてる。
支配じゃない。
強さでもない。
大切な人を導くための、
声の重み。
その確信が、
キヨの中で静かに、確かな熱へと変わっていった。
プレイを重ねるたび、キヨの中にあった空白はゆっくりと埋まっていった。
あれほど青白かった頬には血色が戻り、
質の良い睡眠のおかげか朝もスッキリと起きれるようになっていた。
朝、鏡に映る自分の顔が
少しずつ生気を取り戻していくのが分かった。
――満たされている。
それは身体の調子だけじゃなく、
胸の奥にあった焦燥や孤独が、静かにほどけていく感覚だった。
隣にレトルトがいる。
それだけで、呼吸が楽になる。
毎日、無理のない範囲でプレイを続けていくうちに、
キヨは少しずつコマンドにも自信を持てるようになっていった。
声はまだ強くない。
でも、届いている。
ちゃんと、目の前の一人に。
そんなある日だった。
「……レトさん」
プレイの後、ケアをしながら何気なく名前を呼んだ瞬間、 レトルトの表情がほんの一瞬だけ揺れた。
すぐにいつもの柔らかい笑顔に戻ったけれど、
キヨは見逃さなかった。
その奥に、
小さな“物欲しさ”が混じっていたことに。
甘えるようでもなく、
不満でもない。
ただ、何かを待っているような目。
キヨは少しだけ首を傾げる。
「どうした?」
そう聞くと、レトルトは一瞬言葉に詰まり、
視線を逸らしてから、小さく笑った。
『……なんでもないで』
でも、その声は少しだけ掠れていた。
キヨの胸に、
小さなざわめきが生まれる。
――足りてないのか?
――俺のコマンドじゃ、まだ。
「….俺のコマンドじゃ足りてない?」
キヨは申し訳なさそうに、レトルトの目を見た。
「ごめん。満たせてあげられてないよな。
俺のコマンドじゃ….弱いよな。ははは..」
苦しそうに笑うその表情は、
自嘲というより、どこか怯えているようだった。
自分の声が、
この人を幸せにできていないんじゃないかという恐れ。
「弱いなら全然言ってくれていいからさ!!言われるの慣れてるし、そんな事でいちいち傷付いたりしねーし。その方がレトさんのためにも…」
その言葉を聞いた瞬間、
レトルトの胸がぎゅっと締め付けられた。
『違う!!』
小さく、でもはっきりとした声でキヨの言葉を遮る。
レトルトはキヨの手を両手で包み込む。
『俺は…今までの人とは違う。今までの人たちはキヨくんを受け入れる覚悟がなかったんや。』
レトルトはキヨの目をまっすぐ見据えた。
『俺は違う!俺はキヨくんの言葉を全部受け入れる。だからもう、自分が悪いみたいに言わんとって』
その言葉にキヨの肩が小さく震えた。
『俺を今までの人と一緒にせんとって。』
レトルトの表情を見た瞬間、
キヨの胸の奥で、静かな確信が灯った。
――あぁ、俺は今、
この人のために声を使いたいんだ。
もっと知りたい。
もっと満たしてやりたい。
キヨはゆっくりとレトルトの手を取り、
優しく包んだ。
「レトさん….」
今度は少し低い声で呼ぶ。
「レトさんは…なにが欲しい?」
キヨの声は静かだった。
けれど、その奥にある熱は隠しきれない。
優しく包み込むようでいて、
逃げ場を与えない――
まるで獲物を見定めるような視線。
その目に見つめられた瞬間、
レトルトの背筋に細い電流みたいな震えが走った。
息が少しだけ浅くなる。
言葉にするより先に、
胸の奥が答えを知っている。
レトルトはゆっくり息を吐いて、
視線を逸らさずにキヨを見返した。
『……キヨくんが欲しい』
それは告白みたいにまっすぐで、
でもどこか甘くほどけた声だった。
支配されたい、なんて言葉は使わない。
けれど――
近づく足取り、
わずかに震える指先、
キヨの声を待つように揺れる瞳。
全部が、同じことを語っていた。
キヨの喉が小さく鳴る。
その姿を見て、
胸の奥が熱く満たされていくのが分かる。
欲しがられている。
必要とされている。
それは支配の優越感じゃなくて、
もっと静かで深い――
キヨは一歩だけ距離を詰める。
「じゃあさ」
低く、柔らかく。
「もっと欲しいって顔、してみてよ」
その言葉に、 レトルトの頬がゆっくり赤く染まり瞳が一瞬でとろけるように揺れた。
部屋の空気が、
静かに甘く変わっていく。
続く
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