テラーノベル
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ずるり、ズズズズ
全員が動かなくなり、静かになったと魔物は反転し、もと来た道を戻っていく。
姿が見えなくなったのを確認して、僕はゆっくりと動いた。
「はぁ、役立たずだなぁ……」
アリストの所に行き、倒れている彼から剣と鞘を取る。僕はそれを自分の腰につけた。
きゅっと帽子を深く被り直し、僕はアリストを守るように寄り添って倒れている彼女のそばに立つ。それからそっと、彼女を抱き上げた。さらりと、黒い髪が後ろに流れ、眠る彼女の顔が見えた。
「軽いなぁ――」
彼女はとても可愛くて、強くて、くるくる変わる表情が見ていて面白い。それと、とてもいい匂いがする。
「何で、最初に出会ったのが僕じゃなかったんだろう」
僕は抱き上げた彼女をあの場所へと運ぶ。
悪夢を見ないように、出来るだけ優しく。
「はぁ、そんなこと言われたってっすよ――」
僕の呟きは、誰に聞かれるでもなく、暗闇に溶けた。
ーーー
居た。ロックウェアーモウルだ。
風の精霊の場のすぐ横で、大きな魔物は身体を少しだけ丸め、ちょうど、眠りについたみたいだ。これなら、もう彼女を起こしても大丈夫だろう。
眠っている彼女の耳元に小さな魔獣がくっついている。
コイツをはがせば……。
「風の精霊よ」
魔獣を風で追い払う。これですぐに、彼女は目覚めるだろう。
これぐらいなら、怒られないかな?
クスリと一人笑ってから、僕は彼女の耳元に口を寄せた。
「リサちゃん――、起きて下さいっす」
目が覚めた時、アリストじゃなかったら、彼女は嫌な顔をするのかな……。
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ゑぬ。
1,183
#ファンタジー
成瀬りん
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花月夜れん
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コメント
1件
みぅです🤍 「最初に出会ったのが僕じゃなかった」って台詞、めちゃくちゃ胸にくる…。ずっと優しく彼女を見てきたんだなって伝わってきて、切なくなる。魔物をやり過ごしてからリサちゃんを抱き上げて運ぶところ、静かな夜の感じがすごく好き。目覚めた時に自分じゃなかったら…って考える姿がまた泣ける。れんさん、この空気感の描き方、ほんと綺麗です🌙