「こんにちは。えっと…私のこと覚えてます?」
正直心配だった。私は直接彼とはあまり話したことがない。
いつも受診(?)をしているのは社長だったし、私は横で資料に書いているだけだったからだ。
彼はこくと頷くだけだったけれど、そこには感情がちゃんとこもっていた。
柴田くんはもう一度米田くんにお辞儀をして僕たちのことを招き入れてくれた。
柴田君は僕の友達で、高校のときの部活の後輩だ。
僕はサッカー部のキャプテンで、彼は僕の大切で仲の良い後輩だった。
後輩というのに本当にサッカーが上手でプロサッカー選手を目指しても通用するようなレベルだった。
でも、家の思いで成績の良い大学へと進学した。きっと今は定休してるけれど、立派な教師になっている。
この病気が発症したのは、2年前。
僕が22で、彼が21のときだった。原因としては、過剰なストレスと不眠。
彼のココロを“人の目”が押しつぶしていた。
その人の目というのは親からの重圧だった。いい大学に出て自慢できるような職業につく、これが母親の願望だったらしい。
3回中3回の発症がこれだ。
でも、最後の発症で僕も母親に会ってちゃんと柴田くんのココロと向き合ってもらった。
そして、最後の発症から今日まで1年の月日が経っていた。
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