第6話:光と影のアート
夜のアートギャラリー。
壁一面に投影された絵画が、突如としてノイズに侵食され、色彩が灰色の渦に変わっていく。
現れたのは――幻惑型ウイルス怪物。
姿は人の輪郭を持ちながら、身体の表面に無数の「偽りの顔」が浮かび、見る者の心を揺さぶった。
「ここは……俺の舞台のはずなのに……!」
肩までの茶髪を揺らし、派手なシャツを着た天羽光が震える。
紫と墨染めのアート風スーツを展開し、イヤーカフがきらめく。
だが、傍らのイルカ型AI「ルナ」が突然悲鳴のような波動を放った。
感情過多。制御不能。光、あなたの心が揺れている。
ルナの輪郭が歪み、周囲に幻影をばらまき始めた。仲間の姿すら偽物と本物が交錯し、区別がつかなくなる。
「落ち着け、光!」
灰と赤のアーマースーツに身を包む鳴海隼人が叫び、短髪の額を汗で濡らす。
ポメ型AI「マル」が冷静に報告。
幻影率72%。仲間同士の誤射リスク大。
隼人は拳を叩きつけるが、偽の壁に阻まれて空を切る。
「未来、支えて!」
黒髪ショート、制服の上にドクターコートを纏った結城未来が前に出る。
ピンクと黄緑のヒールスーツに光を走らせ、キツネ型AI「サラ」が尾を広げた。
「プロンプト!《心安定リンク》!」
仲間たちの動揺が和らぐが、光の混乱までは抑えきれない。
「チィ、幻影の発生源を探せ!」
丸眼鏡にセミロングの髪、赤とグレーのワークスーツを着た秋月理央が工具ベルトを叩く。
リス型AI「チィ」が即席スキャナーを展開し、ノイズの中心を指し示した。
「そこか!」
理央が光砲を放つが、幻惑型は姿を変え続け、直撃しない。
「ピコ、未来視!」
緑のライトスーツを纏う真城蓮が背中にホログラムの翼を広げる。
セキセイインコ型AI「ピコ」が鳴き、未来視が映し出すのは――仲間同士が互いに攻撃し合う未来だった。
「……止めなきゃ!」
そのとき、光が膝をついた。
「俺は……アートを武器にしたいのか……それとも……」
ルナが震え、涙のような光を流す。
未来が声を張り上げた。
「光! あなたは私たちを笑わせてくれる! 絵を描いてくれる! 嘘なんかに負けないで!」
隼人も拳を構えながら叫ぶ。
「感受性はお前の力だ、恐怖じゃない!」
理央も、チィと共に設計図を投げる。
「ルナの波を解析した! 5人で共鳴すれば幻影を破れる!」
蓮は翼を広げ、叫んだ。
「光! 俺たちを信じろ!」
「……ああ、見えるよ」
光の瞳が再び輝く。アートスーツが鮮烈な紫に燃え、ルナが大きく鳴いた。
「ルナ、プロンプト!《感情波リンク》!」
イルカの波紋が仲間のAI全員と共鳴し、五人を繋ぐ光の弦となる。
ピコの未来視、マルの戦術、サラの心理安定、チィの解析が一斉にリンクし、幻惑型の嘘を次々と打ち砕いた。
「今だ、全力で!」
5人の攻撃が重なる。
蓮の翼が切り裂き、隼人の拳が砕き、未来の治癒光が敵の幻影を浄化。
理央の砲撃がコアを撃ち抜き、最後に光とルナの「感情波リンク」が真実の光で敵を覆う。
幻惑型怪物は悲鳴のようなノイズをあげ、灰の欠片となって霧散した。
静まり返ったギャラリー。
光は肩で息をしながら、ルナを見上げた。
「……俺の感受性、やっと武器になったんだな」
ルナは柔らかな光を返し、仲間たちも笑顔で頷いた。
こうしてホロ・ガーディアンズは、新たな「感情波リンク技」を手に入れ、絆をさらに深めたのだった。