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#山中柔太朗
Freesia
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3ヶ月で本気(マジ)になる恋。
🩷佐野勇斗
💛吉田仁人
🤍山中柔太郎
❤️曽野舜太
💙塩﨑太智
第6話 君の好きなところ。
浅草デートの動画が公開されてから、
数日。
SNSには、今日も”さのじん”の投稿が
溢れていた。
『今回のさのじん、距離感バグってない?』
『勇斗くん仁人くんのこと見すぎじゃない?笑』
『飲み物覚えてるの彼氏すぎる🩷🩷🩷』
『人混みでさりげなく守ってるのやばい』
『吉田さん照れてるのが可愛い💛』
『誰かこの2人の企画永遠に続けて』
『勇斗くん、仁人くんのこと好きすぎるでしょ😂』
『ほんとにカップルなんだ🥺』
『さのじんずっと見てたい』
『結婚まで見届けたい』
そんなコメントを見ながら、
仁人はスマホを伏せた。
💛「……ほんと、よく見てるなぁ」
❤️「そりゃあれだけ距離近かったらね」
💙「今回めちゃくちゃバズってたよ」
🤍「特に勇斗の『可愛い』ね」
🩷「あれは普通に思ったこと言っただけだけど」
💛「……」
まただ。
勇斗はこういうことを、
なんでもないみたいな顔で言う。
それが一番困る。
💛「……企画だからね」
自分に言い聞かせるように呟いた。
すると勇斗が、少しだけ仁人を見る。
🩷「うん」
その返事が妙に優しくて。
仁人は、なぜか目を合わせられなかった。
数日後。
👤「次の企画、決まりました」
スタッフからそう告げられた二人。
💛「また二人?」
👤「はい。今回は『お互いの好きなところを10個言う』という企画です」
💛「……10個!?」
思わず声が裏返る。
隣では勇斗が笑っていた。
🩷「いいじゃん」
💛「よくないよ!」
🩷「なんで?」
💛「10個もないでしょ!」
🩷「俺はあるけど」
💛「……え?」
あまりにも自然に返されて、
仁人は固まった。
🩷「?」
💛「……いや、なんでもない」
心臓が、変な音を立てた気がした。
――撮影開始。
カメラの前に並んで座る二人。
スタッフから質問が飛んでくる。
👤「それでは、お互いの好きなところを10個ずつお願いします!」(本編では5個書かせてもらいます)
💛「……ほんとにやるんだ」
🩷「もちろん」
💛「じゃあ勇斗から」
🩷「俺から?」
💛「うん」
勇斗は少し考えるように首を傾げた。
そして、
🩷「仁人の好きなところ、10個?」
💛「そう」
🩷「余裕」
💛「……」
即答。
💛「……早くない?」
🩷「だっていっぱいあるもん」
💛「…………」
まただ。
こういうところ。
冗談なのか、本気なのか。
全然分からない。
🩷「じゃあ一個目」
勇斗が指を一本立てる。
🩷「笑ったときの顔」
💛「……」
🩷「二個目。真面目なところ」
💛「うん」
🩷「三個目。メンバーのことちゃんと見てるところ」
💛「……」
🩷「四個目。意外と甘えん坊なところ」
💛「ちょ、待って」
思わず勇斗の方を見る。
💛「俺そんな甘えん坊じゃないでしょ」
🩷「えー?そう?」
💛「そうだよ」
🩷「俺は知ってるけど」
💛「……」
またその言い方。
まるで、
自分のことをずっと見てきたみたいな。
なんで。
なんでそんなことまで知ってるんだろう。
笑った顔も。
真面目なところも。
メンバーのことを見てるところも。
自分では普通だと思っていたところを、
勇斗は次々と言っていく。
そして、
🩷「五個目」
少しだけ声が柔らかくなった。
🩷「意外と俺のことを見てくれてるところ」
💛「……意外と?」
🩷「うん」
💛「どこが?」
🩷「俺が俳優の仕事でいっぱいいっぱいだったとき、仁人だけ気づいてくれたじゃん」
💛「……」
🩷「『頑張らなくていいんじゃない?』って言ってくれたの、覚えてる」
💛「……そんなの、覚えてたの?」
🩷「覚えてるよ」
💛「……」
🩷「あのとき、すごい嬉しかったから」
その言葉を聞いた瞬間。
仁人は、あの日のことを思い出した。
忙しい仕事が続いて、
勇斗がいつもより静かで、
それでも何も言わずに頑張っていた頃。
ただ、それを見ていられなくて。
何気なく言った言葉。
――頑張らなくていいんじゃない?
まさかそんな昔の一言を、
勇斗が覚えているなんて。
💛「……そんなの、覚えてたの?」
🩷「覚えてるよ」
💛「……なんで?」
🩷「嬉しかったから」
💛「……」
その一言が妙に胸に残った。
勇斗はいつもみたいに笑っている。
でも、その目だけは冗談じゃなかった。
🩷「あのとき、俺のことちゃんと見てくれてる人がいるんだって思った」
💛「……」
仁人は何も言えなかった。
ただ胸の奥が、じんわり熱くなっていく。
👤「じゃあ次、仁人くん!」
スタッフの声で我に返る。
💛「え、あ、俺?」
👤「はい!仁人くんから勇斗くんの好きなところを10個!」
💛「……急だなぁ」
🩷「楽しみ」
💛「なんで勇斗が楽しそうなの笑」
少し考えてから、俺は指を一本立てた。
💛「一個目。優しいところ」
🩷「うん」
💛「二個目。周りをよく見てるところ」
🩷「ありがとう」
💛「三個目。仕事に真面目なところ」
🩷「……」
💛「四個目。一緒にいると楽しいところ」
🩷「それ、好きなところっていうより……」
💛「いいの!」
少し照れながら言い切る。
そして、あと一つ。
仁人は少しだけ考えた。
何を言おう。
そう思ったとき、ふと浮かんだ。
💛「……五個目」
勇斗がこちらを見る。
💛「俺がしんどいとき、何も言わなくても気づいてくれるところ」
🩷「……」
今度は勇斗が黙る番だった。
💛「前にさ」
🩷「うん」
💛「俺がちょっと疲れてたとき、勇斗が何も言わずに飲み物くれたことあったじゃん」
🩷「……あったね」
💛「ああいうの、結構嬉しいんだよね」
照れくさくなって、仁人は笑った。
💛「だから……好き」
言ってから、
自分で言葉の意味に気づいた。
💛「……あ」
🩷「……」
💛「いや、今のは!」
🩷「ふふ」
勇斗が笑う。
🩷「分かってるよ」
💛「……もう、紛らわしいんだよ!」
顔が熱い。
カメラが回っていることを
忘れそうになる。
――撮影終了。
👤「はい、OKです!お疲れ様でした!」
スタッフの声と同時に、
カメラの赤いランプが消えた。
💛「……終わったぁ」
仁人は椅子にもたれながら、
ふぅっと息を吐く。
🩷「お疲れ」
💛「勇斗もお疲れ」
二人の間に、
少しだけ静かな時間が流れた。
さっきまでカメラの前で
話していたからか。
カメラが止まった途端、
妙に意識してしまう。
仁人はさっき自分が言った言葉を
思い出した。
――「だから……好き」
もちろん、企画の中での「好き」。
そういう意味だった。
……なのに。
💛「……」
なんでこんなに恥ずかしいんだろう。
さっきの勇斗の言葉が、頭から離れない。
『意外と、俺のことを見てくれてるところ』
『あのとき、嬉しかったから』
たった一言。
自分にとっては、
何気なく言った言葉だった。
でも勇斗は覚えていた。
しかも、そんな昔のことを
嬉しかったと言ってくれた。
💛「……勇斗ってさ」
🩷「ん?」
💛「俺のこと、よく見てるよね」
勇斗が少しだけ目を丸くした。
🩷「……そう?」
💛「うん」
仁人は勇斗を見る。
💛「飲み物のこととかも覚えてたし」
🩷「うん」
💛「今日だって、俺が昔言ったことまで覚えてたし」
🩷「……」
💛「なんか……」
少しだけ言葉を探して。
💛「俺より俺のこと知ってるみたい」
🩷「……」
勇斗が黙る。
その沈黙が気になって、
僕は首を傾げた。
💛「勇斗?」
🩷「……うん」
少しだけ笑って。
🩷「仁人のこと、よく見てるから」
💛「……」
心臓が跳ねた。
まただ、その言い方。
なんでもないことみたいに言うくせに。
どうしてこんなにドキドキするんだろう。
💛「……なんで?」
思わず聞いてしまった。
勇斗は一瞬だけ黙った。
――勇斗side
――好きだから。
それだけ。
答えなんて、ずっと前から決まっている。
仁人が笑ったら嬉しい。
疲れていたら気になる。
何を飲むのかも。
何が好きなのかも。
何を考えているのかも。
気づけば、いつも目で追っている。
だから、
「よく見てる」のは当たり前だった。
でも。
今ここで言ってしまったら。
全部変わってしまう。
今の仁人は、まだ俺を
“恋人役”として見ている。
だから――
まだ言わない。
焦らない。
この3ヶ月の間に、少しずつでいい。
仁人の中に、
俺の存在を増やしていけばいい。
そしていつか。
仁人自身が俺を好きになってくれたら、
そのときに伝えたい。
ちゃんと俺の言葉で。
だから今は――
🩷「……秘密」
💛「え?」
仁人が目を丸くする。
🩷「なんでかは、秘密」
💛「えー、なにそれ」
🩷「そのうち分かるよ」
💛「……気になるじゃん」
🩷「じゃあ、気にしといて」
💛「……」
仁人の頬が、ほんの少し赤くなる。
その顔を見て勇斗は思わず笑った。
――可愛い。
また、そう思う。
でもそれも言わない。
今言ったら、
きっとまた仁人を困らせるから。
――仁人side
帰り道。
一人になった途端。
さっきの会話がまた頭に浮かんだ。
『仁人のこと、よく見てるから』
『じゃあ、気にしといて』
💛「……なんだよ、それ」
小さく呟く。
ただの企画。
そう。3ヶ月間の恋人企画。
だから勇斗が優しくするのも、
好きって言うのも、
全部、全部、企画のため。
……のはずなのに。
今日だけはどうしても、
そう思えなかった。
💛「……俺、思ったより勇斗のこと見てるのかも」
自分で口にして仁人は少しだけ驚いた。
今までなら。
「勇斗は優しい」
それだけだった。
でも最近は、勇斗が何を考えているのか。
自分をどう見ているのか。
少しずつ、気になるようになっている。
そして――
その”気になる”が何なのか、
仁人はまだ知らなかった。
※実在の人物・グループを題材にした
フィクションです。
コメント
1件
今回もドキドキしました。勇斗が仁人の好きなところを即答するシーン、特に「意外と俺のことを見てくれてるところ」が刺さりました。昔の何気ない一言を覚えていて「嬉しかった」と言えるのが強すぎる…。仁人の「だから……好き」もうっかり本音で可愛い。カメラが止まっても止まらない鼓動、勇斗の「秘密」という返しも余韻がすごいです。仁人がいつ自分の気持ちに気づくのか、続きが楽しみです🩷