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「じゃあ、天城くんまた店で」
と言ったその時、突然後ろから声をかけられた。
「藤井さんですか?」
その声を聞いた瞬間、守の心臓が一瞬で跳ね上がった。
(き、きた!)
守は思わず振り向く。そこには――。
「はい?」
立っていたのは、まるで20歳くらいの若い女性だった。
守の目の前に立つ彼女は、明らかに自分の予想とは違っていた。
彼女の髪は艶やかな黒で、ツインテールに結ばれていて、その先端がふわりと揺れている。
服装はひらひらとしたレースのスカートと、可愛らしいフリルのついたトップス。
まるで少女のような、けれど洗練されたおしゃれさを感じさせる。これが35歳の女性だなんて信じられない。
(35歳……だったよな?確かプロフィールではそう書いてあったはずだけど、どう見ても20歳前後だ)
守は驚きと困惑を抱えながらも、少し言葉を詰まらせた。
「小百合さん……?」
その言葉に、彼女はにっこりと微笑んだ。その笑顔は、
まるで太陽のように明るく、守の胸をドキリとさせた。
「はじめまして。小百合です。よろしくね!」
軽い口調で、でもしっかりとした自己紹介が響く。守はますます困惑して、目を見開くしかなかった。
そのやりとりを見ていた天城が、にっこりと笑いながら一歩前に出てきた。
「こんにちは、天城といいます。こっちは友達の舞です。偶然守さんと会って、
よかったら一緒にお話ししませんか?」
守「え、ちょ、天城くん、さっき邪魔だから帰るって言ってたじゃないか!?」
小百合は天城を見て目を輝かせた。
「キャー!イケメン!もちろんご一緒しましょう!」
守は頭を抱えた。(こ、これは何だ…この裏切りは何なんだ!?どうしてこうなる!?)
おろおろする守をよそに、天城は微笑みながら声をかける。
「守さん、ほら、行きましょうよ。」
守は心の中で叫んだ。(天城くん…君は一体何者なんだ!?)
気づけば、天城と小百合は仲良く話しながら歩いている。さらに舞まで加わって、楽しそうに笑っていた。
守は一歩後ろからその様子を見て、やり場のない気持ちを抱えた。
(天城くん、もういいじゃないか。もう十分モテてるだろう。
それ以上持って行かなくても…ボクは、ボクは散々課金して、
ようやくここまでたどり着いたんだぞ。それなのに、どうして君はすべてを奪っていくんだ…)
守の胸には、静かに湧き上がる虚しさだけが残った。
(天城くん、いったいどういうつもりだ!?)
目の前の小百合は、完全に天城に一目惚れしているようだった。
その目の輝きは、間違いなく彼に向けられているものだ。
「・・・」
守は何か言おうと口を開いたが、言葉が出なかった。小百合が天城に夢中であることは、今や明白だった。
守の心の中で、早くも「どうしてこんなことになったんだ?」という問いが響き渡っていた。
守、小百合、天城、舞はおしゃれなカフェに入った。守がリサーチして選んだカフェだ。
静かな雰囲気の中、他の客たちがゆっくりと過ごしている。守は少し緊張しながらも、
今日こそは小百合と2人でゆっくりと話せると思っていた。だが、予想に反して、天城と舞も一緒にいる。
「ねぇねぇ、天城くんってどこの大学なの?」小百合が興味津々に尋ねる。
天城は少し照れくさそうに答えた。「えーっと、K大学だよ。」
「そうなんだ。」小百合はまるで子供のように目を輝かせ、天城に夢中になっている。
守は黙ってその会話を聞いていた。心の中で何かがモヤモヤと沸き上がる。
(まて、俺は大人だ。ここで感情的になったら、器が小さい人間だと思われるだろう。)
守は自分に言い聞かせ、微笑んで3人の会話を聞くふりをしていた。
しかし、心の中ではどうしても平静を保つことができなかった
小百合の視線が天城にばかり向けられ、守の存在がどんどん薄くなっていくように感じられた。
そのとき、天城がふと守に向かって言った。
「守さん、何か小百合さんに聞きたいことあるんじゃないですか?」
「え、いや、ボクは…」守は戸惑いながら答えた。
「初めて会ったんでしょう?」天城が微笑みながら言う。
守はその言葉に驚き、「なんでそれを!?」と、思わず声を上げた。
小百合が少し驚いた顔で守を見つめ、すぐに謝った。「あ、ごめんなさい。」
そして、小百合は守の腕を掴んで立ち上がりながら言った。「私達、これから行くとこあるんで。」
「行くとこ?」守が少し戸惑う。
「うん、天城くんこれ、私のLINEだから、連絡ちょうだいね。」小百合は天城に微笑みかけると、
すぐに守の手を引いて店を出た。
守は慌てて店を後にし、小百合についていく。しかし、心の中では不安が募っていた。
「いったいどこへ?」守は歩きながら尋ねた。
小百合は少し振り返り、「は?決まってるでしょ、ホテルだよ。」
「な!!」守は驚きで声が震えた。
「最初に言っとくけど、生は5万、ゴムは3万だから。」小百合は言葉をさらっと吐き出し、
守の反応を楽しむように見つめていた。
「なに!なにがどうなってる!?」守は頭が真っ白になった。
ホテルの前に到着すると、小百合は守を引き寄せようとしたが、
守は思わず手を振りほどいた。「ちょっと待って!」
守は自分の体が震えているのを感じながら、小百合を静止させた。
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