この作品はいかがでしたか?
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目を覚ますと、そこは“普通”の部屋だった。
青が基調となった模様柄のベッドに勉強机、本棚など…。
そして、窓からは明るい日が差し込んでいる。
「…なんか違和感が…」
目を覚ます前まで、なんだか非現実的なところにいたような気がしていた。
「夢でも見てたかな」
そうだ、きっと夢だろう。
長い長い夢を見て、混乱しているのだろう。
そう思うことにした。
そう割り切ってみると僕にはやらなきゃいけないことがあったのだと思い出した。
そう、仕事だ。
それもそうだ、成人済の大人が仕事をしていなかったら問題だ。
僕は準備を済ませて会社に行くことにした。
「今日も最悪だったな…」
帰り際、僕は呟いていた。
職場では上司のパワハラに後輩からもいいように使われ、罵倒はされるし作った資料は破り捨てられるしデータは盗られるしで最悪の連続だった。
思い出してみると、夢を見る前もそうだった。
「こんな生活から逃げたすぎてあんな夢を見たんだろうな…どうせならあの夢のままでいたかった…」
そんな何気無しに呟いた言葉が。
「ほんとに言いました?」
「ほんとだったら、柑夏達が連れてってあげるよぉ〜!」
この幻聴を導いた。
「え…?誰の…声?誰か…ここに…」
当たりを見渡すが、誰もいない。
「連れて行って欲しかったら、『お願いします』と言ってください」
状況は全く理解できなかったが、この日々から逃れられるなら、願ったり叶ったりだろう。
「お願い…します……」
「ふふっ、合格です」
声が聞こえると同時に、僕の視界はぐるぐると回り始め、目の前が真っ暗になった──
気がつくと、そこは夢で見たのと同じ景色だった。
「あー!藍翔 くんだー!」
夢にいた人物たちが、並んでいる。
「あい…と?」
「あら?覚えていないんですか?あなたがここで名乗った名前ですよ」
「でも、僕の名前は──」
「それはあの体の名前だろう?」
「そうだよぉ〜、藍翔くんは、ここに来た時から藍翔くんなんだよぉ〜」
「新しい名前ってやつだ!」
よく分からない状況ではあるが、段々と懐かしく感じ、次第に夢の内容を鮮明に思い出した。
「君達は…夢の…」
「藍翔くん、ここは夢じゃないよぉ〜」
「はい、私たちの、新しい“住処”です」
「……!」
「そっか…」
ここがどこかなんて、そこまで深く知る必要はないのだろう。
だって、ここにいれば嫌なことから逃げられるのだから──
──fin
コメント
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はい、ということで少々雑な展開になってしまった気はしますが、書きたかったことはかけました。 作品内で説明のタイミングがなかったので解説が必要ならコメントお願いします、、(( 一応ここの返信欄につらつらとあとがき解説書いていきます