雅魅さんが落ち着いたあと泣き疲れて私の腕の中で気持ち良さそうに眠ってしまった
時々鼻をすする音が聞こえたり私にぐりぐりと頭を強く押し付けて来たりと無意識に私に甘えている
魅津希)(どうしましょうかね…このままだと私も雅魅さんも身体が痛くなりますよね…… )
1人でどうしようかと悩んでいる時コンコンとノック音がしたあと「魅津希、那木だ雅魅は居るか?」と声を掛けてきた
魅津希)!!居ますけど…今丁度眠っていて……
と伝えると扉が勢いよく開いて「え、マジで寝てる…女と寝るの嫌つってたのに!?」と騒ぎ出した
魅津希)い、色々あったのです…暫くは眠らせてあげて下さい
と伝えると「まぁ、しゃーねぇか…運んでやるからじっとしとけよ」とか何とか言いながら顔の表情がちょっと悔しそうな…でもそうじゃないような……だいぶ曖昧な表情をしていた
那木)あ”!コイツ離れようとしねぇぞ
魅津希)はい!?
那木さんが雅魅さんさんを抱えようとしているのだが……なんか、赤ちゃんみたいにへばりついてる…
魅津希)は、離れないって…うわっ、ホントだ…
背中に手を回して死んでも離れない!みたいな意志を感じる……寝てるのに…え、寝てるのに……なんで?
那木)…お前ごと移動しろ
魅津希)こんな大きい赤ちゃん抱えて移動出来ませんよ!
那木)俺だって引き剥がそうとしてもコアラ見てぇにくっついてんだよ!
魅津希)雅魅さん起きてぇ〜!
こうして移動も何も出来ず私はベッドを背もたれにして雅魅さんを眠らせている
那木)とりあえず……雅魅が起きたらリビングに来るよう伝えてくれ…面倒かけるな
魅津希)あ、いえ!
雅魅さんは初めの方は私の体全体に抱き着くようにしていたのだが余りにも辛すぎて軽く起こして膝に移るようお願いしたら膝に移って気持ち良さそうに眠り始めた…
那木)さっき起きた時にリビングに連れていったら良かったな…
魅津希)多分凄い不機嫌ですよ
那木)こいつもこいつで不機嫌だとスゲェめんどくせぇんだよなぁ…ここのヤツら不機嫌になると大半がめんどくせぇからよ……
魅津希)子供みたいですねぇ笑お菓子でも買ってきたら不機嫌が治りますかね
那木)ガキじゃねぇんだからやめとけ笑
雅魅さんの頭を撫でると雅魅さんの可愛らしい寝顔から可愛らしい笑顔に変わって完全に子供が懐いたような顔に変わってしまった
那木)にしてもこいつが人に懐くなんて珍しいなぁ…しかもガキにな
魅津希)あ〜…まぁ、少し過去に触れたらここまで懐かれました
那木)犬かよ
那木さん曰く雅魅さんが人に懐くということはあまり無いらしい、まぁ目を逸らしたり顔を合わせ無かったら人と話し合うなんて先ず無理でしょうし心を開いてもらうのですら一苦労しそう…
魅津希)怖いんでしょうね、こうやって自分の怪我の痕とかを笑われたりするのが
那木)だろうな、それにこいつの過去を1回だが聞いた事がある、そんなことがありゃ人に懐くなんて無理だろうな
魅津希)…私だって同じですもん……まぁ、私の場合は「化け物」だの「コスプレ」だのなんだの言われたり引っ張られたり良くしましたけど…「治せるならお前らが治せよ」って言ったらそれっきり無くなりましたし、それに隠しましたし
那木)ま、俺はそういうの経験ないからあれだけど言えばスッキリするのにな
魅津希)多分、言う暇がなかったんでしょうね、自分のこと家族の事で手一杯になったんでしょうね
那木さんは私の隣に座って「ま、人それぞれって事だな」と言って私の肩に頭を乗せてきた
魅津希)こんな所で寝ていたら怒られちゃいますよ?
那木)お前に薬盛られたって言う
魅津希)酷いですね笑
那木さんは私の首元に顔を近づけスンスンッと何故か匂いを嗅いでから「お前は聖母みたいだな」と言って眠りに着いた
魅津希)…(聖母……か、怒りに身を任せて助けてくれた人に辛く当たった私が…聖母……)