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放課後、あまりの完敗にショックを受けた渚は、イケメンだけどドMで有名な先輩・倉斗の元へ駆け込んだ。
「倉斗先輩!俺、鈴に振られました!速攻で!もう心がバラバラです!」
「あぁ…その痛み、わかるよ…最高だよね…振られるって、心が擦れて…ゾクゾクする」
「違う!俺は興奮してないです!普通に落ち込んでるんです!!」
渚は涙目で叫ぶ。そんな彼に、倉斗はやたら神妙な顔で頷いた。
「じゃあ、渚くん…モテ方、教えてあげる」
「ホントですか!?お願いします!」
すると倉斗は、急に真面目なトーンで言い出す。
「まずね…相手の目を見て、真剣な表情で言うんだ。“好きです…お願いします。ビンタしてください”って」
「……」
「それで、一発バチンといかれたら、すかさず“ありがとうございます…もう一発お願いします”って」
「……ちょっと待って」
渚の表情がどんどん曇る。
「なんでビンタしないといけないんだよ…ビンタされたいだけだろ!?」
「え?違うよ?これ、心のドアを開くためのスキンシップだから」
「いやいやいや、どこの世界にそんなドアあるんですか!?」
渚は頭を抱えて座り込む。
「お前なんでモテてんだ!?」
叫ぶ蘭の横で、倉斗はうっとりとした表情で答える。
「愛って…痛みだよ」
渚はもう、何も言えなかった。