聖女は復讐の刃にキスをする

　――ウォズ公国の使者が来訪した。
　その報せを受け、ミリエットは慰問活動を切り上げ、急いで王城へと帰還した。

「お待ちしておりました、ミリエット様。さあ、こちらへ」
「アベル、使者が参られたというのは本当ですか」

　王城の入り口で待っていたアベルに尋ねると、彼は緊張した顔でうなずいた。

「はい。ですが、ゆっくり説明している時間はありません。大変申し訳ないのですが、お召し替えに同席させていただいても？」
「ええ、もちろんです」

　控えの間に入ると、そこには既にレイラを始めとした侍女たちが待機していた。
　アベルは衝立を挟んだ隣に待機し、ミリエットは侍女の手を借りながら、賓客を迎えるための礼装へと着替え始める。

「何故、これほど早く使者が参られたのですか？」
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