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The Story of White Light
エピソード3 夏の秘密基地
制作:ねおさん
作成日:2026年9月10日
やはりまたお会いしましたね
では続き、いきましょう
高架下の倉庫は、いつも油と埃の匂いがしていました。 近くの自動販売機で買ってきた、1本100円の冷たい缶コーラ。それを3人で分け合うようにして飲むのが、僕たちの夏の定番でした。「なぁ、これ見てみろよ」 カイが自慢げにスマートフォンの画面を突き出してきました。画面に映っていたのは、地元の小さな駄菓子屋のホームページ。古くて誰も更新していないようなサイトです。「ここの看板娘の犬の写真、俺たちの秘密基地のロゴに書き換えてやったぜ」『ちょっとカイ、それじゃただの嫌がらせだよ』 ノートPCの画面の向こうから、ソラのあきれたようなチャットメッセージが届きます。彼女は体調があまり良くないという理由で、倉庫には時々しか来られず、大半は病院のベッドや自宅からネット越しに参加していました。「いいじゃん、すぐに元に戻すって。ほら、天才プログラマー、出番だぞ」 カイに肩を叩かれ、僕は苦笑しながらキーボードを叩きました。 ソラが教えてくれたサイトの脆弱性(セキュリティの隙間)を使って、カイが書き換えた画像をほんの数秒で元の可愛い柴犬の写真に戻す。ただそれだけの作業。 画面の向こうで、ソラが『お見事。やっぱりキミのタイピングは綺麗だね』と褒めてくれる。 その文字を見るだけで、僕の胸の空っぽな部分は、炭酸の泡が弾けるみたいにシュワシュワと満たされていきました。「俺たち、大人になったら3人で会社作ろうぜ。世界一のセキュリティ会社」 カイがコーラを飲み干して、夕焼けに染まる高架下の空を見上げながら言いました。『いいね。私は社長の椅子がいいな』 画面の向こうのソラも、楽しそうにキーボードを叩いている気配が伝わってきました。 ネットの海はどこまでも広くて、僕たちはどこにだって行ける。 12歳の僕たちは、確かに自分たちの未来を信じていました。 その「空」っぽの秘密基地が、僕たちの世界のすべてだったんです。
コメント
1件
ああ、なんだか胸の奥がぎゅっとなる回でした……。12歳の夏、缶コーラを3人で分け合って、画面越しのソラともつながっている。未来を信じ切っていたあの時間のあたたかさと、「空っぽ」とわざわざ書かれた秘密基地の言葉が、切なくてたまらなかったです。大人になるって、こういうことなんでしょうかね……。
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詩音リラ
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