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山田兵衛の死から数日が経過した。幕府内での動きは早く、すぐに次の指導者が決まることとなった。異能を持たない者の中で、最も力強い存在として名を馳せたのは加藤清政だった。
加藤清政は、ただの軍人ではなかった。彼は、戦の世界で異能者たちを相手にしたこともあり、その戦闘能力は計り知れないほどだった。しかし、加藤の真の強さは、彼が持つ「六魂」という武器にあった。
「六魂」は、加藤清政が世に知られる以前に、彼が編み出した戦闘術であり、六つの異なる武器を使いこなすことができる。六魂は、武器そのものを操ることができる能力で、戦いの状況に応じて使い分けることが求められた。そのため、加藤は一度戦闘を始めれば、相手がどんな戦術を使おうとも、必ず勝利を収めてきた。
だが、加藤は強さと共に、極めて皮肉な性格でも知られていた。自分が他者より優れていることを、決して隠さない。むしろ、その優越感をあからさまに示すことを厭わない。そしてその皮肉な言葉は、誰の耳にも痛いものとなった。
加藤清政が幕府の影部隊を指導することが決まると、雅也をはじめとする抵抗勢力の間で緊張が走った。彼はまさに「異能に頼らず戦える者」として異能者たちに恐れられていた。
「ほら、あんたがた。まだ生きてたのか?」
加藤は部隊の前に立ち、最初に放った言葉がこれだった。口調には、皮肉が混ざり、兵士たちに不快感を与えることとなった。
「山田兵衛の後任が私だ。」
その言葉は、まるで命令のように響き渡った。加藤清政は、無駄に説教することなく、すぐに実戦に移るタイプだった。その態度は、しばしば部隊員たちに威圧感を与え、部隊内で恐れられていた。
だが、その恐れも加藤には及ばなかった。彼は六魂を完全に使いこなすことができ、その武器を駆使して周囲の敵を圧倒していた。加藤の使う「六魂」は、ただの武器ではない。それは、彼の意識と完全に一体化しており、加藤の動きに反応する。
「さて、みんな。これから私がどう戦うか、しっかり見ておけ。」
加藤は刀を抜き、静かに構えた。その姿勢だけで、周囲の空気が緊張に包まれた。
彼が最初に使う「六魂」の武器は、「天雷剣」という名の刀だった。これは、加藤が自ら鋳造したもので、戦の中で雷のように鋭い一撃を放つことができる。加藤がこの刀を使う時、その刃はまるで雷のように輝き、相手の動きを封じ込めるほどの力を持つ。
加藤が指導する影部隊は、単なる異能者部隊に比べて、その戦闘技術においては圧倒的に優れていた。加藤は、異能を使わずとも、従来の戦術と技術を駆使し、戦闘を次々と勝ち取っていった。
「お前ら、しっかりしろよ。」
加藤は、部隊の兵士たちに無情に声をかける。その皮肉な言葉に反応して兵士たちは戦いを続けるが、彼らの目には疲れと恐怖が浮かんでいた。加藤の厳格さ、そして無駄のない戦闘スタイルが、次第に部隊の士気を高めていった。
雅也はその戦いを遠くから見守っていた。加藤清政の動きは、まさに圧倒的で、異能者である自分ですら手を出すことができないほどだった。
「彼のような男が、俺たちの敵になるとは……」
雅也は心の中で呟き、次なる戦いを予感した。加藤が持つ六魂という武器、その圧倒的な実力を前にして、雅也はどこかで心の中に不安を抱えていた。
加藤清政が異能者たちを恐れながらも、それに挑戦し続けた理由は、彼自身の過去にあった。加藤はかつて、異能を持つ者によって家族を失った過去を持っていた。そのため、彼は「異能者」という存在をどうしても許せなかった。
「異能者が何だ。私は自分の力で立ち上がる。」
加藤は常にその言葉を口にしながら、自分の技を磨き続けた。六魂の武器を使うことで、彼は異能者に対抗するための戦力を持つことができた。
その信念が、彼をここまで強くさせた。彼の戦いには一切の迷いがなく、むしろ他者を圧倒することに喜びを感じるようなところすらあった。