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「いえいえ。私はここにはよく来てるので、大丈夫ですよ」
ニコッと笑う顔、以前と全然変わってない。いや、さらに素敵に思える。とにかく僕は、初めて会った時からずっと、この笑顔が大好きなんだ。
「あれからスクールには行かれてないんですか?」
「はい……。実は、私、あの後すぐに妊娠がわかって。出産や子育てで、仕事もしてるので忙しくて」
「妊娠……? そ、そうだったんですか……」
あまりにも予想外の答えに、あからさまに表情が歪む。
「私はシングルマザーなんです。色々あって……。でも、今は子どもがいてくれるので幸せです。涼平先生は? お元気でしたか?」
まだ動揺が治まらないけど、双葉さんに質問されたことを答えるため、必死で冷静を装った。
「あ、相変わらずですよ。毎日スクールと家の往復で。あちこちから彼女を紹介したいと言ってもらえたんですけどね。困ってるんです、なかなか気持ちが前を向いてくれなくむ。
「私はシングルマザーなんです。色々あって……。でも、今は子どもがいてくれるので幸せです。涼平先生は? お元気でしたか?」
まだ動揺が治まらないけど、双葉さんに質問されたことを答えるため、必死で冷静を装った。
「あ、相変わらずですよ。毎日スクールと家の往復で。あちこちから彼女を紹介したいと言ってもらえたんですけどね。困ってるんです、なかなか気持ちが前を向いてくれなくて」
「そんな……。涼平先生ならすぐに素敵な人が現われると思っていました」
「簡単じゃないです。僕の中では、ずっと時間が止まったままですから」
「え?」
胸が最高潮に高鳴る。
今しかない、隠していた想いを今――
「僕は、ずっとあなたを想っています。あれからずっと」
「……涼平先生?」
「ようやくちゃんと言えました。心の準備ができてないんで、上手く言えなくてすみません。だけど、本当に……あなたのことがずっと好きです」
「そんな……どうして私なんか」
「どうしてって、あなたが素敵だからですよ。でもまさか、双葉さんがシングルマザーになっていたなんて、正直、驚きました」
「……涼平先生の気持ちがもし本当なら、すごく嬉しいです。こんな私を想ってくれて、ありがとうございます。でも、私には好きな人がいます。その人と結ばれることはないけれど、私は一生、結仁と2人で暮らしていくつもりなんです」
結仁君――
それが双葉さんの子どもの名前。
「双葉さん。僕じゃダメですか? 僕ではあなたを守れませんか?」
熱い想いが溢れ、言葉になって口からこぼれ落ちた。
「何を言ってるんですか? 涼平先生はみんなに好かれてます。これから先、必ず素敵な女性と結ばれるはずですから」
「あなたは自分を知らな過ぎる。僕は一目であなたを好きになりました。あなたには、人を惹き付ける魅力があるんです。他の誰かじゃなく、僕はあなたがいいんです。僕とのこと、真剣に考えてもらえませんか?」
「……」
「……ダメ……ですか?」
「あ、ありがとうございます。そこまで言ってもらって、本当に有難いです。でも、今は何も考えられなくて」
「……ですよね。突然でびっくりさせましたよね。あの、これ、僕の連絡先です。またいつでも連絡下さい。僕は『灯り』であなたを待ってます」
「涼平先生……」
久しぶりに再会して、その場で告白して。
あまりに焦りすぎたかも知れない。でも、今言わないと、またあの時のような後悔を繰り返してしまう。
大切に想う人を一瞬で失うような悲しい思い、もう二度としたくなかったから。