テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
67
#文ストBEAST
#文スト腐
霰石
1,015
C,2
太宰が死んでからの日々は、まるで何もないように空っぽだった。仕事への辛さも、感情が抜け落ちたように何も感じなかった。何もなかった。
ふと、ふらふらと操られたように首領室へ向かった。声が聞こえる。
敦の声だ。
太宰の死を、目の前で見届けた、一人目の人物。
太宰を助けなかった、一人の人物。
腹の底から煮えたぎるような恨みと怒りがわいてきた。何をしていたんだ彼奴は。今まで。目の前に居ながら何故太宰を助けなかった?お前があの時、助けていたら。太宰は今でも笑っていた。彼奴が血まみれになることもなかった。はずなのに――なのに――
身体が勝手に動いていた。腕が首領室の扉を派手に開け、足が勝手に進んでいく。敦のもとへ。
「…おい。手前。」
中也の手が敦の胸ぐらを掴む。
「んであの時、太宰を止めなかった。」
「…中也さん――」
「おい。答えろっつってんだ。なんであの時、目の前にいたのに助けなかった。」
「すみませ――」
「手前が助けてたら!今も太宰はここで生きてたんだよ!ここに流暢に座って、偉そうな面して、俺を揶揄って来たはずなんだよ!手前のせいで……ッッーー」
――手前のせいで、何もかも壊れちまった。俺の日常も。太宰も。
その言葉が、敦を壊した。
「手前はなにも守れなかった。手前自身を救った命の恩人ですら、守れなかった。」
沈黙が部屋を支配した。息が詰まるような感覚を覚える。空気が重い。
「……僕が。僕が守れなかった…?あの方を?首領を……?」
「あぁそうだよ。手前があの時首領を止めてたら、彼奴は今でも生きてたんだよ。分かるか?」
「…そんな、こと…ないです。僕は何も悪くない……」
「手前が全部悪いんだよ。なにも守れなかった手前が、一番。」
追い打ちをかけた。かけてしまった。
「……ぁ……」
敦の身体から力が抜けた。人形のようだった。
「…ごめんなさい、首領…僕が、あの時、首領を止めていたら……ごめんなさい…ごめんなさい……」
「……ッ」
敦から手を離した。首領室を足早に去る。
なんだあれは。本当に敦なのか。…俺は敦も壊しちまったのか。
……何してんだろ、俺。
うん、結構へたっぴ☆何かいてんだろ。
コメント
3件
あおいです🌷 読了しました……もう、胸がぎゅっとなりました。中也の「手前のせいで何もかも壊れちまった」って言葉、怒りと悲しみと後悔が全部詰まってて、読んでるこっちまで息が詰まりそうでした。敦を責めながら、最後に自分も壊したって気づくところが特に切なかったです。感情の流れがとても繊細で、続きが気になります……!