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鋼谷が高村の力に圧倒され、鷹津が引き裂かれた瞬間、周囲の空気が一変した。鋼谷は彼の姿を見つめ、心に渦巻く怒りと悲しみを抑えきれずにいた。そのとき、ふと後ろにいる真嶋の気配を感じた。
「真嶋、何を考えている?」鋼谷は振り返る。しかし、そこには彼のかつての仲間、真嶋の姿は見えなかった。代わりに、彼の目の前に現れたのは、真嶋の背後に潜む暗い影だった。
影はゆらゆらと動き、次第に彼の姿を浮かび上がらせる。真嶋はその瞬間、自らの異能を発動させ、刀を生成し、周囲に警戒を示した。しかし、敵の影はそれを軽々とかわし、真嶋に近づいてくる。
「やめろ、真嶋!」鋼谷が叫ぶが、彼の声は無情にも空に消えていく。真嶋はその影を見つめ、まるで懐かしい敵と対峙するかのような表情を浮かべた。
「呪詛の影…、お前が…!」真嶋は言葉を詰まらせる。影は笑い声を上げ、真嶋の耳元で囁く。
「お前はもう、終わりだ。」その瞬間、真嶋の体が硬直し、力を失っていく。まるで暗い影が彼の心に入り込み、じわじわと支配していくかのようだった。
「くっ、そんな…!」真嶋は抗おうとするが、呪詛の力が彼の体を締め付け、苦痛が全身を走った。周囲の風景が歪み、彼は意識を失いそうになる。
鋼谷は動けなかった。彼は真嶋の痛みを感じながらも、何もできずにただ見守るしかなかった。呪詛の影は彼を完全に支配し、真嶋の心の奥底に隠された恐怖を引き出していく。
「助けてくれ、鋼谷…!」真嶋の声が鋼谷の耳に届く。彼の目には涙が浮かび、苦悶の表情を浮かべていた。だが、鋼谷には助ける手立てがなかった。
影は笑いながら真嶋に向かって手を伸ばし、彼の心を引き裂こうとする。真嶋は抵抗を続けたが、次第に力が抜け、彼の周りの空気が重くなっていく。
「死ぬな、真嶋!」鋼谷が叫ぶ。しかし、真嶋の体は呪詛の力に飲み込まれ、ついに彼はその場に膝をついた。彼の目が虚ろになり、まるでその場から消え去ってしまうかのようだった。
「これで終わりだ…」呪詛の影が囁く。真嶋の体は完全に沈黙し、彼は倒れ込んだ。鋼谷はその光景を見つめ、心の中で何かが壊れていくのを感じた。
「真嶋…!」鋼谷は駆け寄り、彼の体を抱きかかえた。しかし、もう遅かった。真嶋は意識を失い、二度と目を開けることはなかった。
呪詛の影は消え、周囲は再び静寂に包まれた。鋼谷はただ、涙を流しながら仲間の死を受け入れるしかなかった。この戦いの終焉は、まだ見えなかった。