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錆の都送り

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錆の都送り

第39話 - 第39話　過去編突入

2024年11月04日

#ダークファンタジー

#錆

#黒蜜の賞金付きコンテスト

伊琉夏

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伊琉夏

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第四期過去編

薄暗い部屋に、小さな鋼谷が座っていた。彼の目は輝きを失い、外の音が彼の心に響いている。雨の音が窓を叩く中、彼は一人ぼっちで過ごしていた。外の世界は彼にとって恐怖であり、同時に憧れでもあった。

幼い鋼谷は、父親の影を追いかけていた。父は「ゴーストバスター」として名を馳せた男で、子供の鋼谷にとっては憧れの存在だった。彼がいつも語っていた冒険や、幽霊を退治する姿が心に刻まれていた。

ある日、鋼谷は父の仕事場に忍び込んだ。そこには無数の霊具や、幽霊の情報が詰まった本が並んでいた。彼は興奮しながら、刀のような霊具に手を伸ばした。その瞬間、背後から父の声が響いた。

「おい、鋼谷、何をしているんだ？」振り返った鋼谷の目が父の顔と合った。父は笑顔を浮かべ、優しく抱きしめた。「これらは危険なものだ。お前はまだ触れるには早い。」

鋼谷はその言葉を聞きながらも、父の背中にいる時の温もりを感じていた。彼にとって、父はすべての光であり、ヒーローだった。しかし、そんな日々は長くは続かなかった。

数日後、鋼谷は外の公園で遊んでいた。友達と一緒に遊ぶ中、彼は突如として異変を感じた。暗い雲が空を覆い、風が強く吹き荒れる。周囲の子供たちは恐怖に駆られ、逃げ出したが、鋼谷はその場に留まっていた。

「おい、鋼谷、こっちに来い！」友達の声が聞こえるが、彼はその声を無視した。彼の心の中には、何か特別な力が宿っている気がした。自分もいつか父のように強くなれるのではないかと思っていた。

その瞬間、鋼谷の前に一つの幽霊が現れた。それは彼が知っているはずのない、暗い影をまとった存在だった。鋼谷は驚き、足がすくんでしまう。幽霊は彼に近づき、何かを叫んでいるようだったが、鋼谷にはその声は届かなかった。

「助けて…」という言葉が、彼の心に響く。彼は恐怖を感じながらも、その幽霊を見つめ続けた。幽霊は彼の前で消え、鋼谷は心に深い傷を負うことになった。

数日後、彼の家に悲報が届いた。父が事故に遭い、命を落としたという。鋼谷はその知らせに衝撃を受け、呆然としていた。彼にとって、父は永遠に戻ってこない存在になってしまった。

それから数年が経った。鋼谷は父の遺志を継ぐことを決意し、ゴーストバスターとしての道を歩み始める。しかし、心の中には消えない影が残っていた。幼少期の恐怖と憧れ、そして失った父への想いが、彼の中で交錯していた。

「幽霊を退治してみせる…」鋼谷は心の中で誓った。過去を背負いながら、彼は未来に向かって歩き出すのだった。どんな困難が待ち受けていようとも、彼は立ち向かう決意を固めていた。