小船河童
周りに草が生え、手入れがされていない事が分かりうる住宅街、不規則にならんだ木々、錆びついた鉄骨の橋……それら全てが自分達以外人間がいないことを示していた。そして、ブラッドがあまり外に出ず、島の手入れをしない事も分かる。
手入れをしないのは当たり前だ。外に出ればあの老狼の様に血に飢えた獣の餌となるのだから。
「……あまりジロジロ見てもいいもんじゃないぞ」
拠点を凝視していると、ブラッドから注意の言葉が来た。私は、拠点……と言うより、ブラッドの家にいた。
そこは、黒い無地の壁に石のタイル。中央には大きなダイニングテーブルがあり、そこに沢山の資料や物が置かれていた。そして片隅には大きな荷物がいくつもあり、その中に使い古して壊れてしまったであろう幾つもの斧とスコップがあり、横に新品の斧とスコップが大量にあった。ふと横を見ると、ブラッドが持っている血に濡れた斧に目が止まった。その斧も床に置かれている物と同じだった。
「……整理、あまりしてないんですね」
「……やる暇がないだけだ。それに、整理したってすぐ汚す。血や泥でな」
血や泥で汚す……おそらくあの獣との戦いでだろう。
ブラッドは斧をダイニングテーブルに立て掛けると、「風呂に入ってくる」そう言って部屋から出ていった。
……風呂は多分、外にあった五右衛門風呂だろう。ただ五右衛門風呂があるのなら、この島には電気も水もない事になる。きっとラジオなんか持ってきても使えない。此処は無人島。外部からは遠く離れている。その為電波を拾う事は出来ないかもしれない。もしかしたら、日本ではなく外国の電波は拾えるかもしれないが、その外国のニュースをされても私には分からない。なんせ、昔から英語は苦手だったから。……そもそも此処にはラジオなんてないけれど……。
ブラッドが風呂から上がり、部屋に戻ってきた。すぐさま彼は資料を見て、調べ物をしている。私は……なにをすればいいのだろうか?
「……やる事がないなら探索していればいいぞ」
「……でも、獣がいるんじゃないですか?」
「大丈夫だ。あいつ等は夜行性だし、集団意識が高い。あの老狼を殺した事によって、しばらくは俺達に手出しは出来ない」
……それって、後に集団で襲われる事になるよね?
そう私は思ったが、口に出さない事にした。
あの獣に気をつけながら波打ち際を歩く。獣がいなければ、最高のリゾートとなったかも知れないが、今となってはもう遅かった。ふと、浜辺に打ちつけられているカモメがいる事に気づいた。どうやら気絶している様だ。念の為、殺してしまっても問題はないだろう。私はそう考え、ブラッドに護身用にと持たされたスコップを振り上げた直前、カモメは甲高い声で鳴き、私はバランスを崩し海の中に落ちてしまった。カモメは飛び去り、私は浜に上がろうとしたが何者かに足を捕まれ、海の奥に引きずり込まれた。
瞼を開けると、心配そうな顔をしたブラッドが自分の顔を覗き込んでいた。意識がまだ朦朧としている大量に飲み込んだ海水が喉からこみあげて来る。私がそれを全て吐くと、ブラッド私の背中を擦りながら口を開いた。
「……大丈夫か?」
「大丈夫……です」
ブラッドの後ろには緑の生命体の赤い血が身体中から流れ出ていた。その生命体を見て吐き気を催したが、なんとか耐えた。
「……これ……なんですか……」
「さぁな……でも、お前を海に引きずり込んだ奴だ。多分、河童?……じゃないか?」
河童?あの妖怪?……獣だけじゃなかったの…?
私が困惑していると、ブラッドは港に止まっていた小船の中を見渡す。
「……ライト、立てるか?」
「いえ……」
「……今からこの小船に乗る。ちょっと抱っこするから嫌なら言ってくれ」
「………」
「……嫌か?」
「……いいえ」
「んじゃ、行くぞ」
小船には幼児が描いた様な絵が貼ってあり、空の弁当や水の入っていない水筒がある。
ブラッドは斧とスコップをいくつかリュックに詰め込み小船を漕いでいる。何処に行こうと言うのだろう。だんだんと島が見えてきた……。
私達がついた島は左に1軒のログハウスがあり、右には木で作られたアーチがあった。ログハウスの横にピザ窯と木のダイニングテーブルと丸太の椅子が設置されていた。
少し探索していると、突然アーチの奥から悲鳴が聞こえた……。
あとがき
気絶していたカモメ…ジョニー
河童…かっぺい
新たな島…パニーの島
アーチの奥…パニーの広場
と、この様にあつ森に存在する場所とキャラクターを使用しました。
此処からパニーの広場にいるキャラクターとパニーが登場しますので、一人でも推しのキャラクターがいる方はご遠慮下さい。
登場キャラクターは…
パニー、カットリーヌ、ローラン、シャンク、つねきち、レイジ、ハッケミィ、アールパーカーズ(リサ&カイゾー)、コトブキとなります。
そして次に🌸&😻&🦈&🌙&☕様のリンと死神さん様のエイジが登場致します。
エイジの紹介
となります。
ではまた次回、お会いしましょう。
コメント
1件
将来的にブラッド×ライトのCPだったら良いよね!