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柚彦は全身全霊をかけて痛みをこらえていた、鈴ちゃんが与えてくれたチャンスを活かさなければならない
勇ましい女神
鈴ちゃん
彼女がどれほど美しく、大切な存在か彼女に伝えたかったが、とにかくまずは、自分が戦闘態勢に入れることが先決だった
縛られた手首と足首がさらにひとつにくくられた状態で、何度か打たれた麻酔薬のせいで、頭はフラフラした、ぐったりと気を失っているフリをしていたが
柚彦は渾身の力で意識をなんとか保ち、今までのやりとりすべてを聞いていた
両手足はまだ縛られたままの体制だが、たった今彼女が自分に何か握らせた
折り畳み式の果物ナイフだ!
ありがたい!
柚彦はまず足を拘束しているプラスティックのベルトを切った!
拘束を解かれた脚はしびれあがり、指を動かそうとしたけれど反応がなかった
助骨は軋み、全身がズキズキした
あいにく両手を縛られているベルトを自分の手で切ることは困難だったが、足のベルトは切ることが出来た
十分だ
一気に脚に血が巡るのがわかった、まだ感覚は無くジンジンするが、何よりも脚が自由になったのに希望を持てた
柚彦は体を伸ばし、自分が受けたダメージを値踏みした、何時間も無理な姿勢にされていたせいで、両腕の関節が腫れている
何度も袋たたきにあったせいで、あちこちズキズキするし、両腕は誰かに拘束を切ってもらわなければ無理だ
しかしこれで戦うしかない、いつだって不利な条件で戦っていたじゃないか、与えられた環境でベストを尽くす、柚彦は自分に言い聞かせる
僕は彼女を愛している
体の奥で解き放たれたものが気力になり集中力が戻ってきた
深く息を吸いこむたびにエネルギーが満ちて行く
鈴ちゃん!もうちょっと我慢して!これ以上奴らに好きにはさせない