柚彦はすぐ隣にいる手下の一人に、両足を振り上げて手下の頭を挟んだ
前後左右に大きく揺さぶりをかけて、よろめいた体に縛られたままの手を、手下の首に回した
渾身の力をこめてチョークスリーパーで締め上げる、その男から尿の漏れた匂いがした、窒息し、気を失ったのだ
ドサリと手下が倒れたのと同時に、柚彦は転がるように起き上がって、動かなくなった窒息した男から離れた
両手が縛られていても、必ずあの男だけは殺せる自信があった
その時もう一人、柚彦が反撃に出た事に焦った手下のチョップを、間一髪で交わしたが、みぞおちにパンチを食らってよろけ、その瞬間に後ろから首を締め上げられた
くそっ!かなり強い薬を打たれたに違いない、そのせいで頭がよく回らないし、動きは鈍く、体のあちこちが痛む
そして首を絞めているコイツは素人ではない、恐ろしいほどの怪力だ
したたる汗が目にしみる無性に自分に腹が立った
長年に渡って過酷なトレーニングを積んできたのに、敵と戦いながら自分と戦っている
喉をつぶされるかと思った時に闇が揺らめき、大きな打撃音と共に、手下が柚彦からはがされ宙を飛んだ
ブラックがすぐ後ろで手下を掴んで生垣にぶん投げた、手下は生垣に頭から突っ込み、ぐったりと刺さったまま意識を失った
「ブラック!来てたのか!」
驚いている彼にブラックが叫ぶ
「いいバランスでしょう? 早く鈴子を! 」
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