TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する

「え……刺客?」


書斎の奥に居た青年は、6人を見ると開口1番にそんな物騒なワードを口にした。どちらかと言うと青年の方が刺客と言うのに相応しいような見た目をしているが、胡朱は流石にそれはツッコまずにいた。

青年の動きは次第にぎこちなくなっていく。見ると、青年がペンを持っている右手は、緊張からかプルプルと震えていた。


「お、落ち着いて。オレ達は刺客なんかじゃないから安心して。実は、オレ達は乗っていた旅客機が墜落しちゃって……」

「喋った!?」

「えぇ……」


そりゃ喋るよ。人間だもの。アルバートはそう考えたが、人間を目の前に「喋った!?」と発言した青年に困惑していた。だからか、声にも困惑の色が少し混じっていた。


「あ、ご、ごめんなさい。初対面の人と話すのは久しぶりだから動揺しちゃって……。とりあえず座ってください」


ある程度落ち着きを取り戻したらしい青年は、6人に椅子へと座るように促す。それから、ぺこりと頭を下げてから青年は自己紹介をした。


「僕はレグ、ただのしがない小説家です。さっきは書斎の管理をしていました」

「……皆さん、お客様なんですよね。屋敷を出た時に見ました。あの時は動揺しちゃって隠れてしまったんです。ごめんなさい」

「いやいや、とんでもない。知らない人が自分の家の目の前に居て中に入ろうとしていたら誰だって驚くよ。だからレグさんがそうなるのも無理はない」


申し訳ないという思いからか、レグは少し顔を俯かせながらそう言った。アルバートは悪いことをしたと思わせたくないからかレグを励ましたが、それでもレグは俯き気味だった。そして、レグがおずおずと口を開く。


「ところで……皆さんはお父様に会いにいらしたんですか?」

「お父様?」

「はい。お父様はここの家主をしています。今は調査で村の方へと出かけているそうですが」

「そういえば、さっきの執事っぽい人が似たようなことを言っていたような……」


6人の脳裏には、先程まで自分達の案内をしていた黒髪の男性の姿が浮かんだ。レグはこくりと頷きながら、「お父様」についての説明を続ける。


「ウィズから聞いていたんですね。お父様はここの代表として、村の問題を調査しているんです。何も、最近は怪物の目撃情報が多いらしくて」

「そうでしたか……」


ウィズ、というのが先程まで居た男性の名前なのだろう。6人は時折頷きながら話を聞いていた。


「そういえば、村は怪物に立ち向かってくれる戦士を募集しているらしいんです。融合怪物なんてものも現れて、討伐に苦戦しているんだとか」

「……それ、私達がお手伝いすることは出来ますか?」


最初にそう言ったのはアリスだった。村の人々のことを考え、胸が傷んだらしい。こうしている間も、人々は怪物と戦い、深い傷を負っているのかもしれないのだ。それは肉体への傷か、精神への傷か、はたまたその両方かは分からないが。


「ごめんなさい、僕は詳細を知らないんです。ただ、これまで結構な被害が出たとしか……」

「であれば尚更ですわ! レグさん、その村の場所をご案内していただけませんか?」

「う、でも、お客様にそんなこと……」


レグは戸惑っているようだった。村は怪物との戦いで深手を負い、人員を募集していることは確かだ。しかし、レグが6人を戦場に立つのを許したとしても、誰かが怪我を負ったときに第一に責められるのはレグである。だからか、レグは何かを言い留まっている様子だった。


「アリス、もしもキミが怪我をしたら怒られるのはレグさんなんだ。だから、残念だけど、今は村に居る人達が怪物に打ち勝つことを祈るしかないよ」

「ですが……」

「アルバートさんのおっしゃる通りです。私も、戦場へ行くのはやめた方がいいと思います」

「志音さんまで……」


アリスの無事を思ってか、アルバートと志音が止めに入った。戸惑った表情をしていたレグは、アリスが2人に止められているのを見て少し安堵していた。

そこに、扉の外から声が聞こえてきた。


「レグ様、失礼いたします」

「え、ウィ、ウィズ!? と、とりあえず入っていいよ」


中に入ってきたのは、先程まで6人を案内していた執事らしき男性──ウィズだった。ウィズは書斎内に入ると、レグの目の前までやって来た。手には書類を何枚か持っており、その書類をレグに渡す。


「至急、村まで来てほしいとリストア様からのお達しがありました」

「母様から……? 父様は!?」

「カーティス様が……大怪我を負ってしまったとのことです」

「なっ、どうして!?」


リストア──レグの母が、レグに村まで来るように伝えた。その理由が、レグの父であるカーティスが大怪我を負ってしまったからだそうだ。


「どうなさいますか?」

「……もちろん行く。馬車は出せる?」

「かしこまりました。今すぐ馬車を手配します」

「あっちでは凄いことになっているようだが……オレ達はどうしようか?」


レグは少し慌てつつも準備を始めた。見ると、数日分の食糧を大きな鞄に詰めている最中で、やはりその村まで行こうとしているようだった。

それを見た6人は顔を見合わせる。大人しく引き返し、別の方法を探すのがいいのでは。胡朱がそう考え、口を開こうとした時だった。


「……皆さんも村まで行きますか? さすがに戦っていただく訳にもいかないので、どこか安全な場所で待機になると思いますが」

「え、いいのですか!? ではお言葉に甘えさせていただきますわ!」

「死にそうになったら逃げればいいか……。俺も賛成だ」


レグが村へ行くということになり、それならついでに一緒に行かないかと誘われた。6人はレグに同行することとなり、一行は十分な準備をした上で馬車に乗り込んだ。


◇ ◇ ◇


それから数時間。村まで向かう為に、7人は馬車に揺られていた。そこで、アリスは気付いたのである。隣に座るレグの顔色が、あまり優れていないということを。といっても、レグはフードを被ったままなので、顔をよく見ることは出来ない。見間違いなのではと思いつつも、それでも心配になったアリスはレグにこう言った。


「その……顔色があまり良くないように見えますわ。無理は禁物ですわ」

「……あ、ありがとうございます。ただ、父が大怪我を負ったということに驚いてしまって」


そう言い、レグは馬車の窓から見える、移り変わってゆく景色を眺めている。しかし、その目はどこか遠くを見つめているようにも見えた。


「体調が優れない場合は教えてください。私に出来ることならしますよ。これでも医者ですので」

「ありがとうございます。でも本当に大丈夫なんです。心配しないでください」

「そうですか……」


心配そうに志音がそう言うが、レグはにこりと笑いながら心配しないでほしい、と言った。


「……到着しました」


運転手の声が聞こえる。見ると、目の前にはいくつかの建物が目に入った。7人の目指していた村である。レグは運転手に礼を言うと、一足先に馬車を降りた。それに続き、6人もそれぞれ馬車を降りる。


「レグ!」

「知り合いですか?」

「ここに住んでいる、僕の友達です。……デイジー、僕の父様と母様がどこにいるか知らない?」


それぞれが馬車を降りるなり、レグの元へ駆け寄ってきた1人の少女を見て、胡朱はレグに質問をした。少女……デイジーはレグの友達で、村に住んでいる少女だ。

デイジーは不安そうな表情をしており、その表情から、村で何があったのかというのは大体察することが出来た。


「カーティスさんが大怪我を負って倒れたの。リストアさんがカーティスさんの治療をしてるみたい。とにかく早く来て!」

「ち、ちょっと待って。お客様達に状況を説明しないと」

「え、お客様をここまで連れてきたの!? ただでさえ融合怪物なんかも現れて村を荒らし始めてるのに!?」

「私達は自分の意思でここまで来ました。ですから、レグさんは悪くありませんわ!」


有り得ないとでも言いたげにレグを見るデイジーに、アリスは事情を簡潔に説明した。すると、デイジーはよかったと言い、再びレグにカーティスやリストアがどうなったのかの説明をし始めた。


「カーティスさんは、融合怪物によって荒らされた村を怪物達から取り返そうと頑張ってたの。でも、その途中で怪物のせいで大怪我を負っちゃったらしくて……」

「救護テントまで運ばれて行ったのは見たけど、それからは私にも分からない」

「それに、救護テントは人手が足りてないって言うし……」

「……カーティスさんの診察、私にも手伝わせていただけないでしょうか?」


そう言い、名乗りを上げたのは志音だった。

【参加型】孤高のレヴェリー

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

114

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚