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街に買い出しに出かけていた時、
「オットーさん!」
という声とともに袖をクイッと引っ張られて後ろを振り返った。
黄色いメッシュのセンター分けに、顔にはそばかすと1本の線……
「フィンさん、またお会い出来ましたね。フィンさんも買い出しですか?」
「はい。事情により、食堂がしばらく使えなくなるので昼食を買いためとこうと思いまして…」
なにかめんどくさい事があったのか顔をくもらせながら答えた。街は人がちょうど沢山いる時間で、1人で行かせるのもなぁと思って、
「…では、僕と一緒に買いに行きませんか?」
なんて口走ってしまった。きょとんとこっちを見つめるフィンにハッとして、直ぐに言葉をつけ加える。
「あ、ちょうど人が混みあってきていますし、その…」
少しでも一緒にいたいし…と心の中でつけ足す。フィンは「…あ、そういうことか…」なんて言ってからふっと笑って
「いいですよ。一緒に行きましょうか。」
と言ってくれた。飛び跳ねるくらい嬉しい気持ちを抑えて、人混みの中を二人で歩いてった。
…人混みに押されてはぐれそうになったからと言って一日中手を繋いでお店を回っていたことに二人が気づくのは、次の昼食の時だった。