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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで
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陽翔とダイキ、それぞれの言葉が胸に残ったまま、私は答えを出せずにいた。二人とも私の気持ちを尊重してくれる。だからこそ、余計に苦しい。


「ヒメ、自分の気持ちを大切にしてくれ。」

「ヒメが幸せなら、それが一番だから。」


二人の言葉が頭の中で繰り返される。私はどんな答えを出せばいいんだろう?


そんなことを考えていたら、リリカが肩をポンと叩いた。


「ヒメ、そんな難しい顔してるとシワできるよ?」

「うるさいなぁ…」


私がため息混じりに返すと、リリカはクスクス笑った。


「ねぇ、そんなに悩むなら、いっそどっちとも距離を置いてみたら?」

「え?」

私は驚いてリリカを見つめた。


「ほら、今って二人ともヒメのこと気にしすぎてるでしょ?ヒメもそれで余計に混乱してる。でも、一度冷静になれば、自然と答えが見えてくるかもよ?」


リリカの言葉に、私はハッとした。確かに、ずっと二人のことを考えすぎて、自分の気持ちが見えなくなっているのかもしれない。


「…そうだね。ちょっと考えてみる。」


私はそう答えたものの、実際に二人と距離を置くのは簡単じゃなかった。


**◆◇◆**


次の日から、私は少し意識して陽翔とダイキと距離を取るようにした。二人と話す機会があっても、いつもよりあっさりと会話を終わらせる。今はとにかく冷静にならないと。


でも、その変化に二人も気づいているみたいだった。


昼休み、廊下を歩いていると、後ろからダイキが声をかけてきた。


「なぁ、ヒメ。なんか俺、避けられてる?」


ダイキの言葉に、私は一瞬動揺したけど、すぐに落ち着いたふりをして答えた。


「そ、そんなことないよ。ただ、ちょっと考え事が多くて…」


「考え事?」


「うん…少し自分の気持ちを整理したくて。」


私がそう言うと、ダイキはしばらく黙っていた。でも、やがて軽く笑って言った。


「そっか。まぁ、ヒメがそう言うなら、俺は待つよ。でも、無理すんなよ?」


その優しさが、逆に私の心を締め付ける。


ダイキと別れてから、私は中庭のベンチに向かった。リリカの言う通り、一度冷静になれば、自分の気持ちが見えてくるかもしれない。


そう思っていた矢先、今度は陽翔が現れた。


「ヒメ」


私は驚いて顔を上げた。陽翔は、まっすぐな目で私を見ている。


「…どうしたの?」


私が聞くと、陽翔は少し困ったような顔をして言った。


「お前、俺のこと避けてる?」


ダイキと同じことを言われて、私は内心焦った。やっぱりバレバレだったみたい。


「いや、そういうわけじゃ…」


「ならいいけど。でも、もし何かあるなら、ちゃんと話せよ?」


「…陽翔」


私は思わず彼を見つめた。ダイキとはまた違う、陽翔のまっすぐな優しさを感じた。


「ヒメがどういう答えを出すにしても、俺はお前のこと、大事に思ってるから。」


陽翔のその言葉に、私は思わず息を呑んだ。


**私は、どうしたいんだろう?**


距離を取ることで、むしろ二人のことがもっと気になってしまう。リリカの作戦、ちょっと失敗かも…。


私は本当に、どうすればいいんだろう?

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