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彼女と初めてあった時の物語
あるジメジメした7月のある日の事だ。
僕はいつもと同じように学校に通っていた。
いつもと同じ時間に出かけ、いつもと同じ道を通り、いつもと同じ人に挨拶をした。
その日だけいつもと違っていたのは彼女にあったことだった。
ちょうど十字路の所でバッタリと偶然であった。
彼女が来ていたのは僕と同じよう学校の制服だった。
「…」
2人とも一言も交わさずに終わった。
その日の放課後になってその子が転校生だったと知った。
1つ上の先輩だった。
翌朝、また同じ時間に家を出て、同じ時間に十字路に辿り着いた。
またしてもそこで彼女と再開した。
2回目も2人とも何も喋っていなかったが、3回、4回、5回と回数を重ねるうちに言葉を交わしていき、今ではタメで話せる関係になっていた。
「和樹くんはさ、どうして私と喋ろうと思ったの?」
彼女が聞いてきた。
「そりゃ毎朝こんな風にばったり会ってたら気にもなるよ笑」
「私が美人だから?笑」
「そ、そんなわけないだろ!」
僕達はそんな何気ない話をしながら学校に向かうのが日常になっていた。
その日の放課後、僕はクラスメイトと一緒に教室でだべっていた。
「なぁ、この学校の七不思議。知ってるか?」
不意に1人の男子がそんなことを言い始めた。
七不思議
どの学校にもありそうな怪奇現象のことだ。
「何それ」
僕は言った。
「先輩から聞いたんだよ。最近不可解な現象に会ってる奴らが沢山いるって。
なんでも七不思議を試したらそうなったらしいぜ」
僕を入れて男子5名のグループはその話に興味をそそられ、詳しく話を聞くことなった。
「先輩が言うにはな、ある日4人の男女グループがある七不思議をどこからか手に入れたらしいんだ。
その男女グループ名前を男子がAとB女子をCとDとしよう。ABCDは『夜中の0時丁度に校舎に入ると響子さんが現れる』っていう怪談を信じて夜中に待ち合わせをしたんだ。
5分前にな。
そこで集まったABCDはAを先頭に0時丁度、校舎に入ったんだ。
4人は今か今かとその『響子』って名前の妖怪を待ってた。
だけどいつまで待っても現れなかった。
諦めた4人は大人しく帰ろうと玄関の戸に手を掛けた。
だけど、開かなかったんだ。扉が。
さっきまで開けて入ってきたはずの扉が何者かによって閉められていた。
4人は恐怖に陥った。CDは半泣き状態で2人くっ付いて、ABは呆然と立ち尽くしていた。
このままではいけないと思った4人はどこか窓が開いているか調べた。まずは上から探そうと3階を探した。何も無い。2階を探した。何も無い。最後の願いに1階をうろうろしている時だった。後ろから『あ〜そびましょ…』って声がしたんだ。
4人は振り返ったそこに居たのは首がだらんと垂れ下がっている血だらけの女の子がいたらしい。
4人は叫びながら出口に向かったが開かない。
響子だと思われる女の子は『遊ぼう遊ぼう』とずっと繰り返している4人はパニックになって必死に逃げた。
どこへ逃げれば良いかは分からないがとりあえず校舎中を全部走り逃げた。
だが3階の3年生の教室まで入った所でとうとう逃げ場が無くなった。
追い詰められた。
響子さんが『遊ぼう遊ぼう遊ぼう遊ぼう遊ぼう遊ぼう遊ぼう遊ぼう遊ぼう遊ぼう遊ぼう遊ぼう遊ぼう遊ぼう遊ぼう遊ぼう遊ぼう遊ぼう』
壊れたように問いかけてくる。
4人はそれを聞いていたらいつの間にか気を失っていたらしい。
気付けば校舎の外。
校舎の方を見たら3階から響子が除きながら『遊んでくれなかった。お前らタヒね』と口パクで言っていたらしい…」
そこで男子は話を終えた。
俺ら男子グループは恐怖に陥った。
「こ、こえぇ!何だよその話!」
「は?お前怖いのかよ笑」
「お前だって足震えてんじゃん!」
そんな事をみんなでワイワイ話している時にあるひとりの男子、弘樹が変な提案をしてきた。
「今日の夜0時、その怪談まじもんか調べてみね…?」
俺たちは唖然とした後口々に自分の意見を言い出した
賛成と言う声もあれば反対の意見もあった。
だが反対の意見は少数だったため、賛成の意見へと流れていった。
「じゃあ決まり!今夜ここに夜0時前に」
弘樹がいいかけた時だった。
「やめて!」
女の子の声が弘樹の声を遮った。
声がした方向を見ると僕が毎朝話している女の子『絲鳴 朱里(イトナ アカリ)』が立っていた。
「は?やめてってどういうことっすか」
年上だからか弘樹は敬語とも分からない言葉で朱里に問いかけた
「言葉通りの意味よ。0時にここに来るのはやめなさい」
「じゃないと貴方達…知らないわよ」
そう言って朱里は去っていった、
僕たちの間では微妙な空気が流れた
「やめろってどういうことだよ。先輩だからって調子乗っちゃってさ〜」
「でも誰も反論しなかったな」
「あんな可愛い子に言われたら反論できないに決まってるだろ」
とか何とかいいながらも僕達は朱里の注意を無視し、0時の校舎へと向かった。
僕が着いた時には皆付いていた。
「おっす」
「ビリだぞ和樹〜」
皆が口々に言う中弘樹が先頭を取った。
「じゃあ揃ったし行くか」
僕らは0時丁度になった校舎へと入った。
だが話にもあった通り何も変化が無かった。
「やっぱ何も起きねぇな」
「1階に行ってみよーぜ。先輩らも1階で見たって言ってたし」
僕達は1階へと向かった。
だがそこには例の『響子さん』の姿は見えなかった。
「なんだよ、結局でまかせかよ」
僕らの中で一番の大柄男が言った。
「順番が必要なのかも、3階から1階に順にみてみよう」
弘樹が言い出した。
中には「かえろーぜ」という輩も居たが無視して弘樹は3階へと上がって行った。
3階に着いたが何もいない。つぎに2階に行った何もいない。ここまでは先輩達と同じ状況だ。
最後に1階についた。
大柄男が「やっぱ何もいねぇって」そう言った瞬間だった
『あ〜そびましょ…』
僕達は直感的に察知した。
響子さんだ…
誰かがそう息を漏らした瞬間、僕の耳傍で生暖かい空気がした
『ほら、一緒にあそぼ…?』
「うわあああああ!!!」
僕達は叫びながら無我夢中に走り出した。
僕らは逃げるのに必死だったため、先輩達と同じ行動をしているのに気が付かなかった。
最終的には先輩達と同じ3階の高3の教室へと着いた。
僕らは息が途切れ途切れだった。
『遊ぼう遊ぼう遊ぼう遊ぼう遊ぼう遊ぼう遊ぼう遊ぼう 』
響子さんが聞いた話の通りそう繰り返していた。
不意に僕は響子さんの方を見た。
そこに居たのは首がだらんと垂れ下がった血だらけの女だったが顔に見覚えがあった。
「絲鳴ちゃん…?」
そこで僕らの記憶は遮断された。
気付けば校舎の外だった。
僕以外の男子はまだ気を失っていた。
僕が校舎の方を見ると響子さんがいた。
『だから来るなって言ったのに。』
話に出てきた内容とは違った。
やはり朱里ちゃんだったのだろうか。
翌朝、僕はまた十字路で朱里ちゃんと出会った。
彼女は昨日と同じく話しかけて来た。
「おはよう和樹くん!」
「お、おはよう」
僕は昨日のこともあり、普段通りに接することが出来なかった。
だがそんなことは朱里にはお見通しだったようで
「どうかした?」
そう問いてきた。
僕はこの際だ、と思い昨日のことを聞いた。
「昨日、夜、校舎…いた?」
朱里は一瞬凄くびっくりした顔をしてから
「こっち」
そう言って僕の手を引いた。
僕は酷く驚きながらも着いて行った。
着いたところは人が滅多に近寄らない路地裏だった。
「な、なに?」
僕は恐る恐る聞いた。
「私の正体知ってんだ」
朱里は少しドスの聴いた声でそう聞いてきた。
覚悟はしていたつもりだった。
朱里が響子さんそう気付いたからには覚悟は出来ていたつもりだった。
だがその恐ろしさに肝を抜かれ、少し呆然としてしまった。
彼女は人ではなかった。
「正体がバレたからには生かしておけないんだよね…」
彼女はそう言った。
「う、うわあああああ!!!!」
僕は昨日と同じ叫び声を上げながら走った。走りまくった。
「ふふ、待ってよ和樹くん」
あいつがまだ着いてくる。
怖い怖い。それだけが僕の心に巣食っていた。
「た、たすけッだれかッ!!」
だが今は昼時、みんな仕事をしていて、こんな人通りの無いところなんて誰もいやしなかった。
「まってよぉ、和樹くん。遊ぼ?」
朱里の姿は昨日みた響子さんと同じ姿に変化しつつあった。
身体中から血が溢れ出てきて、首が段々と下がってきた、
そして響子さんの姿となった。
「やだっ助けてくれッ!!死にたくない!絲鳴ちゃんッ!!」
僕は必死に彼女の名前を呼んだ。
「ん〜♡可愛い♡」
「やっぱり人の子は怯えている時が一番可愛いね♡」
人間じゃない…そうきっぱり認識した時、彼女は言った。
「普通ならこうなった人は全員食べてるけど、君だけは食べれないな…笑」
響子さんはフッといつもの、朱里に戻った。
いつもの可愛い朱里の姿に戻っていた。
「私の正体、言わないって約束する? 」
彼女は哀愁漂う声で聞いてきた。
「言わないっ!言わないからっ!!」
僕は怯えでせっかく助けてくれたことにお礼も言わずにその場から立ち去った。
彼女は悲しく笑っていた。
翌日朱里はまた転校して行ったと担任が言った。
僕のせいだ。
僕はそう思った。
その日から響子さんの怪談は一切聞かれなくなった。
「おはようございます」
「響子さん。いい夢は見れましたか?」店長が聞いた キオク
響子さんと呼ばれた女は言った。
「ここは相手の記憶も見れるから良いね。あの人の記憶は何回観ても良い…」
響子はグッと背伸びをして店長に金を渡して言った。
「またあの人の記憶を観にここにくるよ。ありがとう」
カランコロン
「さぁて、また人の子を脅かしにでも行こっかな」
ここは前世でも今世でも相手でも一番大切な記憶が夢見れる店
喫茶『夢心地』
「和樹くんはもう死んでいますがあの子にとってはかけがえのないものなのですね」
『夢心地』の店長は言った。
「それでは。またのご来店お待ちしております」
コメント
4件
好きすぎる…😖💕
♡たくさん頂けると嬉しいです
今回のお話は本垢にも投稿している『ほら。彼が泡になって消えていく』の喫茶『夢心地』を舞台にした連載の1話目です。今回のお話のキーワードは『彼女は人ではなかった』喫茶夢心地のお話は一言のキーワードから練り出してお話を作ります。リクエストの一言を頂ければそこからストーリーを練りだします。リクエストお待ちしております