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第7話 観測者の正体
結界区域の騒動から数時間後。
魔法学園は、表向きは平静を取り戻していた。
だが――
水面下では、確実に何かが動いている。
「おかしいな……」
職員棟の一室。
結界を管理する教師・ヴァルドは、記録用の魔導板を睨みつけていた。
「暴走したはずの魔力が……最初から存在しない記録になっている?」
ありえない。
結界は“起きた事象”を必ず記録する。
それが消えているということは――
「……誰かが、結界そのものを書き換えた?」
背筋に、冷たい汗が伝う。
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一方、レオンは中庭の隅で一人、ベンチに腰掛けていた。
(観測魔法を使わせた理由……
事故を装って、“誰か”を炙り出すつもりだったな)
今日の授業は、偶然ではない。
意図的に不安定な結界が用意されていた。
――つまり。
(学園側にも、レオンの存在に気づき始めてる者がいる)
「やっぱり、気づいちゃった?」
唐突に、声。
レオンの影が、わずかに揺れた。
「……誰だ」
木陰から現れたのは、
銀縁の眼鏡をかけた、一見すると穏やかな青年教師だった。
「自己紹介が遅れたね。
僕はアーク。魔法理論担当だよ」
アークは微笑む。
だが、その瞳は――観察者の目だった。
「今日の結界、少し“過剰”だったでしょ?
普通なら、誰か一人は大怪我してた」
「……」
「でも、何も起きなかった。
いや、“起きたこと自体が消えた”」
レオンは立ち上がり、静かに言う。
「証拠は?」
「ないよ。だから今、こうして“直接観測”してる」
風が止まる。
周囲の魔力が、ぴたりと静止した。
アークは楽しそうに続けた。
「君みたいな存在、学園の歴史でも初めてだ。
結界を“修復”じゃなく、“上書き”できる生徒なんてね」
(やっぱり、ここまで見られてたか)
レオンは一瞬だけ、視線を上げた。
「……俺をどうするつもりだ」
「安心して。すぐに排除する気はないよ」
アークは、にこりと笑う。
「むしろ逆だ。
観測させてほしい。君という“異常”を」
その瞬間。
レオンの内側で、何かがわずかに――軋んだ。
(こいつ……教師の皮を被った“研究者”だ)
危険。
だが、敵とも断定できない。
「条件がある」
レオンが口を開く。
「俺のことを、他言するな」
「いいよ。その代わり――」
アークは一歩、近づいた。
「君が本気を出す瞬間。
その時は、必ず僕の前で」
沈黙。
数秒後、レオンは踵を返した。
「……勝手にしろ」
背後で、アークが小さく呟く。
「やっぱり……面白い」
その視線の先で、
レオンの影が、わずかに歪んでいた。
――学園に潜む“観測者”は、
ついに名乗りを上げた。
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